ささやかに駅メモ!

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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ3-1

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)


110728 3話

 第三話 黒き雷光団《ブラックライトニング》 (1)

 スライムから採れた透明なオイルと、あらかじめ切り分けた黄白色の蜜蝋を二個用意して水のクリスタルを使って合成する。すると、サイレントオイルと呼ばれる潤滑油が小瓶四本分できる。
 サイレントオイルは冒険者に最も重宝される薬品の一つで、鎧や靴に塗って使用する。そうすることで油膜を作り、金属同士や靴と地面の摩擦を減らして音を消す。聴覚で敵を感知するタイプのモンスター……例えば、アンデッド系や昆虫系、水棲生物系のモンスターの近くを、気づかれずに移動できるのである。
 朝から延々と。
 サシュは、スキル24で覚えたこのレシピを合成し続けていた。錬金術スキルが100に達しているサシュが合成すると、精錬の無駄がないので、たまに一度で八本分できたりする。
 すでにサシュの傍らには、百本以上の小瓶が積み上げられていた。
「ご主人様、こんなにたくさんのサイレントオイルをどうするクポ?」
「ジュノ大公国で売るのさ……金を作って、冒険者を雇う」
 心配げなモーグリの方を見もしないで、手を休めずにサシュが答えた。言葉の最後の方に、自嘲気味な響きがまとわりつく。
 五秒間の沈黙。
「ああ……作りすぎてしまったな。……ごめんよ、モーグリ……まだちゃんと立ち直れていないみたいだ」
 今度は、モーグリの方をしっかり見て、微笑みかけた。
「ご主人様、元気出すクポ! モーグリは魔法なんて使えなくても、毎日元気クポよ♪」
 今度は、サシュが本気で笑った。
「あはは! そうだね、モーグリ。……ありがとう、じゃあ、そろそろ行くよ」
 出発の準備は二日前にできていた。そこに、正確に数えた百二十本のサイレントオイルを入れた大きな布袋を加えて、サシュはレンタルハウスを出た。余った二本は、自分用にいつものかばんに入れてある。

 サンドリア王国の上空は、曇り空だった。
 ドラギーユ城を訪れ、呪いの指輪に魔力を奪われた五日前のあの日から、曇りと秋雨を繰り返す日々が続いていた。あれだけ厳しかった残暑は嘘のように昔のことになっていて、涼しい風が建物の間を静かに流れている。
 正確には、全ての魔力が奪われたわけではない。
 いろいろ試したところ、冒険者レベル15までの魔法は使うことができた。サシュが冒険者になって、たった三年ほどで到達したレベルだ。人数を集めれば、一般市民でも倒せそうなモンスターくらいしか相手にできない。
 過去二十年間の冒険者としての経験が全て無に帰したという事実は、自分で思っていた以上に、精神的な衝撃となっていることを認めざるを得なかった。
 いずれは指輪の呪いを解く手がかりを求めて、冒険に出る必要がある。レベル15で踏み込めるエリアは限られているが、それでも行くことになるだろう。
 だが今は。最優先の依頼がある。奇病に苦しむ少女マリィを、冒険ができる身体にすること……これだけは、どんな困難があろうと達成する。そう決めたから。その決意が、今のサシュを確実に動かしていた。

 賑やかなサンドリア港に着くと、大きな木箱が飛空艇の甲板に積まれているところだった。
小さな家一軒分あるのではないかと思える、見上げるほどの巨大な箱だ。木工ギルドの職人が組んだ木製の簡易クレーンと、足場、そして移動やテコに使われるたくさんの丸太の周りで大勢の職人達が動き回っていた。ちょっとしたお祭り騒ぎに、見物人もたくさん出ている。
 飛空艇は、サンドリア王国とジュノ大公国を結ぶ、最も快適かつ安全で、速く移動できる交通手段だ。係員に出港時間を聞くと、あと三十分程らしい。サシュは港内の免税店をのぞきながら、時間を潰すことにした。
「お、サシュさんじゃないの! どう、これ、サンドリア土産に買ってかない?」
 大きな声がした方を見ると、体格のいいオヤジが大股を開いて椅子に座っていた。サシュの背の高さくらいありそうな木箱をぺちぺちと叩いている。
 サシュが近付くと、オヤジはニヤニヤしながら立ち上がって、箱の中身を見せた。
「どう? 最高級のサンドリアグレープで作った上物ワインだ。こっちじゃ、あまり需要がないんだけどね……ジュノだと、高級料理用に高く売れる! 最後の一箱百本入りで、ズバリ三万ギルでどうだ!?」
「よし、買おう! ……今なら、荷積み代も安く済みそうだ」
 木製の簡易クレーンが組まれた飛空艇の方を見ながら、サシュが即答した。がっはっはと豪快に笑ったオヤジは、サシュの背中をばんばん叩いて喜んだ。
「相変わらず、気持ちのいい野郎だ! ……ついでに、いいことを教えてやるよ」
 サシュとしては少しでも稼ぎが欲しいところだったので、乗るつもりの飛空艇に乗って行くだけで儲かる話がおいしかっただけなのだが……。オヤジは誰かに話したくてたまらなかったという様子で、サシュの耳元に口を寄せた。
「役人が話してるのを、こっそり聞いちまったんだけどよ。あの大きな積荷……国王様からジュノのカムラナート大公様への献上品らしいぜ」
 嫌な予感がした。
「それで、中身は?」
「そんなの知るかよ! きっと、すげぇお宝に決まってらぁ。あの大きさだもんな!」
 オヤジは再び、がっはっはと笑ったが、サシュは笑えなかった。
 呪われたあの日の空のように、上空の雲の流れは速く、黒みを増してきていた。

 ~(2)へ続く


コメント

執筆おつかれーっす
いつもの如く、合成で出来るはずの無いオイル余り11本ってのがやっぱ現実感が出てていいですなぁw

短いけどこの辺で~w次もがんばってくだされ~

感想文を書くのが苦手なため読むだけ読んで楽しんでます.
次に続けるポイントがいつもうまいな~と思ってます.
続き楽しみにしています♪

おつかれさま~。
ちょくちょくチェックしないと、すぐ更新されてるな~。
制作意欲が凄くいいねw
カムラ暗殺なんてデッカイ話が、これからどーなるのか?
さしゅさんの妄想力に期待大です!

◆しげさん
ありがとーっす。
うはっ,いつもの如くスルドイつっこみ!!
奇数の方が余った感じがするというだけで,それ以上何も考えていませんでしたw
そういう細かいチェックは,助かります~♪
でもここは,あえて,元々残っていたのを混ぜているということにしておいてくださいw
サシュの性格的に,在庫を切らすことはないので。
またチェックお願いしますね!

◆るびさん
うぁ~,そういう率直な期待コメントが,ありがたいです!
ありがとうございます。
誰もコメントしてくれない間は,がっくり落ち込んでいる私でございますよ。
話の方は,今ちょっとストレスを溜めてるステップですが,続きをご期待ください。
いや,次回くらいもまだストレスかもですけど( ̄▽ ̄;
ぜひまた読んでください~!

◆ひーさん
ありがと~。
会社がなければ,2日に1回くらい更新できそうなんですけどねー。
さすがに1話分終わると,1週間くらい休みがほしいですが。
カムラ暗殺……。
ネタバレは,ここでしませんが,気楽に読んでもらえれば嬉しいです♪

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