ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
→遭遇リスト

駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ4-1

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)


110728 4話

 第四話 下層の歌姫 (1)

「サシュ……」
 甘い声が、サシュの首に絡みつくようにささやかれた。
 目の前で、真っ直ぐに見つめてくるミサヨの黒い瞳が閉じられ、再びゆっくりと開く。柔らかそうな唇の間から漏れた吐息が、あごを優しくくすぐった。密着した身体から伝わる体温が心地よく、冒険に疲れた心身を癒していく……。
 やばい……と、サシュは思った。
 これは現実ではない。現実ではない……が、だからこそ理性を奪おうとする誘惑の魔力は計り知れない。まるで生まれる前から知っていたかのように、相手を慈しむ気持ちが心を満たしていく……。
 考えるより先に右手が上がり、彼女のつややかな黒髪を優しくなで……。
 ずるりと、ミサヨの髪がずれた。
 そして、カツラごとミサヨの皮を脱いで現れたのは……。
「………!!」
 ガタン! と、椅子が大きな音を立てた。
「だ……大丈夫??」
「わぁ!」
「えぇっ!?」
 眠ったまま突然顔をしかめて、ビクッと痙攣したサシュ。そのサシュを心配して声をかけたミサヨ。そのミサヨを見て驚いたサシュの顔は、まるで街中で突然モンスターに出くわしたかのように引きつっていた。
 ……失礼なこと、この上ない。

 いくら治安が良い国とはいえ、ジュノは、様々な人間が流れ込んでくる世界の中心地である。しかもここは、盗難程度なら日常茶飯事の下層区域。行政機関が建ち並ぶ上層に比べると、犯罪件数は十倍以上だ。おまけに、怪しい人間がいくらでも出入りする騒がしい夜の酒場に、サシュはいた。客層の中心は、冒険者や商人、その他職業不明のたくさんの人々……あまり柄のいい連中とは言えない。
 そんなところで無防備にウタタ寝をするなんて、何年ぶりのことであろうか。昼間に飛空艇でシェンと対決した疲労は、思っていた以上に大きかったようだ。さっさとレンタルハウスを借りて、まずは安全な空間を確保すべきだったのかもしれない。
 すぐに正気に返ったサシュは、たった今自分が取った行動をかえりみて、ミサヨに謝ろうと口を開いた。……が、サシュより先に、ミサヨが謝った。
「ごめん、疲れてたのに、誘っちゃって」
 小さなテーブルを挟んで、向かい合わせの二人用ボックス席。そんなところで、会話しながら眠ってしまったのだから、よほど疲れているように見えたに違いない。怒るどころか申し訳なさそうなミサヨに、調子が狂う。
「えーと、その、いや、ごめん、変な声出して……あ、その前に、話の途中で寝てしまって……」
 会話がかみ合っていないことを自覚しつつ、謝罪の言葉を言っておきたかった。変な夢を見たうしろめたさのせいもあったかもしれない……が、それは口にできない。

 いきなり横の通路で、大きな声がした。
「あははは、君、かっこ悪~い!」
 ミサヨとサシュが同時に反応した先には、六~七歳くらいのミスラ族の少女が、遠慮なくサシュを指差して笑っていた。ネコのような尻尾がくるくると元気に動いている。
「どうせ、やらしー夢、見てたんでしょ! 顔がにやけてたもん、ねー、お姉さん!!」
 ミサヨが笑いをこらえているのを見て、サシュは力が抜けた。ミサヨとは数時間前に〝飛空艇での契約〟を交わしたばかり。その彼女に、初日からとんだ醜態をさらしたことを悟った……が、今さら、取り繕う気にもなれない。
 それに、ミスラ少女の歯に衣《きぬ》着せない物言いには、どこか憎めない愛らしさがあった。そのせいであろうか……ミサヨが気安く少女に声をかけた。
「あなた、お客さんの子? それとも、お店の子かしら?」
「んー、どちらでもないかなぁ……じゃ、私、忙しいからバイバ~イ♪」
 そう言うと、少女は店の中央にある少し高い小さなステージの裏へと消えて行った。ミサヨはその少女を目で追った後、サシュの方に向き直ると、カクテルに口をつけてから少し考えるように言った。
「もしかしたら、あのコが……」
「?」
 怪訝な顔をするサシュに、ミサヨが言葉を足した。
「さっき話したでしょ、ここに知り合いがいるって」
「あぁ、どうしても紹介しておきたい古い友人だっけ……?」
 そのあたりの会話は何とか覚えていた。
 古いと言っても、ミサヨの年齢は十八~十九……せいぜい二十歳だろう。サシュより十五歳以上若い。もっとも、外見は全く逆。タルタル族のサシュの方が、ミサヨより十歳近く年下に見える。そのあたりのバランスで、今では自然にタメ口での会話になっていた。
「古いってどれくらい?」
「そうね……出逢ったのは、七年前……かな」
 思い出を呼び覚ましたミサヨは、楽しそうな表情を見せた。
「そのコとは、たまにテルするんだけど……一年くらい前から面倒を見ているミスラの子がいるらしくて」
 それから、少しだけ首をひねった。
「もう少し、おとなしい子ってイメージだったんだけど……」

 その時。周囲の騒がしさが一層激しくなった。口笛や拍手が飛び交い、何かを期待する雰囲気が広がった。ランプの炎がいくつか消されて店内がやや暗くなると、小さなステージが明るく照らされた。ステージに敷かれた赤い布の上に、先程のミスラ少女と一人のヒューム女性が立っていた。
 実に堂々としている女性には、風格のようなものさえ感じられる。そのことが年齢を引き上げて見せているが、実際は結構若いのではないだろうか。クリーム色の髪はミサヨと良く似たショートボブで、整った美貌に、ドレスの上から伺える抜群のボディライン……店内の男性客が盛り上がる理由がよくわかる。だが、目を輝かせてステージを見ているのは男性客ばかりではなかった。
「あの美貌とスタイルに加えて……アルタナの女神様は、さらに二物を彼女に与えたの……そのうちの一つが、すぐにわかるわ」
 そう言うと、ミサヨも拍手した。どうやら、ミサヨがサシュに合わせたかった古い友人と言うのは、彼女のことらしい。
 それよりも、サシュは女性と一緒にステージに立ったミスラ少女の方が気になった。ステージに立つのは初めてなのであろうか? 視線は定まらず、肩に力が入っていた。あからさまにひどく緊張している……。
 店内が急に静かになると、ステージの脇で生演奏が静かにスタートした。

 ~(2)へ続く


コメント

照明が暗くなってステージの上に女性が立ったってのを読んで変な想像をしたしげまるです、こんにちわ。(ぉぃ

だってほら!夢が夢だったし!ねえ?
・・・はい、俺がやらしいだけですね。

気になったのはミスラの少女、6~7歳ぐらいって書いてあったけど何歳ぐらいから語尾に「にゃ」って付かなくなるんだろう・・?

後、面白そうに語ったって言った後に「もしかしたらあの子が……」って言うと面白そうと言うより深く考えてる印象を受けるから「あの子がそうなのかしら?」って感じのほうがいいかも~。

んであこの辺で~。次もがんばってくださいな~

◆しげさん
いつも、ありがとうございます^^
変な想像って……w
そうですね、自分は先の展開が頭に入っているので意識しませんでしたが、ステージが少し高いってあたりが、そんな想像を喚起させやすかったかも……「少し」ですから、あくまでw
夢は……どこまで想像するかは読者さんに任せる書き方にしたつもりですが……やすらぎ重視で、そんなにやらしい感じのつもりはなかったんですけどね~w( ̄▽ ̄〃
「にゃ」は、考えていなかった……。
「にゃ」っていかにも猫耳マニアっぽくて、ゲーム内のNPCだと気にならないけど、個人的に使いたくなかったというのがあるかも……( ̄▽ ̄;
ミサヨのセリフのところは、書き直しました。
自分的にも、前よりは良くなったと思うので、助かりました。
ありがとうございました~( ̄▽ ̄〃

ニヤニヤ(・∀・)

ニヤニヤ(・∀・)

・・・ま、それはおいといてw

一個前の記事でも思ったんですが、
さしゅさんはこの小説を使ってヴァナの中で壮大なRPを楽しんでるように見える♪贅沢な楽しみかただなぁ、と感心してます。いや、ほんとにいい意味で。

名前欄が・・・・
名前欄がっ・・・・・


連投ごめんなさい orz

男だねぇw

うっ、まだ終わってないのに投稿しちゃったw

昨夜、酔った状態で読んだけど、今読んだら全然違う話だった。
オレってば、どんだけ言葉足してんだw

しかし、下層って言えば、どうしても歌姫ってか、歌手出したくなるよね。ディーバだね。ディーバw
ちょっと先だけどオレも出す予定。先に出されちまったか(_ _,)ゞ
ニシシw

◆みやさん
ニヤニヤされたっΣ( ̄▽ ̄;

うん、さすがみやさん、上手い表現する!
楽しんでますよー♪
基本的にサシュがおいしい物語を書いてますからねw

連投はかまわないんだけど……PASSを入れれば、コメント投稿後にすぐ編集できるFC2のスタイルが個人的にお気に入りなんだけどなぁ。
他ブログの人はそういうクセがついてないんだろうなぁ( ̄▽ ̄;

やっぱり創作側の人には、書き手の意識で読まれてしまうのが悔しい。
もっと引き込み力がほしいぜぇぇ!

◆ひーさん
サシュの間抜けな感じは書くつもりなかったんだけど……。
なぜかこうなってしまった( ̄▽ ̄;

全然違う話がいったいどんな話だったのか……そっちの方が面白そうでドキドキしますw
ディーバって、検索したら「歌姫」以外にいろいろ使われ方があって、ひーさんが言ってるのがそのままの意味かアニメキャラかで迷ったww
そうですか、出す予定ですか!
てか、サンド、飛空艇、ジュノと出した時点で、かなりひーさんの小説とだぶってる感がありありです( ̄▽ ̄;
せめてジャグナーを移動するのはやめようと思って飛空艇にしたんだけど……同じことだった……。
今回この小説をサンドから始める時に思ったのは、サンドって、説明のいらない国だなってことですね。
読者が想像しやすいというか。
中世ヨーロッパのファンタジーの世界感に一番近いからなのかなぁ……外人ウケする理由の1つな気がしましたw

コメントの投稿


管理者にだけOK


管理者に連絡する(メールフォーム)
※コメントを投稿できない場合にご利用ください。管理者からの返信はできません。

HOME

駅メモ関連リンク
最新の記事
最近のコメント
駅メモ!便利ツール
駅メモ!個人サイト
ブログ内検索

カウンタ

  • 閲覧/訪問数 since 2005
    hits / visits

月別アーカイブ

プロフィール

  • Author:笹谷周平(ささやか)
  • 誤字、脱字、リンクミスにお気づきの場合は、コメント欄にてお知らせいただけると助かります。

カテゴリ
旧知リンク
商標/著作権等