ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ2-2

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1)


 第二話 罠 (2)

 歴史の重みを感じさせる石造りのドラギーユ城。その広い廊下を、謎の娘とサシュが歩いていた。
 召喚状を見せたにも関わらず城内から案内が来ないということは、彼女が案内人……というよりは、いつまでたっても凱旋門でのんびりしているサシュの情報を聞きつけて、迎えに来たのが彼女といったところであろうか。
 こんなにお洒落な服装で城内をうろつけるのは王族くらいだろう。とはいえ、この美しい娘の噂など今まで聞いたことがないから、今や〝国務代行代理〟となったベッケルの身内に違いないとサシュは思った。
 ベッケルが玉座でふんぞり返っている情景を想像して、サシュは顔をしかめた。楽しくない時間が始まりそうだ。
 ところが、このサシュの想像は裏切られることになる。要所要所に立つ兵を通り過ぎて、娘は無言のままサシュを地下へと導いたのであった。

「遅かったな、サシュ」
 ランプの光が揺れる小さな部屋で、大きなデスクの向こうの革張りの椅子に座したベッケルと対面した。サシュが会釈をすると、ベッケルは頷いた。散らかった部屋の中と外には、例の黒鎧たちが立っている。
「ご苦労だった、ミサヨ。確かに部下に頼むより、君に頼んだ方がスムーズに事が運んだ気がするな」
「お役に立てて何よりでございます、閣下」
 ミサヨと呼ばれた娘は、サシュの横でベッケルに頭を下げた。どうやら彼の身内というわけではないらしい。
「お前達冒険者を呼んだのは、もちろん依頼を出すためだ……どうした、サシュ? 意外そうな顔だな」
 三日前のリタ邸でのことなど忘れたかのように、ベッケルはサシュに笑みを見せた。
 ベッケルは犯罪人でもなければ敵でもない。れっきとした国家の要人である。だが、サシュが警戒心を解くことはなかった。
 異種族とはいえ、簡単に国民の一人を殺そうとしたこと……そして、それを邪魔したサシュに〝後悔することになる〟という台詞を残したことを忘れてはいない。
 その彼が、今さら自分に何を依頼すると言うのであろうか。
「まあ、いい。最初に言っておくが、このサンドリア王国のことを……いや、世界のことを一番考えているのは、この俺だ。そのためなら、この命さえ惜しくはない」
 口ひげの男は、さらりと言ってのけた。
「能天気なタルタル族、気まぐれなミスラ族、金のことしか頭にないヒューム族、馬鹿力だけのガルカ族……こんな奴らが、好き勝手に生きているから、この世はいつまでたっても幸福に満たされた秩序ある世界にならんのだ!」
 目の前にいるのがタルタル族とヒューム族であることは、気にしていないようだ。
「いいか、この世で最も優れた存在であるエルヴァーン族が世界を治めてこそ、他の種族も真に幸せになれると言うものなのだ!」
 突然、狭い部屋が拍手で満たされた。黒鎧たちが、ベッケルの思想に染まっている事は明らかだった。ベッケルは、両手を振って拍手を止めると、苦悩の表情で頭を横に振った。
「だが、国王陛下はご決断なされない。獣人どもの脅威に立ち向かう方が先だとお考えだ。しかし、考えてみるがいい……サンドリア王国が世界をまとめ上げれば、統制が取れた完璧な軍隊が出来上がるだろう……獣人どもなど恐るるに足らんのだ! そして、真の楽園への扉が開かれることになるであろう!」
 再び、拍手が湧き起こる。内容の是非はともかく、ベッケルは本気で話しているようだ。彼なりの思想に基づいた真剣な言葉だからこそ、賛同者がいるのであろう。
「よく聞け、冒険者たち」
 ベッケルの声のトーンがやや落ちた。
「お前達への依頼は、サンドリア王国としての正式なものだ……ただし、極秘のな。それだけの報酬を期待して良い」
 ベッケルがデスクの引き出しから、指令書らしきものを取り出した。まるで国家指令《ミッション》のようだが、サンドリア国民でない者にミッションは出せない。ただの依頼であれば、それは〝冒険者へのお願い〟であり、引き受けるかどうかは冒険者の気分次第のはずだ。
 ベッケルは、断れない雰囲気を作り出そうとしているようだった。
「冒険者にして、黒き雷光団《ブラックライトニング》団長ミサヨ。貴殿は、ジュノ大公国に赴き、仲間と共にジュノの飛空艇団を一艇残らず奪って来い。期限は一ヶ月」
 ――それは立派な国家犯罪だ。
 このような地下の小さな部屋に呼ばれた理由が、わかった気がした。そして、この男が本気だと言うことも。
「冒険者にして、錬金術師範サシュ。貴殿は、ジュノ大公国に赴き、大公カムラナートの命を奪って来い。手段は任せる。期限は一ヶ月。……この二つの依頼は、連携して実行してもらう。一方が先に成功すれば、もう一方がやりにくくなるだろうからな」
 まともな依頼ではない。サシュは、返事をする前にミサヨの動向を伺おうと思ったが、彼女も黙ったままだった。仮に成功したとしても、報酬どころか消されかねない。
 短い沈黙の後、ベッケルが遠くを見ながらつぶやいた。
「ああ……何と言ったかな……もう何ヶ月も、税金未払いの母子家庭があってな……」
 ミサヨの表情が一瞬固まったのを、サシュは見逃さなかった。ベッケルが言っているのは、リタ、マルガレーテ親子のことに違いない。自分への脅しだと思ったが、ミサヨが反応したのは意外だった。
「お前達が引き受ければ、これまでの滞納金のことは忘れるとともに、依頼期限までの一ヶ月間は放置するとしよう。ただし、断れば……」
「喜んで、お引き受けさせていただきます」
 ミサヨが即答した。その表情に感情は読み取れなかったが、繊細な指が握り締められ、震えていた。
 満足気に頷いたベッケルは、次に、口ひげをさすりながらサシュを見る目を細めた。
「サシュ、お前には、街中では禁じられた魔法を使用した罪がある」
 もちろん身に覚えがある。マリィの命を救おうとして放ったスタンのことだ。ただし、被害が出ていないので、大した罪にはならないはずだった。
 ……ベッケルが、国務代行代理という立場を利用することを忘れていれば。
「その罪により、禁固三年を言い渡すこともできるのだがな……」
 やられたっ……!
 今度は、サシュがこぶしを握り締める番だった。三年拘束されれば、マリィを冒険者にするという依頼の失敗はもちろん、白絹の衣の魔力が失われている可能性が大きい。仮に、リタとマリィをベッケルから遠ざけられたとしても、自分が捕まっている間にマリィの命は終わってしまう……。
「お引き受け……いたします」
 この場は、引き受けるしかない。サンドリア国王がバストゥーク共和国訪問から戻れば、状況が変わる可能性もある。
 ここが盗賊団のアジトか何かで、ベッケルが世間が認める犯罪人であるならば、どうとでもできた。油断させ、範囲睡眠《スリプガ》でも唱えれば、取り押さえる事も、騎士団に突き出すことも簡単だ。しかし今のベッケルは、騎士団に命令を出せる立場なのだ。力で解決しようとすれば、世界中から追われる身になることは間違いないだろう。
「うむ、それでいい」
 それだけ言うと、ベッケルは引き出しから小さな箱を取り出し、中身をミサヨとサシュに見せた。ビロードの布に包まれた台座の上に、真珠の指輪が二個乗っていた。
「これは、遠距離で声を伝えるためのリンクパールを指輪にしたものだ。先程も言ったように、今後は二人で連携を取ってもらう必要があるからな。そして、ジュノに潜入させた我が同胞に対する目印も兼ねている」
 ここまで来たら、素直に従うしかない。ミサヨとサシュは、それぞれ同じ形の指輪を、大きさが合いそうな適当な指にはめた。
 とにかく、ここを早く出たかった。先のことを考えるのは、それからにしたいと言うものだ。
「く……くくく」
 ベッケルが笑っていた。
「行っていいぞ。まぁ、せいぜい頑張ってくれ。期待はしておらん……上手く行けば、儲けものだ」
 その言い方に少し引っかかったが、後で考える事にした。
「デジョンで失礼します。一刻も早くここを出たいので」
 そう言うと、サシュは帰還《デジョン》の詠唱を始めた。デジョンは、街中での使用を許可されている数少ない魔法の一つだ。一瞬で、あらかじめ設定したホームポイントに帰ることができる。ミサヨとの連絡は、パールを使って後で取ればいい。
 そのはずだった……。
「どうした?」
 ニタニタと笑いながら、ベッケルが嬉しそうにサシュを見つめていた。デジョンは発動しなかった。冒険者レベル17で習得してからこれまで、何百回と使いこなしてきた魔法だ。失敗などありえない。
 それを見たミサヨがハッとして、はめたばかりの指輪を外そうとした。
 ……外れなかった。

「呪いの指輪か!」
 サシュは己の間抜けさを悔いた。警戒していたはずだった。ベッケルは初めから自分を信用していなかった。依頼など、どうでも良かったのだ。
「入手には苦労したのだ……せいぜい楽しんでくれたまえ」
 醜く笑うベッケルは、今やはっきりと〝敵〟であった。私怨……三日前に、部下の目の前で無様に転ばされた……ただそれだけのことが彼のプライドを傷つけ、ここまで手のこんだことをさせたのだった。
 呪いのアイテムは、他人に使用可能な状態で所持しているだけで罪に問われる。ベッケルがここまでやるとは、思っていなかった。おめでたい事に、サシュは彼の立場をわずかでも信用していたのだ。
 ……全ては、手遅れ。ベッケルに一矢報いる力は、指輪によって封じられていた……。

 ~第二話完、第三話へ続く


コメント

自慢したのがばれたしげまるです。こんばんわ。

いやーすごい展開ですね!この先どうなるのかが非常に気になりますw
今回結構さらっと出てきてましたけど、ジョブレベルじゃなくて冒険者レベルとするとはなかなか斬新ですね~。

そういえばFF11には呪いのアイテムって無いですね。呪われた~ってのはあるけどつけれないし。
ドラクエで装備した瞬間にデデデデデデデンデロデンと流れてビックリしてた頃を思い出しましたw

ではでは、3話執筆もがんばってくだされ~

◆しげさん
ありがとうございます~。
ジョブの扱いをどうするか……まだ詳細まで詰められていませんw
システム上の設定としては,もちろん存在するわけですが,それを実際の冒険者がどう認識しているかはまた別問題ですよねー。
ホントは,レベルとかスキルを数字で表現するのも好きじゃないのですが……FFXIプレイヤーにはその方がわかりやすいので,妥協したってところがありますw
呪いのアイテムは,FFXIでは,確かにそうですよね~!
私の中のファンタジーの原型がTTRPGのD&DやそれをもとにPCゲーム化したウィザードリィとかだったりするので,そっちの影響が大きいかもです( ̄▽ ̄;
D&Dなんて,若い人は知らないかも~??

呪いの指輪登場であの音楽をを描写しようとしたらしげさんに先を越されていた件について。

極右ナチスきましたねー。
美少女はミサヨちゃんでしたかw
描写がつねに「美少女」なとこにさしゅさんのこだわりを感じました。

DDOってのがあるらしいですよ、奥さんっ!
D&D Online…フェアリー鯖の烏合どもがそっちやってるっぽぃ。
うん。まぁ、俺にはPSUがっ!(買ってない
冒険者レベルはSWチックなのを思い出したアネでした。

◆みやさん
そうなんです。
自分でも気にはしてたんです,「美少女」の連呼はやめたいと……。
ただ「少女」と書くと,現段階で,どうしても「白絹の少女」の方が印象が大きいので……どうしたものかなぁと思いつつ,美少女の連呼に( ̄▽ ̄;
うーん,そのうち,書き換えてると思う……自分でも気にしているのでw

◆アネさん
ほほ~!
DDOなんてあるんですね!
検索して,サイトを見て来ましたが,ちらっと見ただけではよくわかりませんでしたw
ただ,D&Dの設定は,現存する全てのファンタジーRPGの原型だと思っているので,思い入れはかなりあります。
例えば,スリプルなんて便利な魔法が低レベルで使えるという思想は,D&Dで最初に驚きましたが,その後に出てきた多くのRPGでもあたり前のように継承されてますよねw
SWも結構,やりました。
なつかしー!
あれは,TTRPGが流行っていたからこそ盛り上がったシステムだった気がしますけどw
情報ありがとうございました。
アネさんからSWが出てくるとは……嬉し~♪

うお、さっそく書き換わっているΣ(・ω・ノ)ノ
白絹の「少女」とかぶるというのは頭になかった。なるほど、言われてみればそうだねぇ。単にさしゅさんの美少女へのこだわりかと思ってたwww
美少女固定も、それはそれでわかりやすくてよかったですよ~

そう思って読み返してみて、さしゅさんはナレーションでほとんど「彼女」を使わないのだなぁと気づきました。キャラ視点と中立視点をきっぱりわけているんですね。

◆みやさん
おぉ,レスありがとう♪
レスにレスをもらえるのは嬉しい^^
少女が使いにくかった理由をもう1つ思い出した。
年齢的に18~19歳というのを前の回に書いたんだけど,これくらいは「少女」でいいのだろうか?
「美少女」だと対象年齢が少し上がる気がしたのですよw
自分の年齢からなら,18~19は「少女」と呼べるんだけど,同世代からみたら,違和感あるよね,きっと……。
一般論として,どうなんだろう……。

みやさん含め,皆さんの,ご意見,お待ちしています!
ここで,確定すると,後々,ありがたいので,匿名でも全然OKでございますよ。
お願いします~。


しつこくレスにレスっ

ヒュム子、とくにミサヨちゃんフェイスはわりと大人っぽいイメージがあったので「少女というより女性のほうがしっくりくるかな?」とちょっと思ってました。
でも年齢設定、わりと若かったのねw
少女から女性へと羽化するはざまの微妙な年齢・・・ロマンですなぁ(話題違う)

ものすごく個人的な感覚だと「娘」という語が一番そのくらいの年齢に近いイメージです。でも全体の文章の雰囲気にはちょっと合わないかな(・ω・`)これからの本人の言動イメージによって、少女と呼んでぴったりくるかどうかが決まるのかも、と思いました。

・・・というかここまでいろいろ考えて書いてるさしゅさんがすごい!!と尊敬。

ふむ、確かに俺もそこら辺は悩むな。
ただミサヨさんの場合は言動からして「女性」でいいんじゃないだろうかとも思う。はきはき喋ってるしね。
ただ、こういう場合、日本に住んでるとあまり実感がわかないんだけど、他の国では18からは大人、それどころか15(元服)から大人と言う国もあるから、そっちの観点で行けば少しは解りやすいかも。
そして、これは俺の予想なんだけど。恐らくFFの世界は15(元服)から大人なんじゃないかと思ってる。
子供キャラがすごい幼い感じの子供しかいなくて、大人のキャラは殆どが仕事についてるところから。ね
だからまぁ、書くなら妙齢の美人。とかがいいんじゃないかな?

PS:少年の次は青年だけど、少女の次も青年なんだと最近知った。

◆みやさん
レスありがとう♪
あーそか,「娘」かぁ!
なるほど,検討してみます。
どうも最近,娘というと,「自分の娘」という使い方か「モーニ○グ娘。」しか頭になかったよ……w( ̄▽ ̄;
少女は,どうしても幼いイメージがあるので,ぜひなんとかしたい。

◆しげさん
「女性」は,私もよく使うんだけど,相手を大人として見ているか,不特定多数の場合かなぁ。
妙齢の美人って……表現が凝りすぎな気がしますw
自分には使いこなせない( ̄▽ ̄;
……他の文章とのギャップがねw
少女の次は青年といえば,青年だけど,男女混成の場合によく使われますよね。
女性のみで使われることはあまりない気がします。

今回初めてサシュさんの小説読ませてもらいました。

1話から通しで現時点までの話を読んだんですが
正直すごいと思いました。

文体も文章も読みやすく書かれていたので、一気に読めました。

合成職人のご自身の味を活かしつつ、オリジナルなストーリーが
とてもいいです。

そしてミサヨというフェローのパートナーを登場させるあたりは
してやられた!ってかんじですw

それにしてもカムラの暗殺と飛空艇強奪とは、大胆な発想ですね!
続きがとても気になります。
お忙しいとは思いますが、続きを【はい。お願いします。】

◆Leppardさん
ありがとうございます。
ひーさんやしげさんの小説もオススメですよ♪
みやさんのは……えーと……色々な意味で,オススメですよ!w
最近は,毎週日曜にUPが定着してきてはいますが……約束はできません( ̄▽ ̄;
でも,また読んでいただけると,嬉しいです♪

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