ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ5-3

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2)


 第五話 刺客の価値 (3)

 かなりイライラしているカリリエ。〝サシュカシュ様〟……それが何なのか語ろうとしないサシュが、さらに別行動をしたいと言い出したからだ。
「実は私用で最初に行きたい所があるんだけど、あまり面白くない所だから、二人は先にレンタルハウスに行ってくれないか?」
 飛空艇公社で泥棒騒ぎが起こる直前の言葉を、サシュがあらためて繰り返した時、カリリエは本気で怒っていた。
「あなたは、命を狙われているのよ!?」
「ちょっと待ってくれよ。この先、ずっと付いて回るつもりじゃないだろう? 子供じゃないんだし、レベル15でもその辺のガードくらいの力はあるぜ?」
 サシュらしくないサシュの返事に、さらに何か言おうとしたカリリエをミサヨが抑えた。
「サシュの言う通りよ。私たちは〝マリィの病気〟と〝呪いの指輪〟のことで契約しているだけ。それ以外は自由だわ」
 それは正論であったが、カリリエが怒っている理由がサシュへの心配であることもミサヨにはよくわかっていた。サシュに気づかれないようにウィンクしたミサヨを見て、カリリエはようやく黙った。
「それじゃあ、明日の朝、居住区の水の区出口で会おう」
 そう言って歩き去るサシュ。カリリエがミサヨを小突いた。
「どうするつもりなの?」
 ミサヨがにっこりと微笑んだ。
「もちろん後をつけるのよ♪」

   *

 霧雨が通常の雨に変わり……やがて大雨に変わった。秋の雨は冷たく、身体の芯まで冷え込むようだ。
 サシュはウィンダス港から北に向かい、途中のレストラン〝音楽の森〟で昼食用のダルメルパイを包んでもらった。顔を見られないようにことさら気をつかってチュニックのフードを深くかぶっていたが、怪しむような店員はいない。ここウィンダス連邦には、変わり者が多いからだ。
 そこから東に向かい、やがて細い道を抜けると、耳の院……全寮制の魔法学校が見える。サシュはさらにその奥の学生寮の間を抜け……ほとんど獣道のような細い道に入った。生い茂った木々が雨と同時に光を遮り、雨天ということもあって足元はかなり暗い。

 サシュの後を追っていたミサヨとカリリエは、大雨のおかげでサシュに気づかれる心配はまずなかった。そして、はじめこそ気の進まない様子だったカリリエも、サシュの行動に興味を持ち始めている。
「誰かに会いに行くのかと思ってたけど……そんな感じじゃないねぇ」
「…………」
 ミサヨは黙っていた。正直に言えば、後をつける提案をしたのはカリリエがサシュを心配していたのに比べて、ずっと不純な動機だ。きっと……意中の女性に会いに行くに違いないと確信していた。だが、向かっているのは人が住んでいるような場所とは思えない……。
 やがて森が切れて視界が明るくなると、そこがサシュの目的の場所だった。周囲を森に囲まれた狭い原っぱ。そこには、いくつもの不揃いな形の大きな……タルタルの頭くらいの大きさの火成岩が一定の間隔をあけて縦横に並んでいた。それを見たミサヨとカリリエは、自分たちの行動を恥じることになる予感に気持ちが沈んだ。
 サシュは迷わず一つの岩……周囲の岩よりも少し小さめの岩の前に行くと、そこでヒザをつき、頭を垂れた。
「ずいぶん長い間留守にしていた……ごめんよ、カサネネ……メイルル……」
 墓石に刻まれたタルタル族二人の女性名をつぶやいたサシュ。
 ……そこはタルタル族の墓地であった。

 墓前から動かないサシュを見つめていたミサヨとカリリエであったが、十分もたつと姿を消していた。素直に二人でレンタルハウスに向かうことにしたのだ。
 三十分も雨に打たれたまま動かないサシュだったが、ようやく樹の陰に戻り、雨を避けて冷え切ったダルメルパイを食べ始めた。そのまま二時間が過ぎた頃、ぶるっと震える寒気を感じ、ようやくサシュは自宅のある居住区に向かうことにした。
 すっかり雨に体温を奪われていた……。

 サシュが去った後の墓地にキラキラと光の粒がきらめき、背の高い一人の人物が姿を見せた。プリズムパウダーの効果時間が過ぎて現れたのは、ブラッククロークをまとい、指に〝呪いの指輪〟をはめたヒューム女性だった。
「カサネネ、三十一歳で永眠……メイルル、〇歳で永眠……ですか。……まいりましたわ。公社でかばってくれただけでなく、このような過去まで見せつけられて……」
 ブラッククロークのフードからのぞいた顔は、すでに薄汚れたメイクを落とした美しい女性であった。
「でも、そろそろ薬が効いてくるはず……任務は果たさなければ……ベッケル様のために」
 女性はデジョンの魔法で姿を消した。
 誰もいなくなった墓地……。いつもの退屈な時間を取り戻した火成岩たちが、ただ静かに雨に濡れていた。

 ~(4)へ続く


コメント

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◆隠しコメントさん
先日はわざわざ会いに来ていただき、ありがとうございました。
今後もよろしくお願いします( ̄▽ ̄〃

カリリエとミサヨの描写が、とても人間味溢れていて
二人を「ただの戦士や魔導師、etc・・・。」に留まらせず
より身近な存在として感じることができますね(^.^)
サシュが墓石と向かい合い、
そこに眠る二人(妻&子供?)と久々の再開を果たした後、
「冷え切ったダルメルパイ」を食べる描写などは
そのパイの温度が、決して報われた死でない事を
物語っているような気がします。
きっとサシュは二人と語らっているとき、寂しげながらも
微笑を絶やさなかったのでは^^
な~~んて勝手に想像しました(^^;

新たな冒険を予感させる展開に、わくわくしながらも
「サッシュさん、これじゃ~等分執筆活動つづくな~・・・・。」
と、ちょっと心配になったりもしました( ̄∇ ̄;)

サッシュさんガンバ!(*゚ー゚)ノ"☆

◆ほわいとぉさん
コメント&応援ありがとうございます!
しかも、細かく褒めていただいて、もったいない感じですΣ( ̄▽ ̄;
むしろ、ほわいとぉさんの文章力に嫉妬ですよっ。

稚拙ながらも、ちまちま更新していきたいと思っています。
先週今週は、普段なら小説の内容を考える時間が裏LSのことを考えるのに割かれてしまって結構ピンチだったのですが、少ない文章量ながらも日曜日更新をキープできました。
エンディングに向かって加速したい気持ちは山々なのですが、どうしたら加速できるのかわからなくて困っていますw
いきなり謎解きだけ書き連ねるわけにもいかないし~( ̄▽ ̄;
まったり書いていきますですよ♪

少し遅れましたが、楽しく読ませて頂きました。
オレが言うのもなんですが・・・。
話の構築が上手になってますね。
特に今回は、それがハッキリ読み取れました。

ミサヨとカリリエの引き際に件に関して、自分ならどうしてたかな?って考えました。
もう一行あってもいいような気もするし、現状でもいいような気もするし、もしくは一行だけでも良かったかな、と。

いやぁ、変な所に注目しちゃってすいませんw
ここがミサヨとカリリエの思いを表現する上で重要な気がしました。

ま、それは置いといてw
最後のヒュム♀で墓主の補足説明加える辺りはナイスですね。

次回も楽しみにしてます。
ではぁ( ´∀`)/~~

◆ひーさん
いつもコメントありがとうございます。
話の構築ですか~。
自分ではピンと来ていないので、今回だけかもという恐れがっ( ̄▽ ̄;
二人の引き際というのは、冒頭部でしょうか、あるいは墓地で去る部分でしょうか?
冒頭部だとしたら、自分的にはあんなものかなー。
墓地でのことでしたら、もっと書いても良かったかも。
ミサヨとカリリエの想いを表現する上で重要というのは、全くその通りですね!
今回の件に対する二人の心の内を丸1回分くらい使って後で書くことになりそうです……たぶんw
次回もがんばりますよ~。
またコメントをよろしくお願いします^^

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