ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに女子キャラ公式活動と出会うブログ
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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

FP4-1

 
「フレッシュ・プラネット」
目次
 第一話 黒髪と金髪 (1) (2)
 第二話 異変 (1) (2)
 第三話 思い出した? (1) (2)


 第四話 M&M兵器 (1)

 赤茶けた荒野の上空を飛ぶ、二人乗りの哨戒ヘリ。
 そのダークグレーの機体から望遠レンズが伸び、粗く画像処理された地上の様子が、グラスコックピット内のモニタに映し出された。そこには、大地を歩く二つの人影――。
〈発見しました……M&Mです〉
 エンジン音が響く室内で、一人の兵士がヘルメットに装着されたマイクを通して、後部座席の上官に伝えた。
 荒れた大地に、二人の娘が立っている。どちらも独自にデザインされたブルーの服に身を包んでいた。一人はパンツスーツ姿で、ポニーテールにしたつややかなストレートの黒髪を風になびかせている。もう一人はスカートで、きらめく金髪が柔らかいウェーブを描いていた。それぞれの黒い瞳と緑の瞳が、五キロメートル離れた空に浮かぶ哨戒ヘリを無言で見つめている。
 今や鮮明に浮かぶ娘二人の映像を見ながら、上官が呟《つぶや》いた。
〈信じられん……本当に人のようだ……あれが、兵器なのか?〉
 哨戒ヘリに向かって、右腕をスッと持ち上げる黒髪の娘。

 転配《コンパイル》・役名《コマンド》〝探矢緒《マジックミサイル》〟

〈とにかく情報は正しかったな。本部に連絡を……〉
〈待ってください、何か……〉
 モニタに映る娘の口が動いていた。
「論《エグゼ》!」
 キン……と、空気が張り詰める音が響き、黒髪を揺らす娘の指先が光った。同時に、娘とヘリの間……五キロの距離を、光の筋が弧を描いて繋ぐ――。直後、ドンという爆発音とともに、煙だけを残して哨戒ヘリが空から姿を消した……。
 二人の娘が、可笑しそうにクスクスと笑っていた。
「! ……あ」
 その時、不気味に響く低音に最初に気づいたのは金髪の娘だった。
 二人が振り返ると、傾きかけた太陽に照らされた赤い宇宙船が、雲間をゆっくりと降下してくる。コンテナ船のような角ばった胴部の先端に、上半分を透明な壁に包まれた艦橋がつき出していた。その側面に小さく記された船体名は〝RED FOX〟。
〈見つけたわよ、二人とも〉
「!!」
 今や地上すれすれまで接近した赤い宇宙船。その船外スピーカから響いた声を聞いて、震えだす娘たち。
「ど……どど、どうしよう、美欧!?」
「ど……どうするって、まさかこんな辺境の惑星《ほし》にまで、追って来るなんて……」
 二人は明らかに動揺していた。

 低音が静かに響く艦橋の上層に、腕を組んで立つ白衣の女性がいた。その位置から、透明な壁を通して地上の二人を見下ろしている。
「美和、美欧」
 二十代半ばに見える白髪の女性は、その額の真ん中にあるホクロが印象的だ。
「なぜ、かーちゃんの言うことがきけないの!? 勝手に家出なんかして!!」
 その怒声には、有無を言わせない迫力があった。
「帰ったらフラーテス海溝の底で、二十四時間正座の刑だからね!」
 真っ青になる娘たち。恒例の〝おしおき〟だが、告げられた時間は前回より四時間長い。
 艦橋の下層で、クルー達がヒソヒソと言葉を交わしていた。
「いつ見ても、あの二人を叱る時の所長は鬼だな」
「家出したくもなるよなぁ」
 艦橋内のスピーカから、地上の音が聞こえていた。
〈えーん、かーちゃん、ごめんなさーい〉
 その声を聞きながら、白衣女性の後方に立つ若い男が、ブラウンヘアーをかき上げた。
(一般所員には、わかるまい……所長は、完成前から二人の教育のことを考えていた……悪に利用されないために……愛を込めて……)
 艦橋内には、相変わらず娘たちの声が響いている。
〈二度としませんからぁ〉
〈えーん、えーん〉
 フンと鼻を鳴らす女性が、何かに気づいた。
「ん?」
「えーん、えーん……と」
 地上では金髪の美欧が、片膝をついた黒髪の美和の両肩に手を置いている。その美和の両手の間で、光がはじけた。緊張した顔で、美和に話しかける美欧。
「い……いい? 今日こそ、かーちゃんに私たちの力を見せてやるのよ」
「う……うん!」
 美和の顔も緊張している。心臓の鼓動は、普段の倍のスピードだ。パチパチと火花を散らす手の中の光。
「私たちは、かーちゃんに造られた宇宙最強兵器〝M&M〟……」
「うん」
「ただの人間であるかーちゃんに、力で負けるわけないんだから……」
「うん」
 二人の脳裏に、生まれてから今日までの一年間にわたる記憶が蘇る。怒られた記憶ばかりだ。フラーテス海溝の底は、光も音もない恐怖の空間だった。
「これは私たちの人権を認めさせる、崇高なる独立宣言よ!」
「うん……でも。後で、すごく怒られるよ、きっと……」
「だ……だめよ、くじけちゃ!」

 高目移行《システムアップ》・汎数《レベル》4

 美和と美欧を中心に、砂ぼこりが同心円状に舞う。

 通模《インプット》・要俳《キーワード》……電子の嶺……イオンの泉……電界の道標……

 美和の手の中の光が、その強度を増していく。 

 転配《コンパイル》・役名《コマンド》〝一気通貫《ライトニング》・度等《ブースト》2〟

 エネルギーを圧縮するかのように、両手で光を包み込む美和。その視線は、宇宙船レッドフォックスに固定されている。
「前方に、高エネルギー反応――!!」
 大声を上げるクルー達。艦橋内に、うるさい警報音が鳴り響いていた。
「異空間指数上昇中……二乗……三乗……。美和が、汎数《レベル》4を転配《コンパイル》した模様!」
 観測係が見つめるインジケータが、四・〇を超えたところで微動している。透明な壁に表示された大きな画面に、地上の美和が大きく映し出されていた。その手の中に、輝く光が見える。
「危険ですフォックス所長! 大気圏外への脱出を……!」
「……間に合うわけ、ないでしょう」
 白衣の女性……フォックス所長が、腕を組んだまま額に青筋を浮かべていた。怒りの形相で、ピクピクと震えている。
(いい度胸じゃないの……)

「ね……ねぇ、美欧」
 手の中の光は、今にも飛び出しそうにクルクルと色を変えていた。
「何? 美和……」
 美和の両肩に置かれた美欧の手のひらからは、度等《ブースト》用の補助エネルギーが美和に注がれている。いつでも〝一気通貫《ライトニング》・度等《ブースト》2〟を放てる状態になっていた。
「こ……これを当てると」
 二人の正面で、西日を受ける宇宙船レッドフォックスが、その赤さを増している。
「かーちゃん……死んじゃうんじゃない……?」
 美欧の表情が固まった。
(そ……そうか……。一通度等2が直撃したら、レッドフォックスなんてきっと蒸発しちゃう……。度等まで乗せたのは、やりすぎだったかな……)
「わ……私たちの自由のためよ! 撃つのよ!!」
 本人は気づいていなかったが、そう叫ぶ美欧の身体は、恐怖でガクガクと震えていた。肩をつかむ手に力が入るのを感じて、同じように震える美和。
「う……うん」
 美和の両手から、ゆっくりと解放される光……。
「論《エグゼ》……」
 実行コマンドと同時に、轟音を発して巨大な稲妻が放たれた。レッドフォックスの艦橋が、真っ白な光に染まる――。
 プラズマの奔流が大気圏を突き抜け、辺境惑星の表面を輝かせた。

 ~(2)へ続く

コメント

「かーちゃん」きたーー(笑)
フォックス所長は科学者?で、どうやら二人の創造主にして調教師のようですね。

ところで前回、誰かを救うはずだったような・・・
いきなりの場面転換で、場所が変わったのか、時間軸が前後してるのか???
二人とも(サシュさんも?)誰か忘れていませんかー?

◆Aryuさん
ぎくーっ!……て、もちろん忘れてはいませんがw
すみません、話をぶった切ってしまって( ̄▽ ̄;
実は、すごく苦労していました。
書きかけては、その日はやめ。
別の日に書きかけては、またやめ。
どうしても、うまく書けない……という状態で。
もうとにかく原作である自分の漫画をそのまま小説化したら、なんとか書けて、今回のようになりました。
もっと余裕を持って書ければ、うまく繋げる工夫もできたと思うのですが、全然余裕がなかったです( ̄▽ ̄;
Aryuさんを含め、読者さんを混乱させてしまう流れだという自覚はあります。
次々回には、元の話に戻したいと思っています~。

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