珈琲は一日二杯まで

笹谷の気が向いたときに気が向いたことを書く場所です

素人がゲームのことを書いたり、絵を描いたり、漫画を描いたり、小説を書いたり、適当に何でもありな趣味のブログです。友達は少ない。

ムンレケ1-2

「ムーンレスケージ」

目次
第一話 竜連れの魔法使い (1)


(2)

   * * *

 雪が降り積もる真夜中の暗い街。ランプ色の光をもらす小さな四角い窓がいくつか見えるだけの雪に埋もれた街だった。その一つの窓の奥から喧騒が響く。階段を降りた先には、地下酒場があった。
「おまえ、今、ま、魔法を使ったろう!? ――れ、汎数《レベル》3の魔法を!!」
酒場の中がざわめいた。魔法? 何を言っているんだ? そんな言葉がもれ聞こえる。店の中は二、三十メートル四方あり、かなり広い。そこに八人掛けの丸テーブルが八個並び、ほとんどの席が客で埋まっていた。
「ひ、人への魔法の使用は、大陸で、き、禁止されておるはずだ」
 大声をあげたのは、顔が埋まりそうなほどの白いヒゲをたくわえた老人だった。その体型は丸々と太っている。店内にいる客はほぼ全て、同じようにヒゲだらけで太った老人ばかりだった。顔つきやヒゲの色が違っているくらいだ。よく見ると、彼らの耳の先が少しとがっていることに気づく。
 立ち上がった白ヒゲ老人の視線の先には、隣のテーブルでくつろいでいる青年がいた。彼の耳はとがっていない。黒髪で赤いラインが入った白いローブを着ている。その腕の中では、ぐったりした若い女性店員が呆けた表情を見せており、彼女の制服の中に青年の手が伸びていた。青年の近くの席には三人の女が姿勢よく座っており、彼と同様に白ヒゲ老人を見つめている。酔った客たちの視線は、自然に三人の女に注がれた。絶世の美女――そう形容してもおかしくない程に美しい女が、三人もいるからだ。スラリとした体型も抜群だった。店員の女性も、三人の女も耳はとがっておらず、老人たちとは種族が違うのだとわかる。――青年が口を開いた。
「へぇ……ドワーフ族だらけのこんなヘンピな島国で、魔法の存在を知っている奴がいるとはね」
「き、貴様が使ったのは、翻弄頭《コンフュージョン》……戦場で敵の意識を混濁させる魔法だ。かわいそうに……その娘は貴様らと同じヒューマン族。ま、魔法耐性がないヒューマン族がその魔法を受ければ、一年は寝たきりになろう」
 白ヒゲ老人は目に涙を浮かべている。だが、青年にそれを気にする様子はなかった。
「ビャッコ、このジジィを黙らせろ」
「はい、御主人様」
 三人の女の一人――白髪をシニヨンにし、細いフレームの眼鏡をかけたテーラードスーツ姿の女は、二十歳前後に見えた――が、白ヒゲ老人を見つめたまま自分の顔の前で軽く指を振った。


 ―― (3)へ続く ――


コメント

なんだか「竜連れ」ぽい世界観だなと思いながら読んで、ビャッコの名前がでてきたところで「あれ」てなった。

もしかしてもしかするともしかするんですか!

◆Jさん
面白く書けるかより、続けられるかが当面の問題という……話の展開は、想像に任せるー( ̄▽ ̄;

コメントの投稿


管理者にだけOK


管理者に連絡する(メールフォーム)
※コメントを投稿できない場合にご利用ください。管理者からの返信はできません。
トラックバックURL

HOME

カウンタ

  • 閲覧/訪問数 since 2005
    hits / visits

最新の記事
最近のコメント
カテゴリ
月別アーカイブ

リンク
プロフィール

  • Author:笹谷周平(ささ)
    ただのサラリーマンです( ̄▽ ̄)
  • 誤字、脱字、リンクミスにお気づきの場合は、コメント欄にてお知らせいただけると助かります。

商標/著作権等