ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

FP5-1

 
「フレッシュ・プラネット」
目次
 第一話 黒髪と金髪 (1) (2)
 第二話 異変 (1) (2)
 第三話 思い出した? (1) (2)
 第四話 M&M兵器 (1) (2)


 第五話 夢見る侵略者 (1)

「今回の依頼内容……覚えてる?」
 美欧の言葉に、ゆっくりと頷く美和。
「わかってる……でも今は、八重ちゃんを……」
「ええ。落ち着いてから、仕切り直しましょう」
 二人の眼下で暴れる巨大な怪物に向けて、美和が役名《コマンド》を口にした。

 高目移行《システムアップ》・汎数《レベル》3

 通模《インプット》・要俳《キーワード》……原子の配列……神の眼……神の手……

 転配《コンパイル》・役名《コマンド》〝産触導潤《キュア》・度等《ブースト》1〟

 美和が〝論《エグゼ》〟を発すると、怪物の身体が蒸気のような白い気体に包まれた。その霧が晴れると、地面に横たわる八重の白い身体が小さく見えた。

   *

 二週間前。白い壁と観葉植物に囲まれた室内で、ブルーの服を身につけた二人の娘がロイの前に立っていた。彼から今回の依頼内容を聞くためだ。
「……フレッシュ・メーカー?」
「なによ、それ?」
 美和と美欧が、初めて聞く単語に顔をしかめた。ブラウンの髪をかき上げるロイ。
「伝説の英雄リヴァル・ガンゼットが銀河系内を統一し、〝大銀河帝国〟を建国してから一四〇〇年後……今から二〇年前に、辺境の百を超える自治区が独立を宣言し、帝国との戦争状態に突入したことは知ってるな?」
 娘たちが頷いた。
「一四〇〇年の間、各自治区は何度も独立を試みてきたが、帝国の圧倒的な力の前に、それが実現することはなかった……それが二〇年前に戦争状態にまで発展したのは、ある事件のせいだ」
 美和が口を挟んだ。
「ロスト・サダイエ事件……」
「ロイ……私たち、歴史の勉強をしたいわけじゃないんだけど」
 つまらなそうに、金髪をいじっている美欧。ロイは構わず話を続けた。
「そう……ペルセウス・アームの主要惑星《セントラル・プラネット》であるサダイエが、突然消息を絶《た》った。帝国の四大セントラル・プラネットの一つが消えたんだ。帝国内は大混乱……その期に乗じて……」
「……辺境の自治区が反旗を翻《ひるがえ》した。それと今回の依頼が関係あるわけ?」
 早く結論を言え……ロイを睨む緑の瞳が、そう語っている。溜息をもらすロイ。
「サダイエ消失の原因が、最近解明された。公開されてはいないが、調査に当たった研究チームからのリーク情報だ。今回の依頼主でもある。帝国が正式に動くには時間がかかる……下手をすれば、手続きだけであっという間に数十年が過ぎる……手遅れになる前に、彼らは手を打った。それが今回の、我々への依頼だ。報酬は帝国プロジェクト予算の一部が横流しされる」
「サダイエ消失事件の原因は、何だったの?」
 美和の黒い瞳が純粋な好奇心で輝いていた。
「未知の存在」
「はぁ?」
 ロイの答えにあきれる美欧。男が微笑んだ。
「わずか二秒で、サダイエの人口が二倍に増えたんだ。それだけだ。ただそれだけのことが、惑星サダイエを混乱させ、最終兵器が地表を焼き払い、主要惑星《セントラル・プラネット》を死の星に変えた。人口を二倍にしたのは、この銀河系では未知の存在……フレッシュ・メーカーと名付けられた存在だ」
「………」
「依頼は、フレッシュ・メーカーの退治ってことかな?」
 美和の質問に、ロイが頷いた。
「まぁ、そういうことだ。実は、フレッシュ・メーカーに関する研究論文が百年以上前に発表されている。当時は、誰にも相手にされなかったようだが……それによればフレッシュ・メーカーは、他の銀河から訪れ、太古の昔からこの銀河系に存在していたらしい。その論文では、いくつかの過去の大事件をフレッシュ・メーカーと結び付けている」
 美欧が疑わしげに呟《つぶや》いた。
「信用できる論文なの?」
「さあね」
「さあねって……」
「わかっているのは……」
 話を続けるロイ。
「フレッシュ・メーカーは、生物・無生物を問わず〝彼〟が記憶した造形物を再現する。銀河系開拓時代に、あちこちで発見された謎の文明都市……過去の人類文明としか思えない都市が、人類の故郷〝地球〟からはるか離れた惑星で発見されることがあった。〝再現《リプロダクション》〟と呼ばれるその現象は、公式には解明されていないことになっている……が」
「フレッシュ・メーカーの仕業ってわけか。無から有を生み出せるなんて、ちょっと私たちの力に似てるわね」
 美欧がようやく、納得した表情を見せた。悲しげな顔で言葉を漏らす美和。
「〝再現《リプロダクション》〟の都市で生活していた人々もいるんだよね……みんな、肉の塊になって死んじゃったって聞いてるけど……」
「その人達も、〝再現《リプロダクション》〟の一部だからね……よくわからないけど、そういうこともあるんじゃないかな」
「うん……」
 表情を曇らせたままの美和には構わず、ロイが話を進めた。
「別ルートからの情報がある。フレッシュ・メーカーは、銀河系内を点々と移動しているらしいが……最近になって、無人惑星で新たな〝再現《リプロダクション》〟が発見された。近日中に公表されることになっているから、その前に……」
 娘たちが頷いた。ニヤリと笑う美欧。
「ターゲットは、フレッシュ・メーカー。そいつを見つけ出し、二度とロスト・サダイエのような事件が起きないよう消去する……それが、今回の依頼ね」
「そうだ。だが、フレッシュ・メーカーの実体を見た者はいない。まずは〝再現《リプロダクション》〟都市に紛れ込んで、調査してもらう。普通の高校生としてね」
 面白くなさそうに横を向く美欧に対し、美和が嬉しそうな声を上げた。
「普通の高校生活ができるなんて、夢みたい!」
 表情を和らげるロイ。
「しっかり頼むぜ、二人とも。期限は十五日だ」
「了解」
 小型高速宇宙船ブルーフォックスが異空間航法に移行し、光を放った。

 ~(2)へ続く

コメント

八重ちゃん……(=´▽`=) ヨカッタネ

〝偽物〟の世界、〝偽物〟の生命 は、そういうことだったのですか。
だとすると、フレッシュメーカーを退治したら
せっかく助けた八重ちゃんや、この世界がなくなってしまわないのか心配です。
どうなるのかなー

◆Aryuさん
あっさり助かった八重。
根本的な問題が残っていることに、気づいてもらえて良かったです( ̄▽ ̄〃
第六話で完結予定です~。

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