ささやかに駅メモ!

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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ3-2

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1)


 第三話 黒き雷光団《ブラックライトニング》 (2)

 木製の船底にあたる波が、ちゃぷちゃぷと軽い音を繰り返している。
 机も椅子もない、ただ広いだけの四角い客室で。サシュは壁に貼られた大きな航路地図を眺めながら、飛空艇の出港を待っていた。
 客の数はサシュを含めて、まだたったの四人。四隅の一角に、王室関係者と思われる二人の事務的な役人と、一人の騎士の姿があった。騎士は、アイルベーシュ少年の父・エグゾロッシュだ。遠くにいるサシュと目が合うと、軽く微笑んで会釈を交わした。
 折を見て、巨大な箱の中身について聞いてみようとサシュは思った。それから、未だに国王とトリオン王子が、バストゥーク共和国から戻らない訳を……。
 突然。
 客室に一つだけある出入口に、ヌッと、山のように巨大な塊が現れた。岩のように重厚な体躯……丸太のように太い腕……眼光の鋭い険しい顔。そして、背後に伸びる重量感あふれる尻尾。サシュの三倍の身長はあろうガルカ族が、人気の少ない客室内を見渡した。
 サシュと目が合うと、無表情のまま部屋の一角に歩みを進める。複雑な刺繍が施された紺色の広い布地を金で縁取った服が、室内灯に照らされてまばゆく輝く。彼が見事に着こなしているのは、ノーブルチュニック。その冒険者が、高レベルの白魔道士……回復魔法や神聖魔法のスペシャリストであることを語っていた。
 次に現れたのは三人組だった。タルタル族の女、ミスラ族の女、ヒューム族の男。ちなみに、ミスラ族はネコのような耳と尻尾が特徴だ。やはり、いずれも高級装備を身にまとい、高級な装備はそのまま彼らが高レベルの冒険者であることを示している。そして高級な装備ほど有名であり、特定のジョブに合わせた付加価値を伴うので、装備を見ただけでその冒険者のジョブを類推することが容易になる。
 タルタル族の女は、体術を極めたモンク。ミスラ族の女は、身の軽さが売りのシーフ。ヒューム族の男は……彼だけは若く、比較的レベルが低いように見えたが……様々な武器を使いこなす戦士であった。
 三人組は客室に入ってくると、三人そろってサシュを見た。モンクとシーフは興味深げな、戦士は睨むような視線をサシュになげかけた後、先客の白魔道士と合流した。よく見ると、四人とも同じパールを身につけている。ブローチにしているガルカ、髪飾りにしているタルタル、耳に付けているミスラ、指輪にしているヒューム……形態は様々だが、ダークグリーンのリンクパールだ。
 サシュは、ふと、自分の指にはまった白いパール付きの指輪に視線を落とした。サシュの冒険者レベルを15に制限している呪いの指輪だ。おかげで、いつもの高レベル黒魔道士用装備を着ることができず、他の客に比べると実にみすぼらしい格好である。
 ベッケルは、この白いパールをリンクパールだと言っていた。そして、同じ時に同じ指輪を付けるはめになった女冒険者のことを思い出した。今まですっかり忘れていたので、連絡を取ろうとさえしていなかった。もちろん、向こうから連絡が来たこともない。
 試しに、白いパールに向かって心で話しかけてみた。
(サシュです。誰かいますか?)
 一般人にはあまり知られていないが、冒険者になると声に出さなくても心で会話ができるようになる。はじめは時間がかかるが、慣れてくるとかなりスムーズな会話も可能だ。いくら離れていようと、相手が眠ってさえいなければ心の声が届くし、相手がどこにいるかさえ感じ取れるようになる。ただし、会話の相手は一人に限られるし、遠くにいる相手との会話は精神的な負担がかなり大きいので、頻繁には使えない。
 この冒険者独特の会話手法を、通常、〝テル〟と呼ぶ。
 これに対し、複数の仲間と同時会話を可能にするのがリンクパールだ。テルの相手をリンクパールにすることで、同じ種類のリンクパールを身に付けた者全員に心の声を伝えることができる。リンクパールは、リンクシェルという特殊な貝から採れる。様々な色のリンクシェルがあり、採れるリンクパールは、リンクシェルと同じ色になる。つまり、同じ色のリンクパールを持つ者同士は、同じリンクシェルの仲間ということだ。
 この仲間同士のリンクパールを介した会話を〝LS《リンクシェル》会話〟と言う。

 ベッケルが、サシュとミサヨにリンクパールを渡した最大の理由が、呪いの指輪をカモフラージュするためであったことは間違いない。だが実際のところ、誰かと連絡を取りあうには、テルよりもLS会話の方がずっと楽である。また、ベッケル自身かその関係者が同じリンクパールを持つことで、二人の会話を監視することもできる。そういう意味で、この指輪に乗っているパールがリンクパールとして機能する可能性は十分にあった。
 しかし、一分待っても、サシュの声に対する反応はなかった。そして、誰かが同じ種類のパールを身に着けている感覚も感じられなかった。
 ミサヨは、外すことのできない呪いの指輪として同じパールを指にはめているはずだ。意識を集中しても、その彼女の存在を感じられないということは、この白いパールは、リンクパールではないのかもしれない。

 突然、波音が止んだ。飛空艇のクリスタル機関から重力制御エネルギーが解放されたのだ。
この一瞬だけは嘘のような静寂が訪れ、自分の息づかいが大きく聞こえる。
 すぐに低周波音がヴンと唸った後、ガシュガシュとタービンと歯車が回る音が壁から響いてくる。やがて、天井の方からヒュンヒュンと風を切る音が小さく聞こえてきた。姿勢制御用の六機のプロペラが回転を始めたのである。

 間もなく出港というその時。最後の客が、出入口に姿を見せた。
 ショートボブで黒髪の美しいヒューム女性。どこかで会ったことがある気がした。服装は、サシュとあまり変わらない低レベル冒険者用のものだ。
「ミサヨ! 遅かったじゃない!!」
「あれ、もう髪が伸びたのか! ……それともカツラ!?」
 モンクと戦士が、声を張り上げた。

 サシュの思考が一瞬止まった。
 ……ミサヨ?

 サシュが会ったことがあると思い出していたのは、全く別の女性だった。マリィの家の前に立っていた黒鎧のヒューム女性。短かく刈り上げた黒髪だった。ベッケルがマリィに剣を振り下ろした時、偶然床につまづいて、ベッケルにぶつかったのではなかったか? 彼女がぶつかったから、マリィは助かったのだ。
 その黒鎧が、ドラギーユ城で会ったあの金髪の美少女……?
 軽く混乱した。

 ミサヨの指には呪いの指輪がはまっていたが、白いパールだけが取り除かれているようだった。そのことは、ミサヨがベッケルの指令に従う気がないことを意味している。サシュにも、わかっていた。
 ベッケルの指示に従うメリットは何もない。ただ一ヶ月の間、指示に従っているフリをしていればいいのだ。
 そして、呪いの指輪がはまったミサヨの指には、ダークグリーンのパールがついた別の指輪が追加されていた。リンクパールは、同時に二つ以上は使用できない。二つのパールが干渉しあって、ノイズがうるさくなるからだ。そのために、呪いの指輪から白いパールだけを外したのかもしれない。
 そこまで考えたが、ミサヨに関する謎は一向に解決していなかった。
 ふと気づくと、サシュの足元に大きな黒い影ができていた。すぐそばに、ガルカが来ていたのだ。
 彼は、小さな袋からダークグリーンのパールを一つ取り出すと、太い親指と人差し指の間に挟んで、サシュに差し出した。手が大きすぎて、パールが米粒のように見える。
「持っていてくれ」
 サシュが手のひらに受け取ると、ガルカはそれ以上何も言わずに仲間の元に去って行った。
「あーっ、このクソガルカ! 何、渡してンだよ!!」
 若い戦士が指を差して、怒ったように叫んだ。
「みんながどう思ったか知らねェが、俺は、そいつが好きじゃねェッ!!」
 ミスラが面白そうに笑っていた。
「ごめんな兄ちゃん! 最近ウチのLS、アンタの話題で盛り上がってん! でもアンタ全然外出て来ーへんから、みんな今日アンタ見れるて楽しみに……ムガ!」
 タルタルの女モンクが、ミスラの口を塞いで、落ち着いた声で言った。
「本当にごめんなさい。気にしないでくださいね」
 サシュは、ただ、あっけにとられていた。

 その時、天井の方から突然、雷が落ちるような大きな音が響いた。
 客室内の時間が一瞬止まったように、その場の全員が天井に意識を集中した。
「あの箱だ……。大きな板が裂ける音だ……」
 戦士が、ボソリとつぶやいた。

 ~(3)へ続く


コメント

執筆おつかれーっす。
むむw箱の中にミサヨ達が入ってると予想してたがはずれだったかw
テルとかLSチャットとかってのは物語の中にどうやって組み込めばいいか迷うよね~。
俺は一まとめにしちまったけどかなり無理があったし・・w

であであこの辺で~。次もがんばってくだされ~

ショートボブという言葉が・・・、さしゅさんの影にちらつく助監督の意見というか助言というか・・・、なんか気になってしまったw

まぁ、小説内での"/tell,/ls"ってのは、置き所の難しい物ではあるね。"/say,/p,/sh"辺りは音量で調節可能なのだけどさ。まぁ、"/ls"に関しては、Lsを販売してるNPCがヒントなのかね。「もしもし、あのね、ちょっとまって・・・」と独り言みたいな流れで始まるから、やっぱトランシーバーみたいなもんだね。"/tell"だけは、もうテレパシーとしか・・・表現できんというか、なんというかw作者の判断に任されちゃうところだね。ちなみにオレの小説は"/tell"機能は削っちゃった。モーグリ辺りは、あのアンテナで出来るだろーなwww

あ、今回からキャラも複数登場して色々思考錯誤しなきゃいけなくなってくるだろーけど、その溢れる妄想力で楽しい小説を、これからも読ませて下さい。応援してます。

早いトコ続き読ませてください /smile

皆さん,いつも,コメントをありがとうございます!
本当はいつものように日曜にアップするつもりで途中まで書いたのですが,体調悪化により,続きを書いたのが昨日になったのでした。
体調の方は,もう大丈夫です。
書き手の二人には,やはりテルとLS会話のところを突っ込まれてしまいましたねw

◆しげさん
トロイの木馬作戦ですねっ!
いろいろ予想してもらえるのは嬉しいです♪
先を当てられると困りますけどw

テルとLS会話は,なるべくプレイしている感覚に近い状態で出したいと思ったら,こうなりました。
ゲーム内設定重視なら,テルは内緒話,LS会話は無線になるのかなと思ってます^^

◆ひーさん
ショートボブはネットで調べました!
確かに,聞いたことがあるくらいで,普段自分で使う言葉じゃないですw
もっとオシャレな言い方がないのかなーと思いつつ,それ以上調べるのが面倒になって妥協~。

LSを紹介するNPCの会話は,頭にありました!
ゲーム内設定重視ならどう考えるかは,しげさんへのレスに書いた通りです。

逆に,プレイ感覚に近付けるなら,テルもLS会話も携帯電話にしちゃうのが手っ取りばやいんですけどねー。
ファンタジーにそれはないだろうとw

テレパシーを持ちだすのは,世界観さえ変えてしまいそうで,かなり悩んだのです……が,結局そうしました。
プレイ感覚に近づけたかったのです。
NPCの件は,声に出しながらテレパシーを使っていると解釈することにしますw

ひーさんの書いている通り,妄想力で書いているというか……背景世界にFFXIを持ってきているだけで,基本的にオリジナルストーリーを追求しています。
二次小説というのとは,微妙に違うのかなぁ……同じかなぁ……とか思ったりしますw

◆小花さん
小花さんの/smileに恐怖を感じるのは何故でしょう?w
どうもありがとです~!
頑張ります~( ̄▽ ̄〃

回数を重ねる毎に面白くなっていきますね!

tell、party、LS、shautと何種類もある伝達方法は小説で
書きづらいところですよね~
私も書いては消して、書いては消しての連続ですorz

次回分楽しみに待ってます('▽')

◆イルカペンギンさん
ありがとうございます~。
イルカペンギンさんが小説を書いているとは初耳です。
今度,見せてください!

次回もがんばります♪

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