珈琲は一日二杯まで

あずの気が向いたときに気が向いたことを書く場所です

ゲームのことを書いたり、絵を描いたり、漫画を描いたり、小説を書いたり、適当に何でもありな趣味のブログです。

FP6-1

 
「フレッシュ・プラネット」
目次
 第一話 黒髪と金髪 (1) (2)
 第二話 異変 (1) (2)
 第三話 思い出した? (1) (2)
 第四話 M&M兵器 (1) (2)
 第五話 夢見る侵略者 (1) (2) (3) (4)



 最終話 破壊と再生 (1)

 宇宙空間を駆ける光のスジ――。膨れ上がった北条が放つ光の奔流が、各自治区の天文観測所で記録された。それほど強烈な光だった。
〈グリーン……あなたの力は素晴らしいわ……。いったいどこから、これほどのエネルギーを……〉
〈ふーん……そんなことも知らないんだ。さっきの宇宙創造の話、あなたの妄想でしょ?〉
 ハッとした北条が、光を止めた。光が消えた場所に二人の少女が浮いている。毛先が焦げた様子さえない。黒髪の少女に続いて、金髪の少女が口を開いた。
〈異空間と現空間を接続すると、その空間エネルギーの差によって、エネルギーの流出入が生じる。それを上手に制御すると、攻撃にも防御にも使える無限のエネルギーとなる……それが、かーちゃんが確立した私たちM&M兵器の基本原理。その制御方法は、かーちゃんしか知らない……はずだったんだけど。あなたの可愛いグリーンにも、それができるみたいね〉
〈…………〉
 無言の北条。グリーンの姿は見えないが、肉巨人の体内に異空間接続点があることを感じる。そこにグリーンがいるはずだ。
〈……別に原理なんて、どうだっていいわ。でも……そうね、あなた達がグリーンと同じ力を使うと言うなら、直接攻撃しても無駄ってわけね……〉
 美欧が目を細めた。北条の太い肉の腕がゆっくりと持ち上げられる。その先にあるのは……。
「マジかよ……」
 白い部屋の中で、整った顔の青年がブラウンの髪をかき上げた。小型高速宇宙船ブルーフォックスの光学望遠カメラが捕らえた映像が、はっきりとディスプレイに表示されている。そこに映る北条の左腕が、こちらに向けて静止していた。
〈一応、言っておくわ。あなた達が会話をしている相手……誰かは知らないけれど、失いたくなければ大人しくしていなさい〉
 北条の言葉に、美欧が即答した。
〈嫌だと言ったら?〉
〈別に構わないわ。私があなた達を破壊できないように、あなた達も私を破壊できない。そして、あなた達の仲間を少しでも減らせば、少しはこちらが有利になるかも……特に心理戦でね〉
〈やめて!〉
 美和が叫んでいた。頭を抱える美欧。美和が最も苦手なこと……それは、ポーカーフェイスだ。美和は、駆け引きができる性格ではない。彼女が叫んだことで、ロイの存在が彼女たちの〝弱み〟だと敵にさらしてしまったのだ。
〈あ……ごめん、美欧〉
〈いいよ。この戦いに、駆け引きも心理戦も関係ない。お互いに最強のホコと最強の盾を持っているんだから……勝つべき方が勝つ。それだけ〉
 北条が笑った。
〈ドライな性格は、嫌いじゃないわ。でも、だからこそ駆け引きが重要なのよ〉
 彼女の手は、視認できないほど遠くにいるはずのブルーフォックスに向けられたままだ。
〈彼女たちは無敵でも、あなたは違うんでしょう? 消えたくなければ、こちらにいらっしゃい。逃げようとしてはダメよ。すぐに消してしまうからね〉 
〈拒否する〉
 ロイの声は落ち着いていた。
〈君は、俺を人質にして美和と美欧を支配下に置こうと考えている。だが、無駄だ。M&Mが防御できるのは自分だけではない。離れた相手にもその能力を発揮できるからね〉
〈そう……本当かどうか、試してみればわかるわね〉
〈おバカな、おばさん〉
 美欧が微笑んでいた。彼女の指先が、下方で青く光る惑星に向けられている。
〈自分で自分の弱点をさらしたって、気づいてないの? つまり私たちと違って、あなたは離れた相手を守れないんでしょう? 勝つべき方がどちらか、認識できたかしら?〉
〈やめて、美欧! 下には八重ちゃんが……!〉
〈大丈夫よ、美和。八重ちゃんの周りだけは、私がここから守ってあげるから〉
〈う……うん〉
 気が気じゃない様子ではあるが、美和は覚悟を決めたようだ。それを見て、北条があせった。
(この娘たちは本当に、離れた場所でも力を発現できると言うのか……)
 美欧は、容赦がなかった。
〈言ったわよね、勝つべき方が勝つって。美和、惑星HLB9152‐66に向けて、奔溢《フラッド》度等《ブースト》3を〉
〈うん〉
 足元に広がる青い惑星。そこに向けられた美和の手のひらが光った。
〈あ……〉
 北条の喉から漏れる声。先ほど北条が放ったのと同レベルの光の洪水が、惑星HLB9152‐66の地表に、一瞬で到達する。かつての地球で中国と呼ばれたエリアが白く輝き、大地が吹き飛んで舞った膨大な量の塵が、円を描いて惑星表面の大気を津波のように広がっていく。日本もヨーロッパも、その波に飲み込まれ、惑星の反対側にあるアメリカ大陸をも大地震とハリケーンで壊滅させていく……。
〈ああ……〉
 北条がこぼしたうめき声は、心の痛みではなかった。肉体の苦痛だ。彼女の体内で、グリーンが暴れていた。
〈やめて、グリーン! 私は守ろうと努力したわ。あなたの大切なオモチャを……怒るのをやめて!〉
 同時に、美和も叫んでいた。
〈どうして、美欧!? 八重ちゃんを守ってくれるって言ったのに!!〉
 北条の身体にヒビが入り、そこから体内の光が漏れている。ヒビは次々と増え、こぼれる光の量が増していく。
〈こんなところで……グリーン……あなたの力があれば、全銀河の支配者になれると、私は……主要惑星《セントラル・プラネット》サダイエで、私はあなたに選ばれた唯一の生き残り……運命が私を選んだのだと……私は……〉
 聞こえなくなっていく北条の声。美和に背を向けた美欧が、金髪を揺らせてつぶやいた。
〈そうだね、美和のセンサでも、すぐ下の地表の様子くらいは探れたっけ。私としたことが、ウカツだったな……〉
 惑星HLB9152‐66の表面で、大気が暴れている。生き残っている者は、一人もいなかった……。

 ~(2)へ続く

コメント

( ゚д゚)・・・(つд⊂)ゴシゴシ・・・(;゚д゚)・・・(つд⊂)ゴシゴシ・・・(;@Д@)!
八重ちゃあああああん

驚きました。予想外なんてものじゃありません。
今までのお話でもサシュさんはこちらの予想を飛び越えていたのですが
美欧の惑星壊滅(実際に手を下したのは美和だからよけいに・・・)は
ほんとにびっくりです。
これはM&Mで喧嘩?宇宙が滅びそうですね

◆Aryuさん
すみません、すみません、八重ちゃん死んじゃいました……。
というわけで、話は続きます……!
最近、隔週更新になっちゃってるのに、いつもコメントをありがとうございます。
がんばって、そのうちに最終回を迎えたいと思います。

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