ささやかに駅メモ!

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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ2-1

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)


110722 2話

 第二話 罠 (1)

 南サンドリア地区から北サンドリア地区に抜ける場所に建造されている巨大な凱旋門。
 その近くの木陰に立って、サシュは遠くの競売所をぼんやりと眺めていた。薄曇りの空はどんよりと黒ずみはじめ、サシュの心のどこかをせかしている。
 夕立が来る……その予感が、街を行く人々を早足にさせていた。
 サシュはもう一度、今朝のことを思い返した。

 冒険者用のレンタルハウスでいつもより遅く目覚めたサシュに、世話係のモーグリが手紙を渡した。
「今朝早く、ご主人様に手紙が届いたクポ!」
 世話好きのこの生き物は、頭に球体をぶらさげ、背にはコウモリのような羽をはばたかせて、ふわふわと部屋を移動する。掃除やベッドメイクを仕事として、太古から人間と暮らしを共にしてきた人なつっこいモグハウスの住人だ。
 モーグリから受け取ったきらびやかな封筒には、王室の豪華な装飾模様の蝋印がしっかりと押されていた。表には〝召喚状〟と書かれている。
 手紙の内容は、いたって簡単だった。本日、日没前に王城・ドラギーユ城に来いというものだ。最後に〝国務代行代理 ベッケル〟とサインが入っている。
 ベッケルという黒鎧の騎士は、どうやら本当に国王に匹敵する権限を今現在有しているようだ。サンドリア王国は冒険の重要な活動拠点の一つである。逆らうわけにはいかないだろう。
 この日、サシュは午前中にリタ邸を訪ねた。三日前に、手足が炭化する病気の少女マルガレーテと出会った家だ。
 目的は二つ。
 一つは、炭化を食い止めている白絹の衣の入手経緯を知ること。これは、リタ婦人からの依頼が〝白絹の衣に代わるアイテムの入手〟だったので、こちらから聞かなくても婦人が衣の入手経緯について語ってくれた。
 もう一つの目的は、白絹の衣にエンチャントされたリジェネの魔法の期限を知ること。これについてはリタ婦人も知らなかったので、正確にはわからなかった。サシュは、ポケットから取り出した一本の輝くような白い絹糸と、マルガレーテの着ている白絹の衣を長い時間見比べた後、婦人に語りかけた。
「これは、三日前に白絹の衣から抜き取った、ほつれた糸です。見る限り、輝くような白さは全く変わっていない」
 婦人が頷いた。
「そうですね……三日くらいでは……。この衣を購入したのが、ちょうど三年前……マリィが七歳の時です。毎日見ているので、日々の変化はわかりませんが、購入当時は今よりもずっと……本当に光を放つような白さだったと記憶しています」
 本来の絹の色に戻った時は、衣の魔力が失われた時だ。そのことは、婦人も直感でわかっているのだろう。顔に不安の色を浮かべた。
 出来上がったばかりの浄化合成布の白さを、サシュも見たことがあった。色の変化からエンチャントの期限を予想するのは危険だが……あと二~三年といったところか……。少なくとも、一~二ヶ月ということはなさそうだ。それがわかっただけでも、大きな収穫だった。
 午後には、マルガレーテの幼なじみアイルベーシュ少年を訪ねた。
 ただ遊びに来たように釣りの話題などで盛り上がったが、真の目的は別にあった。現在、サシュが抱えている最も重要な依頼……〝マルガレーテを冒険のできる身体にすること〟。そのタイムリミットを、確認するためだった。
「ところでアイルの誕生日って、そろそろだっけ?」
 アイルベーシュの目がキラリと光った。
「何? 何かくれるの!? 今日……実は、今日が誕生日! ぼくさ……新しい釣り竿が欲しいんだよねっ!!」
 サシュが笑った。
「へー、それは残念。もう少ししたら大金が入って、いい竿を買ってあげられたのになぁ。今日じゃ間に合わないなぁ」
 少年は慌てて訂正した。
「じょ……冗談だってば! 本当は二ヵ月後。十二歳になるんだぜ! 大人用の超高級釣り竿でヨロシク!!」
「了解~」
 大金が入ると言うのは嘘だったが、ハルシオンロッドをプレゼントして驚かせてやろうとサシュは決めた。錬金術合成でできる高級釣り竿で、ちゃんと銘を入れてやるつもりだ。
 マルガレーテは、アイルベーシュが十三歳で冒険者になると言っていた。そして、自分も冒険者になって一緒に世界を回りたいと。ということは、依頼〝マルガレーテを冒険のできる身体にすること〟の期限は、一年と二ヶ月ということになる。

 一年……遅くても一年で、メドをつけよう……。競売所前を行き交う足早の人々を眺めながら、サシュは自分の決心を確かめていた。
 ぽつりぽつりと雨粒が顔に当たったかと思うと、一気に大雨に変わった。
(おっと、ぼんやりしていたな……)
 サシュが慌てて雨避けのために凱旋門の下に駆けだそうとした時。傘を差し出した人物がいた。
「失礼ですが、ドラギーユ城がどこにあるか、ご存知ありませんか?」
 傘をかざし、タルタル族のサシュの目線まで腰を落として語りかけてきたのは、ヒューム族の娘だった。エルヴァーン族が八十パーセントを占めるというサンドリア王国で、最近はよくヒューム族に会うなぁとサシュは思った。
 その娘と視線が合った時、サシュの呼吸が本当に一瞬止まった。
 息を呑む美しさとは、このことか……とても美しい娘であった。年の頃は、十八~十九といったところ。その端正な美しい顔に、どこかあどけない可愛さを残し、腕と腰が締まったフリル付きのワンピースが、スリムな体型を示していた。美女と表現するには、細身すぎて色気が足りないかもしれない。しかし清楚で可憐な印象は、触れると壊れるのではないかと思えるほどだ。
 清潔感あふれるブロンドのストレートヘアに、雨粒が光っている……。
「…………」
 ……何だろう……何か、違和感を感じる。

「あの……、お忙しいようですね、ごめんなさい」
 黙ったままのサシュを見て、娘が頬を赤くして去ろうとした。
「あ……いえ、すみません。ドラギーユ城なら、これから向かうところです。ご案内しましょう。ええと……私は傘は不要ですので」
 そう言うと、サシュはかばんからブラッククロークを出して頭からかぶるように羽織り、彼女の前を歩いた。歩きながら、違和感の正体は何だろうと考えた。
 タルタル族は足は短いが、その動きは速い。距離が開きすぎないよう、時々後ろを振り返ったが、ついてくるのは、どう見てもただのヒューム族の娘だった。

 凱旋門の長い通路を抜けると、すぐに立派なドラギーユ城が視界に入り、サシュが指差して見せたが、娘はそのままついてきた。
 ドラギーユ城の番兵に〝召喚状〟を見せた時。番兵が彼女に警戒感を持っていないことにサシュは気づいた。
 そこでようやく、違和感の正体に思い至った!
 傘をかざされた時、サシュは競売所の方を眺めていた。もし競売所の方から娘が来たのであれば、ぼーっとしていたとは言え気づかないはずがない。彼女は凱旋門を通って来たのだ。
 おそらく……ドラギーユ城の方から……。
「さあ、参りましょう」
 美しい娘はにっこりと微笑み、今度は自分が前を歩き始めた。
 サシュの警戒心が、一気にMAXに引き上げられた。まるで、モンスターの巣に飛び込む瞬間のように……。

 ~(2)へ続く


コメント

MAX
カタカナで【マックス】ではなく、英語で【MAX】
この表現が最大という意味を高めてる気がしました

次回楽しみにしてますよ/grin

◆ひーさん
ちょ……コメント早っ!!w
いいタイミングでアップできたみたいで良かった。
英字でMAXは,あまり深い意味はなかったけど……英字で書いちゃうのは,理系だからかなぁ?w
良い方向に感じてもらえたなら,良かったです^^

2話(1)執筆お疲れ様です~。
速いですねぇ・・って俺がサボりすぎてるだけか・・w
けどただ速いだけでなく二重表現やミスなんかも無い所を見てしっかり見直しされてるなぁと感心してしまいます。
俺もがんばらねばw

おひさです。早いよね~書くの・・・

俺は創作系の小説とかあまり得意じゃないから分からないけどどんくらいの時間やアイデアなんかいるのかな?
絵とかも描けないしなんかダメダメな感じがしてきたw
どうぞご教授くだされw

ちなみにFC2に引っ越しましたw

初めまして^^
ジブつながりでこちらはさしゅさんの事一方的に知っていましたが、直接ご挨拶するのは初めてですw
この度ビス鯖大リンク計画に参入したく思いまして、ご連絡差し上げました。・・・って随分おせぇなオイwwというコメントは胸にしまっておいてください^-^
名:Raith
隠れ家:Ballad of Fallen DRG
です。宜しくお願いいたします^^

どぇえぇぇっ ∑( ̄□ ̄;)!
ヒュームの金髪美少女!! エルヴァーンじゃないっっ!!
さしゅさんなら 〝美少女〟という表現はエル♀にしか使わないかと・・・ぁ、
でも ナジェリスはヒュムかぁ。 ←勝手に納得 ( ̄ー ̄)

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◆しげさん
ありがとうございます~。
二重表現って何だろう……そういう用語がわからない私でごめんなさい。
誤字脱字が少ないのは,書いてる最中に,何度も最初から読み返すからかもです。
そうしないと,私は,文章のリズムがおかしくなっちゃうからなんですけどw
見返すたびに修正箇所が見つかります( ̄▽ ̄;
しげさんの小説の続き,期待してます~♪

◆ヴぁんさん
私はど素人なので,参考にしない方がいいと言うか,参考にならないと言うか……。
プロットとか書けないんですよねww
ひたすら頭の中で考えて,できるだけ細かく考えていくんですけど,実際に文章にし始めると,結構違う内容になったりとか……。
さすがに大まかな流れは変えないようにしてますけど。
まぁ,てきとーってことで……すみません( ̄▽ ̄;
URL,変更しておきました~!
ご連絡ありがとうございました^^

◆槍@れいすさん
初めまして!
ビスブロ☆プロジェクトご賛同ありがとうございます^^
早速,リンクさせていただきました~♪
ヴァナでも,よろしくお願いします( ̄▽ ̄〃

◆小花さん
そ……そんなに驚かなくてもΣ( ̄▽ ̄;
私が好きなのはエル♀のし……あ,いえ,なんでもないですw
いつも感想ありがとう♪

◆秘密コメントさん
あーうー,その通りなのです。
たぶんご覧いただいた時にも,いくつかのセリフはそうなっていたと思います。
気が付くと直しているんですが,誤字脱字は気づいても,セリフの最後の句点省略は,よく忘れます。
過去の分も見返すと,結構あるかも~( ̄▽ ̄;
ご指摘,ありがとうございます^^

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さしゅさん文才ありますね~^^
更新毎回楽しみにさせてもらってます

「陰謀渦巻くドラギーユ城にさしゅの怒りが静かに燃え上がる!次回カーバンクル・カーズ是非お楽しみに!」って次回予告が聞こえそうです^^

執筆がんばって!

コメントありがとでしたぁ^^

あたしもさしゅさんの小説楽しみにしておりますw
*隠れファン*ですwww

次回も楽しみにしてますね(´▽`*)

あ、二重表現って言うのは例えば「一緒に協力する」とか「補足説明を追加する」とか「まず、第一に」とか言う感じで同じ表現を重ねる事です。「頭の頭痛が痛い」とかもそうですねw
プロの作家さん達もしばし二重表現をしちゃって修正される事が多いそうなのでご注意を。
http://www.raitonoveru.jp/index.htm
ちなみにここに書き方やタブーなんかが載ってますので参考にどうぞ~

◆がいばーさん
ありがとうございます^^
次回予告とは,贅沢なΣ( ̄▽ ̄;
執筆,がんばります~♪

◆すてさん
か……隠れファンって……!
みんなで隠れましょうw
ありがとうございます。
がんばります~。

◆しげさん
なるほどー!
でも,「頭の頭痛が痛い」以外は,OKな気がする私ですw

誰かに協力することは一人でもできるので,二人以上で協力すれば「一緒に協力する」ってありなような……。
「友人と一緒にコンサートの運営に協力した」とか。
「補足説明」そのものと「追加する」行為は別物な気がするし。
「まず」と「第一」も別物で,第一の項目を最初に述べるかどうかはその人の判断だと言う気が……。
違うんだろうか……。
「車に乗車する」とかは,まずいと思いますけどw

ご紹介のサイトに「美少女の書き方」とあるのに笑いました♪
でも書いてあることというか,書いている人の着目点や表現が,すごく素人くさ……生意気ですみません( ̄▽ ̄;

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