珈琲は一日二杯まで

あずの気が向いたときに気が向いたことを書く場所です

ゲームのことを書いたり、絵を描いたり、漫画を描いたり、小説を書いたり、適当に何でもありな趣味のブログです。

ムンレケ1-5

「ムーンレスケージ」

目次
第一話 竜連れの魔法使い (1) (2) (3) (4)


(5)

 雷光がヒョウエの身体を突き抜け、そのまま店の壁まで一直線にのびた。光の通り道に居合わせたドワーフたちが、身体をケイレンさせてテーブルにつっぷす。大量に飛散する酒や料理――。
「ふーむ、度等《ブースト》を乗せない一気通貫《ライトニング》で、これだけの威力を出せるっていうのは……」
 何事もなかったように、アゴを手でさすっているヒョウエ。その視線の先には、燃えるように赤い巻き髪の少女が椅子に座っていた。年の頃は十五、六歳であろう、まだ若い娘は、カイリが連れている三人の女の中で最年少のようだ。
「カイリくんの魔法を、スザクちゃんが自然に増強するように躾《しつ》けられているんだねぇ。一瞬のタイミングで大したもんだ」
「……帰るぞ」
 カイリがヒョウエの言葉を無視してつぶやいた。魔法を放って、少し気が紛れたようだった。
「この男とやりあっても、決着がつかないことはわかっている……この街ごと吹き飛ばす魔法を使えば別だが……今の時代、ここの鉄鉱脈は貴重だからな」
 本気を出せば勝てる――カイリのその自信は本物だった。その自信を見せることで気が済んだようだ。
「御主人様、この島まで来た目的をまだ果たしておりませんが、よろしいのですか?」
 カイリに従う三人の女のうちの最年長と思われる女が、そう告げた。二十代後半に見える彼女はライトブルーのショートヘアで、腰の高さまでスリットの入ったチャイナドレスが、その美しいボディラインを強調している。
「セイリュウ、仮に今朝お前が感じたものが本当だったとしても、俺にはお前たち三人の“竜”がいる。この世界で俺様に勝てる奴はいない……過去にも、未来にもな」
 離位置《テレポート》――カイリがその言葉を口にすると、カイリと三人の女が店内から消えた。しばらく静まり返っていた酒場は、小声の会話があちこちで始まり、やがていつも通りの喧騒が戻った。

「おい……無事か?」
 青年が消えたのを確認し、初めてややあせった表情を見せたヒョウエが、一気通貫《ライトニング》が直撃した壁の方を見据えた。気を失ったドワーフたちと、それを介抱する店員と客。その向こうの壁際で、二つの人影が立ち上がるのが見えた。


 ―― (6)へ続く ――

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