ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ1-2

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 第一話 白絹の少女 (1)


 第一話 白絹の少女 (2)

 民家の玄関前に、見慣れない黒鎧の人物が直立していた。
 エルヴァーン族にしてはかなり背が低いと思ったが、フェイスガードのわきから見える耳が尖っていないところを見ると、どうやらヒューム族のようだ。ヒューム族はサンドリア王国では珍しいが、一般的にどこの国でもよく見かける種族である。
 サシュがしげしげと見つめても黒鎧は微動だにせず、通りの遠方を見据えていた。
 家の中から声が聞こえた。
「ですから、もう少しだけ待ってください!」
 女性の声だ。同時に、エルヴァーンの少年がイライラした様子でサシュの小さな手を引いた。彼は玄関先の黒鎧のことは気にしていないようだ。
「入って大丈夫だから! マリィを助けて!」
 家の中に踏み込むと廊下の左右に部屋があったが、目的の部屋は左だとすぐにわかった。
耳の尖った長身の黒鎧達が廊下まではみ出していたからだ。五、六人はいる。
「いいか。何度も言うように、俺様の言うことはピエージェ様の言葉だと思え!」
 口ひげをたくわえた中年エルヴァーンが、やはり黒鎧を着てこの家の主婦らしき女性に紋章入りの銀プレートを見せつけていた。彼の高い視界には、入口に顔を見せたサシュとエルヴァーンの少年は入っていない。他の黒鎧たちもサシュと少年に関心を示すことはなかった。
 そういえば、サンドリア国王とトリオン王子は、隣国のバストゥークに長期滞在中と聞いている。現在は、トリオンの弟であるピエージェ王子が、国政を代行中のはずだ。ピエージェ王子は、国民の人気をトリオン王子と二分する良識ある人物と聞いていたが……。
「税金は必ず払います。でも、どうして、うちだけが今月から五倍なのですか!?」
 婦人の髪は乱れ、顔色は悪い。
 状況が掴めず、サシュはエルヴァーンの少年を振り返った。
「マリィは、幼なじみなんだ……」
 ずいぶん歳の差がある幼なじみだな……と思ったが、少年は別の場所を見つめていた。
 婦人のわきの粗末なベッドに、その少女はいた。生きているのか死んでいるのか……動きはない。白いシーツに埋まるように横たわっていて、サシュの低い目線からは汚れた包帯に包まれた右腕と、栗色の髪しか見えなかった。
「お前、いったい何ヶ月税金を滞納していると思っているんだ? 払えないなら国から出て行け! お前の家はこのベッケル様が没収してやるから、安心するがいい!」
 婦人が首を左右に振った。サシュは、婦人がヒューム族であることに気づいた。
「ご覧の通り、娘のマルガレーテは病気なんです。毎日高額の薬代がかかる難病です。どうか……どうか、今しばらくのご猶予を……」
 だいたいの事情は見えてきた。しかし、この状況で自分にできることがあるだろうか……? 
 ベッケルという男が見せた銀の小さなプレートは、淡く赤と金色に光を反射していて、本物に間違いない。特殊な彫金合成術で作られた王室親衛隊の身分証明書だ。
「ああ、聞いているぞ……。つまり、この娘がいるから……」
 ベッケルの目が、妖しく光った。
 その瞬間、サシュは考えるより先に身体が動いていた。その異常な気配は、フィールドでいきなりモンスターに背後から襲われた瞬間のように、サシュの神経を不快にした。
「こいつさえいなければ、毎月きっちり税金が払えると言うわけだ……!」
 ベッケルの動きは鍛えられた騎士のものであって、けして遅くはなかった。腰から引き抜かれた片手剣はなめらかに宙で翻《ひるがえ》り、真っ直ぐに少女の胸に向けて落とされた……!

 サシュが唱えたスタンの呪文……生物の筋肉を一瞬硬直させる魔法は、ぎりぎり間に合わなかった。
 ……そう思った。

 スタンの有効時間は、ほんの一、二秒。
 解けると同時に、ベッケルともう一人の黒鎧が床に倒れこんだ。
「ええい、邪魔するな、新米が!」
 ベッケルは立ち上がって、たった今ほとんど体当たりのようにぶつかってきた黒鎧が触れた部分を、まるでゴミでもついたかのように手で払った。
「は! 申し訳ございません。慌てて、痛んだ床につまずきました」
 女の声だった。小柄で耳が尖っていない……玄関にいた黒鎧が、いつのまにか部屋の中に来ていたのだった。髪を刈り上げたその外見から、女性には見えなかったのだが……。
 ともかく、少女の胸に深く突き刺さっていたはずの片手剣は、その目的を達することなく、それたのだった。
 呆然としているサシュの前で、黒鎧のヒューム女性がベッケルに耳打ちすると、ベッケルの様子が変わった。
「やつらが来たのか!」
 ベッケルが他の黒鎧たちに引き上げる合図をした。去り際にジロリとサシュを見おろしたその顔は、いやらしい笑みをたたえていた。
「お前がサシュだな……。噂は聞いている。近いうちに使ってやろうと思っていたのだが……今日のことは後悔することになるぞ……すぐにな……」
 サシュは何も言わなかった。まだ何もわからない……。確かなことは、この国で不穏な何かが起きているということだった……。

「マリィ! 大丈夫?」
 婦人と少年が、ベッドの少女を覗きこんでいた。
「サシュ! 早くケアルしてよ。少し血が出てる!」
 少年が怒るようにサシュを呼んだ。

 ~(3)へ続く


コメント

おお、早速(2)執筆お疲れ様でした~。
黒鎧の集団ですか~。今度こそあんこkですね!?(くどい

俺は名前を隠してキャラを出すってのがどうも苦手なようですぐ正体や名前を出してしまいます。
けどやっぱりこうやって謎の多いキャラがいると興味の惹かれ方がかなり違ってきますね。勉強になりましたm(_ _)m

では(3)期待してます~wがんばってください~ヽ(´-`)ノ

◆しげさん
ありがとうございますー。
そうですか?
海賊ミスラは,最初謎の人物だったじゃないですか~。
これからも,ちまちま進めて行こうと思います。
本当に書きたいシーンは,まだまだ先なので( ̄▽ ̄;

Hahahaha!
あれだね、文章書くのって難しい!
プロットとか、箱書きとか、調べてみたけど、本当難しいね。
でも、天からアイディアが降ってくるわけじゃないし、
それに、書きたい物語があるなら努力もできるってもので。
あー、つまりなにが言いたいかというと、
早く続きを読ませてくだs

こちらももう少しがんばってみます(´・ω・`)

◆ふらふらさん
ふらふらさんのは,ちゃんと一文一文凝ってますもんね!
私の深みのない文章とは大違いw
続きは,まぁ,のんびり,ちまちま行くつもりです( ̄▽ ̄〃
ふらふらさんもがんばってー^^

ピエージェキターーーー!!!(まだだけど)
悪キャラもキターーーーーー!!!!

今後も黒いキャラの魅力を楽しみにしています。
え?さしゅさんの活躍はって?
じゃあ、それも適当に楽しみにしてます。ウヒヒw

◆みやさん
読んでくれてありがとう。
適当に……ってw
期待せずにお待ちくださいな~( ̄▽ ̄〃
……てか,ただでさえ,1日1回の記事じゃ消化し切れないネタを抱えているのに,小説を挟んだら,ますますネタがたまっていくことに気づいた……。
みやさんみたいに小説を別ページにすれば良かったのか!
今気づいた!!Σ( ̄▽ ̄;

うおっ、もう(2)上がってる
しかも、ブログでは2ページ目に押しやられている
さしゅさんのブログに対する情熱はすげぇぜ
最近は、書きたいって思うようなこともないんだよな~
さめてきてるのかなw

しかし、サンドリア国民は重税に困ってたんだな・・・
うううっ、可哀相に;;

◆ひーさん
FFXIやブログをやめて,仕事に100%集中しようか……という迷いが常にあったのですが,最近,自己実現は仕事よりもプライベートでという思想に移りつつあるせいかなw
軍備に力を入れているサンドリア国民の税金は,他国より高いかもですね……ジュノほどじゃないと思いますけど( ̄▽ ̄;

こういうファンタジー大好きです!

通りすがりが失礼しました。

◆ロスさん
10年前に書いたものにコメントをいただけて嬉しいです。
ありがとうございます。

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