ささやかに駅メモ!

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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

時間とは何か(6)

「時間とは何か」(エッセイ)
目次
第一話 エントロピー増大則という例外
第二話 素粒子のその先
第三話 物質転送装置という思考実験
第四話 宇宙を記述するために必要なもの
第五話 エネルギーゼロ化の法則


最終話 立体模型とパチンコ玉

 縦横高さの三軸に、時間という四番目の軸を足した四次元構造としてこの世界を捉えることは、物理学の世界でほぼ一般的な見解となっているようです。
 問題は時間軸の捉え方です。

 過去とは失われたもの、未来は現実に存在しないもの、現在だけが確かに存在するものとして、現在を特別だと考えるのが世間における一般的な解釈です。
 その時間は川のようにとうとうと流れていると。

 しかしそれは、時計とともに暮らす私たちがそう感じているだけのことであって、物理学の世界では、例えば運動によって時間の進み方が変わるというのが常識になっています。
 さらには、時間に流れはなく、現象に順番があるだけだという考えもあります。
 そして、順番さえなく、過去現在未来は等しく存在しているという考えが「ブロック宇宙論」と呼ばれるもののようです。

 ここまでに考えてきた素粒子や世界のあり方から想像される時間の正体は、この「ブロック宇宙論」にかなり近いものだと思われます。



 時間の流れというものが存在せず、私たちが感じる過去、現在、未来が同時に存在しているという世界を表現するために、時間軸にそって丸い地球を棒のように伸ばし、地球の周りをまわる月を、その棒の周囲にらせんとして描く図があります。
 物理学者のデイビスさんやグリーンさんが「ブロック宇宙論」を説明するために使用した図とのことです。

 ですが、この図では私が考える時間を説明できないので、私独自の説明用の構造を文章で紹介することにします。

 さきほど紹介した地球が棒のような図や、第三話で紹介した風船が膨張するイメージは、この三次元空間を二次元として表現したものでした。
 これから説明するイメージでは、三次元空間を一次元、つまり「点」として表現します。

 まず、山や川がある立体模型を想像してみてください。
 地形の起伏により、標高が高い場所もあれば低い場所もあります。

 この標高は、宇宙の根源であるエネルギーの大きさです。
 山はエネルギーが高い場所であり、谷はエネルギーが低い場所です。

 ある場所に、富士山のような高い山があります。
 その山は、エネルギーが局所的に高い場所であり、例えばビッグバンです。
 そこでは高密度のエネルギーからたくさんの素粒子が生じ、密集しています。

 私たちが存在する三次元は、この立体模型の上を転がるパチンコ玉のようなものです。
 世界がエントロピー増大則によってエネルギーゼロの世界に向かうということは、私たちの世界であるパチンコ玉が、高い場所から低い場所へ転がっていくということです。
 時には小さな山や谷を乗り越えて、右に曲がったり左に曲がったりしながら、標高ゼロメートル、すなわち海に向かって転がっていくのです。

 私たちが認識している宇宙は、山の中腹にいるパチンコ玉です。
 ビッグバンの状態よりも素粒子が拡散していて、銀河系がたくさん存在しています。

 ここで重要なのは、パチンコ玉は必ずしもビッグバンである山の頂上から転がってきたとは限らないということです。
 今の場所(現在)と少し前の場所(過去)との差分を観測して、どうやらどこかに頂上(ビッグバン)がありそうだと推測しているにすぎません。
 その予想は現在と過去の二点を結んだ延長線上にあるので、実際の山頂の位置とは大きくずれている可能性があります。

 さてここで、パチンコ玉が転がる速度に意味はありません。
 繰り返しになりますが、この宇宙を記述するのに必要なのは素粒子の種類と位置情報だけであり、それをさらに突き詰めれば、エネルギーの偏りだけです。
 つまりこの立体模型において、法則はひとつだけです。
 すなわち、エネルギーが高い状態から低い状態へ世界は遷移するというエネルギーゼロ化の法則です。
 それを質量がある物質の現象にだけ当てはめた中途半端な法則が、エントロピー増大則です。

 パチンコ玉が転がる速度に意味はありませんが、転がる方向だけは決まっているということです。
 そこに速度があるように感じるのは、私たちが普段目にする現象に当てはめて理解しようとするからです。

 行と列でできた表を思い浮かべてください。
 その表にはたくさんの数字が書き込まれていて、それらの数字には大小関係があります。
 大きな数字から小さな数字へマスをたどっていくことはできますが、そのたどる速度に意味はないということです。

 ですから、時間に流れはありません。

 ただし、世界が、この宇宙が向かう方向はあります。
 立体模型において、今よりもエネルギーが低い方向です。
 転がるパチンコ玉が小さな丘を乗り越えるように、一時的にエネルギーが高い状態になることはあるでしょう。
 それでも、この宇宙を外の世界、つまり次元を拡張した世界、立体模型を見おろす「神の視点」から見れば、エネルギーゼロに向かっているということです。

 それを未来と呼ぶことはできますが、その未来はすでに存在していて、過去、現在、未来を区別するのはエネルギーの違いだけです。
 現在だけが実在しているわけではなく、現象の順番が決まっているわけでもありません。

 物理現象の変化に方向性があり、物事に因果関係があるように見える理由は、エネルギーゼロ化の法則が、局所的にも働いているからだと考えられます。
 つまり、立体模型の上を転がるパチンコ玉は、おおまかには海に向かっているのですが、その途中の細かい地形の変化の影響を受けながら転がっている。
 エネルギーが少しでも低くなる方向へパチンコ玉=世界は移動する。
 それは素粒子の位置が変化する(そう感じられる)方向がおおよそ決まっているということであり、それを物理現象の変化の方向や因果関係として私たちが感じているということです。

 ところで、この立体模型の形はどうなっていて、どうやって決まっているのでしょうか?

 パチンコ玉の中にいる私たちからは、それをうかがい知ることができません。
 パチンコ玉が転がってきた経路の形をいくら調べても、立体模型全体の形を予想することは不可能です。

 では、こんな想像をしてみましょう。

 鏡のような水面に、一粒の水滴が落ちました。
 水滴が落ちた場所の水面は盛り上がったり、へこんだりして、とてもエネルギーが高い状態です。
 そのエネルギーは波として水面を伝わっていきます。

 そうしてできた水面の形が、立体模型の形です。
 水滴の落下がビッグバンというわけです。

 水滴は一粒だけではないかもしれません。
 波紋はいくつもあり、重なっているかもしれません。

 水面はエネルギーがゼロになるまで動き続けます。

 私たちの世界は、その波に流され翻弄される、一枚の木の葉のようなものなのかもしれません。


 (終)


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