ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ4-5

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4)


 第四話 下層の歌姫 (5)

 ついにモンブローが見つけたのは、新聞や雑誌の一部を一定の大きさに切り抜いてファイリングした資料のうちの一冊だった。その中にペンで枠囲みされた記事がある。それが彼のかすかな記憶に合致するものであった。
 集中して記事に目を通していたモンブローは、ノックの音に気づくのに数秒かかった。
「すみません、モンブロー先生、ミサヨです。ただ今戻りました」
 モンブローが気づくのと同時に、返事を待ちかねたミサヨがドアを開けて入ってきた。慌てて返事をするモンブロー。
「おかえりなさい、ミサヨさん」
「……どうしたんですか、先生。今朝は、あんなに綺麗に片付いていたのに!」
 あきれるミサヨの視線の先には、今にも崩れそうに高く積み上げられた本やファイルが広い机の上を占拠していた。それを指摘された名医は、照れ笑いを浮かべた。
「ちょっと調べ物をしていたのですよ。サシュさんに頼まれまして」
「サシュが来たんですね! ……カリリエも来ましたか?」
 モンブローが頷くと、ミサヨは溜め息をついた。
「すれ違いでしたか……。神父様へのご挨拶は、後にするべきでした。それで……」
 ミサヨの問いかけるような視線に、モンブローはすぐに答えた。
「あなたの依頼どおり、お二人を会わせましたよ。来院のズレが三十分程度でしたので、難しくはありませんでした」
「そうですか、会えたのですね……良かった。その後、二人がどこへ行ったかお聞きになっていらっしゃいますか?」
 二人が出会ってすぐに帰ったと思い込んでいるミサヨに、モンブローがいきさつを説明しようとした時。
 部屋のドアが再びノックされた。
「どうぞ」
「先生、そろそろ一時間だと思いますが、実は……」
 入ってきたタルタルを見て「あっ」と短く声を上げたミサヨ。彼女の存在に気づいたタルタルも目を丸くした。
「来てたのか!」
「サシュこそ、まだいたんだ!」
 いきなりの状況に次の言葉が出ない二人は、同時に若い医師の方を見た。……モンブローはいつもの笑みを見せてつぶやいた。
「アルタナの女神様がご用意される偶然の前では、人の思惑など意味がないのかも知れませんねぇ」

   *

 結局、モンブローが朝からの出来事を順を追ってサシュとミサヨに説明することになった。
 まず開院と同時に来たミサヨがサシュがいないことを確認すると、〝教会の神父に挨拶に行くので、サシュとカリリエという人物が来たら、二人が会えるように取り計らってほしい〟とモンブローに頼んだこと。
 その間にカリリエが来て、少し話してから休憩してもらっている間にサシュが来たこと。
 サシュにマルガレーテという少女の病気について聞かれ、自室で調べることにしたこと。
 モンブローの考えで、カリリエの相談をサシュに任せたこと。
 ちょうど調べ終わったところでミサヨとサシュが部屋に来たこと……。
「何かわかったのですか!?」
 〝ちょうど調べ終わった〟の言葉を聞いて、サシュとミサヨの関心は、まずそこに向かった。
「ええ、まぁ落ち着いてください、お二人とも」
 少し間を置くと、モンブローが説明を始めた。
「まず申し上げておきますが……私が記憶する限り……少なくとも過去五十年を遡《さかのぼ》っても……マルガレーテさんの症例が学会や論文で報告されたことはありません」
 五十年分の資料を調べたことがあるというだけで驚きだが、モンブローの記憶力に疑う余地がないことをサシュは知っている。二人は軽く落胆して、次の言葉を待った。
「結論から言いますが……おそらく、彼女の症状は病気によるものではなく……〝呪い〟の一種ではないかと思います」
 これには、すぐにミサヨが異を唱えた。
「待ってください。マリィの病気は生まれつきのものです。生まれた時から、呪われる理由なんて……」
「いや、生まれる前から呪われていたという可能性もなくはない……」
 サシュが口を挟んだ。サシュが言っているのは、いわゆる〝末代まで呪ってやる〟というたぐいの呪いだ。
「そんな……確かに兄さん……マリィの父親は死んでいるけれど……それは獣人との戦闘によるものだし……」
 サシュにとって、ミサヨとマリィの関係を聞いたのはこれが初めてだった。その割には、マリィもその母親のリタも、黒鎧のミサヨには気づいていない様子だった。それは、状況が状況だったから心に余裕がなかったからかも知れないし、髪を刈り上げてフェイスガードをつけていたので気づきにくかったのかもしれない。ともかくその疑問は後回しにして、サシュはマリィの父親の死因を確認した。
「間違いない?」
 ミサヨが頷く。
「私もその場にいたから……」
 しばらくの沈黙の後、ミサヨのツライ思い出に触れたことをサシュが謝った。
「ごめん……」
「いいの……気にしないで」
 ミサヨが無理に作った笑顔が痛々しかったが、モンブローが話を続けた。
「唯一、私の記憶に残っていたのが、この一年前の記事です。信用できる情報かどうかは、お二人で判断してください」
 モンブローからファイルを受け取ると、二人は記事に見入った。

 ===

 週刊魔法パラダイス ○○○号

 大人気連載コーナー
「あなたの知らない(かもしれない)ヴァナ・ディール その226」

 あなたはご存知だろうか? 生まれてすぐに真っ黒な炭と化してしまう恐ろしい病気のことを。それは人知れず百年に1度発生している。そのことを突き止めた古《いにしえ》の学者は、その病気をこう名付けた。
 〝カーバンクル・カーズ〟(訳:カーバンクルの呪い)
 なぜカーバンクルなのか? カーバンクルと言えばこのヴァナ・ディールに生きるもの達に優しい霊獣として広く知られる存在である。過去に霊獣達が人類を滅ぼそうと考えた時には、常に人類に味方してきた心優しき霊獣だ。いや、むしろ、そのカーバンクルの呪いと名付けることで、その病気の恐ろしさを印象付けているのではないかと、筆者は思う。
 さて、筆者はこの病気の存在を我らがウィンダスが誇る知の宝庫〝目の院〟の蔵書の中にて発見した。この本の内容について、早速暇そうにしている目の院院長に直撃インタビューを敢行した!
 ウムム(以下「U」) 「この本の内容は真実なのですか?」
 トスカポリカ院長(以下「T」) 「なんだ君は、勝手に本を持ちだしては困るな。なに、いや待て、そんなデタラメを書くんじゃない。もし神子様に知れたら……」
 U 「ご協力感謝します!」
 T 「やれやれ……見せてみろ……なに、おい君、これは〝禁書〟じゃないか! なぜこんな物がここに……!?」
 U 「ほぅほぅ、これは院長の不始末ということに……」
 T 「待て待て、ちょっと待て」
 この後のやり取りについては読者の皆様のご想像にお任せします。重要なのは、この〝カーバンクル・カーズ〟なる病気が、〝禁書〟に書かれていたという事実です! 禁書と言えば、その内容が極秘のため、庶民の目に触れることはないという超重要資料! 果たして、国家機密に関わる秘密を暴いてしまったこの記事は無事に出版されるのか? 筆者の命は安全なのか? 励ましのお頼りをお待ちしております!(ウムム)
※前回の記事にありました〝ヤグード・タルタル発見!〟の内容は泥酔したミスラがヤグード帽子をかぶったタルタルを見間違えたものでした。謹んでお詫び申し上げます。

 ===

「…………」
「週刊魔法パラダイスって……」
 ミサヨがサシュの様子を伺った。
 〝週刊魔法パラダイス〟は、タルタルとミスラの国・ウィンダス連邦の有名な週刊誌である。
「ああ……俺の祖国の雑誌だ。こんなところにヒントがあったなんて……」
「……あの……あまり信用できない記事が多いって聞いたことが……」
 モンブローに申し訳なさそうに言うミサヨを、サシュがフォローした。
「そうでもないさ。冒険者を使って、事の真偽を確かめさせることもあるくらいだ。……確かにゴシップ好きの記者もいるけど……このウムムっていう記者は割と信用できる。それに……」
 ミサヨは記事の最後に小さく書かれた謝罪文を見つめて、疑いを増している表情だ。無理もないと言えるだろう。サシュも丸々記事の内容を信用しているわけではない。
「それに、どうせ次の目的地はウィンダスのつもりだったから丁度いい」
 そこまで聞くと、ミサヨも納得して笑顔を見せた。
「わかったわ。どんな手掛かりでも、調べてみるしかないもんね!」
「ところで、この記事には〝病気〟と書かれていますが、先生は先程〝呪い〟の一種だろうとおっしゃいましたよね」
 サシュの疑問にモンブローが頷いた。
「〝病気〟とは考えにくいですね。その頻度から考えて、少なくとも病原菌によるものではないでしょう。唯一、遺伝子レベルの病気という可能性がなくはないですが……それにしては症状が特殊すぎると思います。」
 その名の通り、〝呪い〟の一種だろうと言うのが、モンブローの結論だった。
 考え込むサシュとミサヨ。もし記事が正しいならば、とても個人でなしえるレベルの呪いとは思えない。本当に霊獣による呪いなのだろうか……?
「とにかく、ウィンダスに行ってみるしかなさそうだね」
 ミサヨの言葉にサシュが頷く。
 二人がモンブローにお礼を言った時、部屋のドアからまたもやノックの音が聞こえた。モンブローの返事で、ゆっくり部屋に入ってきたのは、カリリエだった。
「サシュさん、終わりました」
 その声は元気だったが、様子が普通と少し違っていた。手には何かが殴り書きされた数枚の羊皮紙を持ち、泣きはらした後のように目が充血している。
「どうしたの、カリリエ!?」
 ミサヨが駆け寄ると、カリリエはようやくミサヨの存在に気づいた。
「あ、ミサヨ……ううん、何でもないよ。もうサシュさんには謝ったの?」
 ミサヨがハッとしてサシュと目を合わせた。考えてみれば昨夜のことには全く触れないまま、普通に会話をしていた。〝飛空艇での契約〟を破棄されたはずなのに、すっかり二人でウィンダスに渡るつもりになっていたのだ。ミサヨはなんだか少し可笑しかった。
「サシュに謝ることがあるんだけど……後にするね」
「俺の方こそ……後でちゃんと謝らせてほしい」
 そう言うと、サシュはすぐにカリリエに声をかけた。
「お疲れ様です、カリリエさん。そうでした、先生に相談があってこの部屋に来たんです」
 サシュが振り返ると、モンブローが微笑んでいた。
「カリリエさんへのカウンセリングを続けたいんですね。第二診察室をお貸しいたしますよ。少し狭いですが、落ち着けると思います」
「ありがとうございます」
 サシュはモンブローに頭を下げると、ミサヨに了解を求めた。
「もう少し時間がかかりそうなんだ……正午に、下層のレストランででも待ち合……」
「私も立ち会ったら、マズイ?」
 ミサヨが遠慮がちな表情を浮かべつつ、はっきりと尋ねた。親友を心配する気持ちはわからなくもないが、普通なら断るところである。第三者がそばにいない方が、患者は医者に素で話をしやすいからだ。少し考え込んだサシュは、カリリエの意思を確認した。
「カリリエさんが良ければ」
「……ミサヨにも聞いて欲しい気がします」
 カリリエの様子から、むしろミサヨがいる方が話をしやすいかもしれないと、サシュは判断した。
「わかりました。では、診察室に行きましょう」
 モンブローが資料の束のヒモをほどいて、記事の書かれたページをサシュに渡すと、サシュが礼を言い、三人はモンブローに挨拶をして部屋から出ていった。

 部屋に残されたモンブローは、机の上の資料の山を見てもげんなりすることなく片付けを始め……しばしその手を止めた。
(サシュさんには、子供に対する認識のあり方をカリリエさんに伝えてもらえると期待しただけで……後のカウンセリングは私が引き継ぐつもりだったのですが……)
 モンブローの表情は嬉しそうだった。
(どうやら本格的な手法でお相手されているみたいですね……お手並みを拝見させていただきましょう……失敗したら私がフォローすることになりそうですけどね……)
 ジュノ一の名医の部屋は、窓から入る秋のやわらかい陽射しで心地よく暖まっていた。

 ~(6)へ続く


コメント

執筆お疲れ様です~。
後、先日はご体調の優れない中、私のラジオ放送を聞きに来て頂き本当にありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。

さて、今回も面白く読ませていただきましたが、1点だけ。
ミサヨの兄がマリィの父親と言う設定が急に出てきて多少混乱してしまいましたが、前回までに出てきてましたっけ・・?あ、いや。私の覚え忘れだったらいいのですが。

では今回はこの辺で~、どうぞ無理をなさらずご自愛ください~それでは~

◆しげさん
昨夜はお疲れ様でした!
面白かったです♪
途中までしか聞けなくてすみませんでしたー。
小説の話は、そうですね( ̄▽ ̄;
マリィがミサヨの姪だと言う話が一度出てきただけでした。
それもサシュが聞いていないセリフで。
後で書き直しておきます~。
いつもありがとうございます( ̄▽ ̄)/

仕事終わりのデザートとして美味しく頂きました。
今から1時間寝て仕事に行かねばなりませんが、お陰でいい夢が見れそうですw
ストーリーもミステリー調になって来て、ライター仲間としてでなく、一読者として楽しませてもらってます。
何かアドバイスできれば良いのですが、そういう点はしげまるの方が得意みたいですね。

あっ、風邪こじらせないよーに、お大事にされて下さい。
そんな中にあっても、毎週のノルマを達成されたサシュさんのプロ魂には脱帽です。
くれぐれも無理なさらずに、楽しい執筆生活をw

◆ひーさん
いつもコメントありがとうございます。
ひーさんの方が大変そうですが( ̄▽ ̄;
睡眠1時間じゃ身体がかわいそうですよ~。
そういう生活ができるのは若い時だけという考え方もありますがw
余裕のある時に見に来てくださいまし^^

風邪については、今日会社休んで病院行ってきました。
さっきまで寝てましたw

しばらくネットを離れていたのでさしゅさんの更新頻度をなかなか追いかけられないw

で、やっとこの記事まで読み進めたら・・・
デ、デター週間魔法パラダーーーイス(ノ´∀`*)
ジュノには紙面で頒布されてるのかしらん。

で、どっかで聞いたことのある特集の名前でびっくらしましたw

◆みやさん
遡って読んでくれてありがとう!
週刊魔法パラダイスって放送だっけ?
でも写真とかも載せてなかったっけ?
特集の名前は、パクリです(きっぱり)。
だってちょうど良かったから~( ̄▽ ̄)b
いきなり訴える前に、削除指示してねーw

レスにレスいたしますと、週刊魔法パラダイスは魔法人形に録音&録画して超テクノロジーによって頒布されているのが編集長のご自慢。青銅の箱拾ってくるとわかるやつねw

にしてもサシュさんのオールマイティーさがすごいですなぁ、小説のw
ふと思ったけど、名前をカタカナにすることで「さしゅさん」と主人公「サシュ」を線引きしてるのかな?

◆みやさん

Naiko-Paneiko:うちの「週刊魔法パラダイス」を
 本かなにかだと思ってたのか?

こんなのすっかりわすれてましたよw

こんなのもあります↓
http://kaeruko.blog24.fc2.com/blog-entry-150.html

そういうわけで、紙面配布もあり……ってのはダメですか?
うーん、どうしようかな……。

モンブローがおもむろに魔法人形を取り出したら、笑い取り過ぎだと思うのだけど……w

それにしても、さすがみやさん、ウィンダスネタはこれからも色々とチェックしてもらえそうで嬉しい♪
てか、お願いします!

サシュは別にオールマイティじゃないですよ。
剣を使えとか楽器を弾けとか言っても全然ダメダメと思われw

それと、みやさんが言うように、サシュとさしゅは全然別人です。
さしゅはリアルで生きてますからw
ヴァナで生きてるのがSashで、その中の人が、さしゅ。
と思っているので、サシュは小説の中だけと思っています。

あと、話がそれますが、よくサッシュと呼ばれてますが気にしてません。
……まぎらわしいタイトルをつけた自分が悪い……( ̄▽ ̄;
自分でも、昔、サッシュにしようかサシュにしようか悩んでた時期があったし。

小説の登場人物名はカタカナで統一してるというのもあります。
ミサヨは、美小夜と漢字で書いた方がイメージに合うんですけどねー。
最近は自分でもカタカナのミサヨに慣れてきましたw

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