ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ1-4

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3)


 第一話 白絹の少女 (4)

「リタ! 夜分にすまないが、アイルベーシュは来ていないだろうか?」
 玄関の外からの声に最初に反応したのは、エルヴァーン族の少年だった。
「やべ! 今日はお父さん、早番だっけ!」
 幼なじみの秘密を知って、なんとも情けない顔をしていた少年の目に光が戻った。
「あら、いけない。もうすっかり外が暗くなってるわね」
 婦人は、いったん壁にかかった鏡の前に行って、ほつれた髪をなでつけてから玄関に向かった。
 サシュはそのまま丸椅子の上に座りこみ、背中をベッドの側面にあずけた。小さなタルタル族の大きな頭のてっぺんが、かろうじて少女から見える位置にある。少年の父親エグゾロッシュ氏とは面識があったが、挨拶に出て行くほど親しいわけでもない。
 それに、自分はまだ帰れない。
 婦人が娘の秘密を打ち明けたということは、冒険者の自分に何かを依頼したいと言うことだ。それは病気に関する調査かもしれないし、白絹の衣に代わるアイテムの探索かもしれない。
 玄関の方から息子をしかる父親の声が聞こえた。
「馬鹿モン! こんなに遅くまでお邪魔して、リタさんにご迷惑だと言うことがわからんか!?」
「だって……」
「まぁまぁ」
 そんな遠くの声をよそに、サシュが少女の病気について考えを巡らせていると、頭の上から声が聞こえた。
「お母さんは、エグゾロッシュさんからプロポーズされてるの」
 初めて聞いた少女の声は、思ったよりしっかりしていた。部屋に二人しかいないことを意識した口調だった。
「お母さんは秘密にしてるつもりだけど、私、知ってるの。もしそうなったら、アイルが私のお兄さんになるのよ、素敵よね! ……でも、お母さんはプロポーズを受けられないの。すごい借金があるから……私の……せ……い……」
 涙声になって、最後は聞き取れなかった。母親にも幼なじみにも話せなかった心のつかえが、たった今吐き出されたのだった……。
「や……だ……、お母さんに、泣いてるの……見られ……ちゃ……」
 借金なんて子供が気にすることじゃない……そう言うのは簡単だった。しかし、母親に心配をかけまいと、泣くことさえガマンしてきたというのなら……。
 サシュはもう一度椅子の上に立ちあがって、少女を見つめた。
 少女が、初対面のサシュに警戒心を解いて話しかけたことは明らかだ。それはタルタル族特有の子供のような外見のせいかもしれないし、母親が少女の秘密を話したことで、信用すべき相手だと感じたのかもしれない。だからサシュは、会ったばかりにもかかわらず、少女にこんな質問をした。
「……マリィは、生きたい? それとも、死にたい?」
 ビクッと少女が震えて、濡れた瞳を上げた。そうして自分を見つめるタルタルの瞳を覗き込んだ。
 少女の答えは予想がついていた。ただ……少女自身に、それを自覚しておいてほしかった。
「生きたい……です」
 残酷だと言う人がいるかもしれない。だが、少女には生きて行く上で必要な心のエネルギーが、少なくとも今はまだ確かに輝いていた。
「本当は……夢があるの。誰にも言ったことないけど……無理かもしれないけど……」
 サシュは黙ったまま聞いていた。
「アイルは十三歳になったら、冒険者になるんだって。そうして、たくさんの世界中の話を私に聞かせてくれるんだって。でも私は……私も冒険者になって、アイルと一緒に世界中を周るのが夢なの!」
 少女がサシュの反応を心配するように、口を閉じた。もしここで否定的な言葉を一つでも返されたら、少女が再び心の殻に閉じこもってしまう……そんなあやうい時間だった。
 サシュは落ち着いた声でこう答えた。
「その依頼、引き受けた」
「……え?」
 少女がキョトンとした顔で見つめるのを背に、サシュは椅子を飛び降りた。そしてくるりと振り向くと、ベッドの上に顔を出した少女を見上げた。
「この国で受けた依頼は、百パーセントこなしてきた。だから、この依頼も必ずこなす」
「え……でも……私、依頼なんて何も……それに、うちには報酬にできるようなものは……」
 少女の言葉が終わらないうちに、どういうわけか、婦人、少年、その父親の三人が部屋に入ってきた。
「マリィ、今日はエグゾロッシュさんが、料理を作ってくださるんですって!」
 婦人が嬉しそうに、娘に微笑んだ。
「もともと今日は早番で、私が料理をする予定だったんだよ。そのための買い出しに行っていたはずのコイツが、私が帰宅しても帰っていなくてね……。おかげで、食材もここに置いたままだったわけだが……おや、サシュ殿ではないですか!」
「だから言ったろ! 変な奴らが来てたから、サシュを連れて来たんだって!」
「ウソをつくな、アイルベーシュ! さっきは、自分が追い返したと言っていたではないか!」
 少女が笑っていた。婦人も笑っていた。
 サシュは、さっさと自分のかばんを背にかけて、手を振った。
「今夜は、失礼します。良いお食事を」
「サシュ殿もご一緒にいかがですか? 私の記憶が確かならば、この家の主人は心の広い方ですぞ」
 おどけた言い回しをしてみせたエグゾロッシュに、婦人がすぐに応えた。
「もちろんですわ! それにまだ、サシュさんにお話ししたいことが……」
 サシュは首を横に振った。
「残念ですが、今日は重要な依頼を受けたばかりなのです。近いうちにまた顔を出しますので、ご心配なく」
 リタ家を後にしたサシュが振り返ると、窓から暖かい光が漏れていた。
 夜の街はすでに涼しく、石壁に切り取られた空には、たくさんの星が静かに瞬いていた。

   *

「これ、ぼくのじゃないよ」
 楽しい食事の後。
 帰りがけに渡された小さな人形を見て、アイルベーシュはけげんな顔をした。
「おかしいわね、てっきりあなたが持ってきたのかと……サシュさんかしら?」
「ううん、お母さん。サシュさんが来る前から置いてあったよ」
 エグゾロッシュがじっと人形を見つめた。
「これは……どこかで見たことがある。たしか……王室親衛隊の資料保管室だったかな……」
 どうしてそんなものがこの子の部屋に……そうつぶやく婦人の前で、エルヴァーン族の騎士が記憶をたどっていた。
「お父さん、王室親衛隊って知ってるの? お父さんのいる王立騎士団と関係あるの? ……昼間来た怪しい連中って、王室親衛隊って言ってたんだけど……」
「よくは知らん。ただ、ピエージェ様が急病とかで、国政に口を出しているのが……まぁ、子供には関係のないことだ」
 子供扱いされた息子がむっとしたのには気づかず、父親は話を続けた。
「その人形は……目立っていたので覚えている……。確かウィンダス連邦の魔法人形で二体あったはず……別々にその人形を持てば、離れた場所でも会話ができるとか……」
「気味が悪いわ、ロッシュ。王室関係の物なら、あなたから返していただけないかしら?」
 不安げな婦人を、エグゾロッシュが元気づけるように胸を張った。
「まかせておけ、リタ。おかしな疑いなどかけられぬよう、うまく返しておこう。心配せずに、今夜はゆっくりとお休み。それから……」
 エグゾロッシュが婦人に少し顔を近付けた。
「困ったことがあれば、何でも言ってくれ。どんな相談でも、必ず力になるから」
 少年の顔が少し曇った。少女の秘密を思い出したからだ。
「どんな相談でもだ」
 エグゾロッシュが念を押した。
 もしかして、お父さんは知っているのだろうか……。
 少年はいつもより少し尊敬の念を込めて、父親を見上げていた。

 ~第一話完、第二話へ続く


コメント

その時全世界が泣いた・・・・
おいらもその子助ける~手伝わせて~(ToT)

うんうん
ワタシにでもお手伝いできるかなぁ・・・(´;ω;`)

ううっ、ヒゲの目にもなみだ・・・
うるうるしちゃいましたよ、続きが楽しみです。って完でしたね^^;。サンドリアのミッションやりたくなってしまったw。

◆がいばーさん
コメントありがとうございます。
また,よろしくお願いします^^

◆小花さん
コメントありがとうございます。
また読んでください^^

◆あーろんさん
コメントありがとうございます。
あーろんさんのコメントを読んで,「第2話に続く」を書き足させていただきました。
元々ここで終わるつもりではなかったので,よろしければ続きも読んでください。
本当に描きたいシーンは,もっとずっと先なのです。

さしゅさん男気に溢れてるのです(*゚―゚)
ますます続きが気になるのです(・ω・)

(´;ω;`)ブワッ

生きたいと言わせるさしゅさんの強さ、って
もうね、ヴァナのどこ?!サンドのどこのクエなんですかっ!
なっちにもやらせてくださぃよおおおおおおおおお

。:゚(。ノω\。)゚・。 ウワァーン

あたしに常にリジェネ3かけさせてくださいよぅ(´Д⊂
と思わずにはいられないさしゅさんの男気溢れる小説にくびったけ

ヽ(・∀・)ノ ナチョーイ♪でした。w

おおー、1話完結ですか。お疲れ様です~。
カッコイイですなー!仕事人って感じでw
ただ親しい間柄の人をここの家の主人って言うのがちょっと気にかかったけど、まぁそれも大した問題じゃないねw
まぁなんにせよ面白かった事に間違いは無いです。続きの執筆もがんばってください~!

◆ふるさん
コメントありがとうございます。
自分主人公物語ですみませんw
というか,小説のサシュは,ブログのさしゅやヴァナのSashとは別人ですw
うむうむ。
続きもがんばります。

◆なっちさん
コメントありがとうございます。
こんなクエはありませんが,アイルベーシュ君は,いつも北サンドの真ん中に突っ立ってますw
本当は,もう少し入れたいエピソードがあったのですが,話の流れが悪くなりそうで入れられませんでした。
おいおい出てくるかもしれないので,ここには書きませんけどw
続きを書いたら,また読んでくださいな!

◆しげさん
コメントありがとうございます。
もう開き直って,サシュをかっこよく書いてますw
「この家の主人」の言い回しは,イクスローシュがサシュに気を遣って,わざとおどけて言ってるんですが,しげさんがそう思ったと言うことは,書き方が足りなかったですね。
後で加筆修正するかも。
応援の言葉,ありがとうございます^^

サシュのストレートなセリフが良いですね~♪
オレはセリフ考えるのが苦手なんで、さしゅさんの小説は良い刺激になってます。
第2話も楽しみです(*´∇`*)

それと・・・ですね。
あ、これは管理人のみ表示で書くことにします。

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「その依頼,引き受けた」

カコエエな!!!


そしてイクスローシュですか!!!
まさかあのオヤジがこんなところで活躍するとは!!!
地味なNPCフェチの私は激しく燃えてきましたですよ!w

◆ひーさん
コメントありがとうございます。
セリフは……私が書くと,ついついセリフだけになったり,長いセリフになったりするのがイヤで,できるだけ短くしようとしちゃうんですよ~。
親しみが持てて,情緒あるセリフが理想なんですけど……全然だめw
精進せねば……。

名前の件は,ありがとうございます♪
父親の名前は,息子の名前の読みから類推して,イグゾローシュかなと思ったのですが,音感が悪いなぁと……イクスローシュにしちゃいました。
どっちにしろ,ハズレてたみたいですね~( ̄▽ ̄;
既存の設定がある以上,正確さは重要だと思っていますので,後で,本文に書き足しときます。
情報,ありがとうございます!
出展は,設定資料集??

◆みやさん
コメントありがとうございます。
とりあえず,サシュとSashとさしゅは別人だから!
サシュは,ある意味,キザで恥ずかしいヤツかもしれないw
ミッションとかに関わらないNPCは,これからもわりと登場しそうです( ̄▽ ̄〃

ナイトAFクエで名前が出てきますね。
こちらのサイトでナイトAFを参照すると、はっきり書かれてますよ(*´∇`*)

ttp://tamtamtam.hp.infoseek.co.jp/

小説を書く上では結構役立ちます。
オレはNPCの口調などの研究につかってますね。
モンブローとかw

◆ひーさん
おぉ,ありがとうございます!
参考になりますね……というか,うかつにNPCを出すのが恐くなりましたw
所属は王立騎士団だったのか!逆じゃん!
……とか。
うひー( ̄▽ ̄;
口調はもう,あきらめてますけど……。
ひーさんの研究熱心さの一端をまた垣間見てしまった。
すごい,さすが!!
サンドリアがフランス読みが基本と言うのは,その通りで,バスはドイツ語っぽいですよね……東方由来の日本名もあるけど( ̄▽ ̄〃

お、やっぱりひほも同じとこ見てたか。
俺もそこで口調とか調べてるよ~

後キャラの設定とかならもうご存知かもしれないけど
http://www.pomum.org/?FrontPage
ここを参考にするといいかも~。
各国の歴史とかいろんなこと載ってるからゲームと細かい部分まで差異を無くしたい場合は便利ですよ~。

◆しげさん
うんうん,ありがとうございます^^
せっかく,皆さんにいろいろ指摘してもらったので,せめて気づいたり教えてもらったりした部分はオリジナルに忠実にしようかなぁと思いました。
というわけで,後で,ところどころ変わってるかもですw
ただ,口調だけは,ちゃんと研究するのが面倒なので,最後までてきとーになりそうですケドw

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