ささやかに駅メモ!

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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ4-9

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)


 第四話 下層の歌姫 (9)

 ジュノ上層。その空は青く澄みきっていたが、そこを歩くミサヨの心の水面は少し波立っていた。

 ウイカの誘拐事件から二週間。最初のうち、ミサヨとサシュはカリリエと共にできるだけウイカと一緒にいた。ミスラ娘の左耳上半分が欠けてしまったのだ……人から見れば真っ先に目が行く所である。他種族で言えば、顔に大きな傷をつけられたようなものであった。
 一人で落ち込む時間を短くしてあげたかったし、その耳がこれからの人付き合いにおいて大したことではないと感じてほしかった。……が、三日もするとその心配が無用であることがわかった。
 事件のショックでウイカが情緒不安定だったのは一日くらいであった。その後、下層の人々……歌姫のファン達が次々とウイカの元を訪れ、無事を喜び、普段と変わりない会話でウイカに接した。特に冒険者たちは、自分の身体に残った深い傷や、欠けた耳や尻尾を自慢げに見せては、〝俺とお揃いになったな!〟と笑ってウイカの背中を叩いた。そんな時にウイカが見せる照れくさそうな笑顔はとても可愛く……小さな歌姫が下層の人々に愛されていることをミサヨとサシュは知った。
 事件から一週間もたつと歌姫のステージが再開されるまでになったが、ミサヨとサシュはそのままジュノに滞在していた。理由はたった一つ……ベッケルとの約束であった。
 ベッケルが出した指令の期限は一ヶ月。飛空艇を全て奪ってこいとか、ジュノ大公を暗殺してこいとか……どれも従う気がない指令なのだが、その間はリタ、マルガレーテ親子に手を出さないという約束だった。ミサヨは黒き雷光団のメンバーに時々マリィ達の様子を見てもらっていて、親子が厳しい税金の取り立てから解放されていることを知っている。もっとも、ベッケルの指令は呪いの指輪をつけさせるためのカモフラージュだったと考えるのが自然なので、今は単に、彼の関心が他に向いているだけなのかもしれない。
 ただ……。
 ウイカの誘拐犯に捕まった時……ミサヨは彼らの指に白いパールがついていることに気づいた。ベッケルの部下である証拠だった。
 彼らの会話を思い出す限りでは、ミサヨとサシュを監視していたという感じではなかったし、彼らはスケルトン族のロストソウルになぶり殺しにされた。だが他にもベッケルの部下がジュノをうろついているかもしれない。念のため、ジュノに滞在し続けることにしたのだった。

 ヴィエット高級武具店の脇を過ぎて視界が開けると、巨大な時計塔が見えた。その場所はテラスのように張りだした広場になっていて、下に乗用の鳥型生物チョコボの厩舎を見おろし、その向こうの海面から生えるように建造された時計塔を眺めることができる。落下防止用の綱が張られた広場の縁に、見慣れたタルタル族の後ろ姿があった。ミサヨの心の水面に立っていたさざ波が少し強くなった。

 カリリエやウイカと毎日会っていた時も、サシュと二人で会話する機会は何度かあった。犯人達の白いパールのことを話したり、ジュノにまだ滞在することを決めたり。そして思い出したように、ジュノに着いた夜の暴言をサシュが謝ってきたところまでは良かった。そこまでは、いつも通りだったのだ……。
 ミサヨが惚れ薬のことを明かしてサシュに謝った時。彼は心底ほっとした表情で、おそらく無意識に小さな声をもらした。
「そういうことなら、許してくれるかな……」
 その言葉が、ミサヨの意識にひっかかった。
 この時。ミサヨの心の水面は奇妙に揺れたのだ。
 最初は、自分に向けての言葉かとミサヨは思った。薬のせいで変な夢を見て、そのことで私が怒ることを心配したのかと。だが、サシュの目は遠くを見ているようだった。
 誰のことを……気にしていたのか?
 どうでもいいことだと思った……はずだった。それ以来、無意識にサシュと二人きりになることを避けていたのだと自分で気づいたのは今朝だった。珍しくサシュからテルが来たのだ。

 サシュ: 重要な話がある。二時間後に、時計塔が見える広場で会えないか?

 本当はミサヨにも、呪いの指輪のことでサシュに話さなければいけないことがあった。

 ミサヨ: わかった……二時間後に

 そう答えて、カリリエにテルをした。二時間後にその場所に来てほしいと。カリリエを呼ぶのは、サシュに話すことと関係があるからなのだが……わざわざその理由の正当性を自分で確認している不自然さにミサヨ自身が気づいていた。

 カリリエはまだ来ていないようだった。空は青く、風は涼しい。大丈夫……ポーカーフェイスには自信があるミサヨだった。

 母が再婚した父の連れ子だった兄……彼への想いを隠し続けて、もう十二年になる。素の感情を顔に出さないテクニックはすっかり板についていた。七歳で冒険者になったミサヨは、結局兄の結婚式には出なかった。それどころか、相手の女性……リタに会ったのは黒鎧に扮してベッケルと共に家を訪ねた時が初めてだ。死んだ兄の忘れ形見……マルガレーテに会ってみたかった。兄にそっくりの栗色の髪とダークブラウンの瞳が可愛かった。守ってあげたいと思った……そのために、サシュと契約したのだ。

「ごめん、突然呼び出して……」
 頭をぽりぽり掻きながら、振り向いたサシュがミサヨに声をかけた。
「いいの。私も話したいことがあったしね」
 にっこり微笑むミサヨは、いつも通りのミサヨだった。

   *

「これを見てほしい」
 サシュがかばんから取り出したのは、今朝モーグリから渡されたばかりの手紙だった。差出人は……飛空艇で旅を共にしたサンドリアの騎士・エグゾロッシュ。
 ミサヨは急いで手紙の文面に目を通した。
 読み終わるのを待っていたサシュに、ミサヨが驚きの声を発した。
「ベッケルが……消えた?」
「そう……デスティン国王とトリオン王子がサンドリアに戻ったのと同時だったみたいだ」
 確かに手紙にそう書いてある。
「〝部下と共に〟……って、ことは……死んだとかじゃなくて、行方をくらませたわけね」
「地下に潜った……っていう表現が似合いそうだ。今頃どこで何を企んでいるのやら」
 サシュの表情は穏やかだった……当面の心配事が消えたからだ。ベッケルの悪事に対する証拠固めが進み、国王帰還と同時に王立騎士団が彼らを検挙しようとしていたらしい。
「たぶん……もう重税どころか、優遇措置を受けられるんじゃないかと思うんだけど……マリィの家の様子を調べてくれるように、ラカさん達に頼んでもらえないかな?」
「わかった……今日中には報告が入ると思うわ」
 そこでミサヨは、はたと気づいた。
「ちょっと待って……と言うことは……」
 サシュの顔を伺った。
「ジュノを発つってことね? ……次の目的地、ウィンダス連邦へ向けて!」
「当たり! ……明日の朝にでも飛空艇に乗ろうと思ってるんだけど、どうかな?」
 にやりと笑うサシュ。
 そこにいきなり口を挟む美女がいた。
「おー、いよいよ出発ですか。急いで準備しなくちゃ!」
 声の主は、ほがらかな笑顔のカリリエだった。面食らったサシュ。
「じゅ……準備って……??」
「もちろん、私も同行するための……って、ミサヨ、まだ話してくれてないの? もう一週間くらい前に言わなかったっけ?」
 驚くサシュとカリリエに見つめられたミサヨは、引きつった笑いを浮かべた。
「ごめん……今話すわ……サシュ、カリリエに会う前に私が言ったこと覚えてる?」
「〝あの美貌とスタイルに加えて〟……」
 そうじゃなくて……と、ミサヨは笑った。
「カリリエを紹介したい理由は、歌を聞かせたかっただけじゃないって言ったよね」
「思い出した……〝私たちの目的に関係がある〟……だ」
 ミサヨがカリリエの左手をつかんで、手の甲をサシュの目の前に突き出した。
 その時のサシュの驚きようは、他人が見ていたら大ウケだったかもしれない。大げさなほど後ろにのけぞったからだ。
「お……俺は、今ほど自分がばかだと思ったことはない。全然……まったく、気づかなかった……!」
 カリリエの左手中指に、〝呪いの指輪〟がはまっていた。サシュやミサヨの指輪と同じ……カーバンクルの紋様が刻まれている。
「ちょっと待ってくれ……カリリエさんは、あの日、確かにケアルIVを……いや、それ以前にナイトAFもアイスシールドも装備できて……」
 少なくとも、レベル72に達しているはずだ。そしてサシュはカリリエの言葉を思い出した。ミサヨはレベル1に制限されている……サシュはレベル15制限だというのに。
「……ミサヨは知っていたんだな……ただの〝呪いの指輪〟じゃないって」
 そうだ……ウイカの事件以降、ずっとミサヨに聞きたかったことだった。なかなか話すきっかけがなかった……ミサヨが自分と話すことを避けているのかと思ったことさえあった。
「うん、ごめん……レベル1じゃ〝契約〟してくれないんじゃないかと思って……足手まといと思われたくなくて……進歩してないよね、私」
 ミサヨは飛空艇でのシェンとの悲惨な戦闘を思い出していた。呪いの指輪のことを黒き雷光団の仲間に話せなかった。そのせいで、自分の火力をアテにしていた仲間をピンチにおとしいれてしまった……。
「……まったくだ」
 あっさりとサシュが言った。
「俺は信頼されてなかったってことだ」
 ミサヨがショックを受けた顔を上げた。カリリエの眉がぴくりと反応した……が、今回は黙っていた。
 サシュの顔は真剣だった。
「でも、これでオアイコだと思っていいかな?」
 すでに謝り、許してもらったとは言え、ミサヨに放った〝信頼できない〟の言葉を未だに悔いているサシュであった。

「俺はミサヨを信頼してる……この先、何があっても」

 右手を胸に当て、真っ直ぐに自分を見つめるタルタルの瞳を見た時。ミサヨの心の水面は今までにないくらい激しく揺れた。動揺し、ポーカーフェイスを作るのが一瞬遅れたと思った。……黙って見つめるカリリエの視線が気になった。
 そのカリリエが口を挟んだ。
「どうしてそういう恥ずかしい言葉がすらりと出ますか、サシュさんは」
 笑いながらサシュの右手を奪って握手した。
「まぁ、そういうわけで、よろしくお願いします! ウイカのことは付き合いの長い老夫婦に任せるつもりだから大丈夫。あの子、もう自分で十分稼げるしね。私も子離れしないと……!」
「残念だけど……ウイカちゃん、冒険者になるって、私にこっそり言ってたわよ。将来は吟遊詩人になりたいんだって」
 ミサヨの言葉にカリリエが驚いた。
「えーっ!? 私、聞いてないよ、どうしてそういう大事なことを……!」
「俺も聞いた。〝冒険者になれば、カリリエといつでもテルできる〟ってさ」
 サシュの言葉に、カリリエが赤くなった。
「もぅ……吟遊詩人は楽器もできないといけないから、大変なんだから……」
 ぶつぶつ言うカリリエに、サシュとミサヨが笑った。カリリエも笑った。
 時計塔の向こうに見える空はどこまでも高く、海はどこまでも広かった。海からやってくる風は時計塔を回りこんで上層区の広場に潮の香りを運んでいる。
 その時計塔と反対側。高級住宅の壁の陰から、広場にいるサシュ達を見つめる視線があった。
 ブラッククロークを目深《まぶか》に被り、顔は見えない。赤く縁取られた袖からのぞいた指には、カーバンクルの紋様が刻まれた〝呪いの指輪〟がはめられていた……。

 ~第四話完、第五話へ続く


コメント

こにちは~お疲れ様です~
もう小説でた~!!!!!
って印刷してたら紙が真っ白・・・
∑( ̄□ ̄;)!!黒インクがなくなってる
明日買いに行かなくちゃ・・・(つд;)

上のss変わったのね
いつも手を振るサシュさんなのに
サシュさんじゃないと思ってるのは私だけですか?

◆サトさん
こんにちは、ありがとうございます。
小説は黒インクを買ったら暇な時にゆっくり読んでみて下さいな!
TOP絵は、ちょっときりっとしてみましたw
プロフィール画像は相変わらずへにゃっと笑っていますので、それでお許しください( ̄▽ ̄;

お疲れ様でした(*´∀`*)!
今回はちょっとホ・・。
カリリエがこれからも活躍するみたいでうれしいですヽ(´ー`)ノ
さしゅの言葉・・冒険してる仲間に言われたらうれしいですねw

第四話おつかれさまでした。
今回は特に、本題のカーバンクルカーズのキーワードに近づいて来たって感じで良いですね。
オレはマリィの呪いがカーバンクルカーズなのかと思ってたけど、指輪の方だったのかー。
ん、あれ?どっちだ・・・、ちと読み直さないと解んなくなってるな。
しげやさしゅさんのブログで小説読むようになって思ったけど、これがブログ小説の弱点かもですね(^_^;)
さしゅさんのは毎週定期的なのでまだOKですが、2ヶ月単位のオレは最悪ですね。
もうちょっと執筆スピードを上げれたら良いのですが・・・。
ま、繰り返し読んで貰えるのも有難いことなんですけどねwww

追伸:リンクのURLなんですが、

http://ameblo.jp/tarutaruheho/

これに変えて貰っても良いですか?アメブロの方でちょっと変更があってたみたいなので、よろしくお願いします。

ぬ・・・登場人物新たに出現っ?
呪いの指輪してるのは
サシュ…タルタル。 ミサヨ…ヒュム。 カリリエ…エル
次はぜひガルガルで 【はい。お願いします。】 (´・ω・`)

◆そあらさん
ありがとうございます~( ̄▽ ̄〃
カリリエの活躍ですか……どうでしょうね、基本的にサシュが活躍する小説ですからw
この先もカリリエを見守っていただければ嬉しいです♪
サシュの言葉は、もっとミサヨが活躍するまでとっておきたかった気もしますけど、話の流れでここで出てしまいました~( ̄▽ ̄;
はたから見れば、せっかくのサシュのセリフも、ミサヨの無反応で終わってしまったという寂しい感じかもですw

◆ひーさん
ありがとうございます。
カーバンクル・カーズという名称がはっきり出ているのは、マリィの病気のことを書いたらしい週刊魔法パラダイスの記事ですね~。
指輪の謎はいずれ見えて来ると思いますので、今はあまり気にせず読んでくださいw
確かに小説を読み直すのは面倒です。
できるだけ読み返す必要がない書き方が理想ですね!
……難しい。
執筆スピードは……毎週、毎週、日曜日の大半を小説に費やすのもどうかと思いますよ~( ̄▽ ̄;
早く書き終わりたいです!w
ひーさんがサクサク書いてくれたら、読者としては嬉しいです♪
リンクのURL、変えておきました!
ご連絡ありがとうございましたー。

◆小花さん
……カリリエはヒュムなのに……。
どうしても、「さしゅ=エルメス好き」から離れてくれない気ですね!?w
……というのは冗談で、かなり反省( ̄▽ ̄;
もっと頻繁に書かないと種族が伝わらないのか~。
次の回には書こう……。
ガルカは、すでにザヤグがいるし、あまりたくさん出したくないんですよね。
ここぞという時に出したいw

こんばんは~
ふぅ~
ウイカさん立派な冒険者になるといいですねぇ^^
三人でウィンダスへ大冒険ですねドキドキです
頑張ってくださいね

・・・。
わかっている、わかってはいるんだ。
さしゅさんが別に狙ったわけでは無いということはわかっているんだ。
だが!
だがあえて言おう!
血の繋がってない妹萌え~~~~~~~~~~!!


ごめんなさい。

さて、とりあえず執筆お疲れ様でしたw
へほのコメントにネット小説の弱点と言う話が出てましたが、それは普通の小説にも言えないかな?
続き物の場合に限るけど、1巻読んで2巻出るまでに内容を忘れちゃうってね。
けどそれでいてどうすれば面白い話が描けるのかって言えば、要は設定を明確に表現し、布石を相手の記憶に残りやすいような場所に置けば次の作品までの間が空いても大丈夫なんだと思う。
具体的には長文の中に布石はなるべく入れない。とか
横文字をなるべく避ける。とかかな。

まぁ他にもいろいろ創意工夫はあるんだろうけど、俺がわかるのはこのぐらいですw

ではまた次回もがんばってくださいね~

◆サトさん
こんばんは~。
いつかウイカの冒険物語が別の形で書けたらいいなと思います。
その時の仲間は、アイルベーシュやマリィで、サシュも登場したりするかもしれませんねw
次の舞台はウィンダスに移ります。
また読んでいただけると嬉しいです( ̄▽ ̄〃

◆しげさん
すごいシャウトきた!
お兄さんが主人公でなくてすみませんw
ひーさんは1冊で完結の本を想定してると思いますが、アドバイスありがとうございます~。

> 布石を相手の記憶に残りやすいような場所に置けば

やっぱり難しい気がしますけど……あぅ( ̄▽ ̄;

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