ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ5-6

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5)


 第五話 刺客の価値 (6)

 暗殺者アンティーナが、サシュのモグハウスに現れた日の翌日。サシュは泣きやんだアンティーナにだけプリズムパウダーを使って姿を消させると、昼前に彼女を連れ出した。雨はあがり青空が見えたが、肌寒い一日だった。
 魂の抜け殻のようになったアンティーナは、自分から積極的に行動を起こす様子がなく、黙ってサシュの後をついてまわった。二人でブランチを済ませて向かったのは、石の区にある天の塔。それから港区にある口の院に向かい……残念ながらアジドマルジド院長は不在だったが……代理の者がアンティーナを引き受けた。それから早めの夕食を済ませてモグハウスに戻ると、サシュはそれ以降、一歩も外に出なかった。
 昼間、サシュの考えていた通りに事は運んだ。少なくともウィンダス連邦内では、アンティーナは死んだことになる。おそらく明日には、週刊魔法パラダイスが喜んで記事を載せるだろう。帰還したサシュカシュが、暗殺者を返り討ちにしたという派手な内容で。ランク10という肩書きを遠慮なく使って行動したのは、今日が初めてだった。それは〝顔が効く〟という程度の効果ではあるが……十分だった。

 サシュが自宅に戻るまで、ミサヨとカリリエからの連絡は一切なかった。サシュから連絡することもなかった。
 この日。
 サシュも、ミサヨも、カリリエも……いつもと少し違う心理状態にあった。

   *

 夜が更け始めた頃。
 サシュのモグハウスの前に人影があった。黒髪の美しい娘……ミサヨである。
 ミサヨはこれからどうするか自分でも決めかねたまま、サシュのモグハウスの前に来ていた。かなり迷ったあげく、この日初めてのテルをサシュに送った。

 ミサヨ: こんばんは

 沈黙は一分近いように思われた。

 サシュ: こんばんは

 サシュからの返事はそれだけだった。……このまま帰りたくなる。何をしに来たのか……自分でもよくわからない。
 昨夜、ミサヨとカリリエがサシュの部屋に飛び込んだ時、ベッドの上にあの女暗殺者の姿があった。上半身裸で縄で縛られていた事情は一応聞いた。
 それはいいとして。
 そのまま二人だけで一晩過ごすというのは、納得いかなかった。
 サシュが女暗殺者を意地悪く尋問するところなど想像したくなかったし。女暗殺者がうまく縄を抜け出して、寝ているサシュを殺すところはもっと想像したくなかった。
 仲間だと思っていたのに……サシュは一緒に泊まろうとする私たちを無理矢理追い返したのだった。何か……自分でもよくわからない感情が、心の中でくすぶっている。
 それをすっきりさせたかった。

 ミサヨ: 今、モグハウスの前まで来てるんだけど……入ってもいい?
 ミサヨ: 話がしたいんだけど……

 サシュの反応はやはり鈍かった。

 サシュ: 今夜はだめだ。明日にしてくれないか?

 冷たい返事に、思わずその場から立ち去りかけて……ミサヨは考えた。
 何だろう……二人は知り合ってまだ数週間。それでも、ジュノでは何度も心が通じ合う瞬間があった。……と、思っていた。今、サシュとの間に大きな壁があるように感じる。

 ミサヨ: あの……暗殺者は、まだいるの?
 サシュ: いや、もういない。目の院に預けたから
 サシュ: …………
 サシュ: 頼むから……今夜はだめだ

 ミサヨは、ようやく気づいた。サシュの様子が、明らかにおかしい。心の壁とか……そういうレベルじゃなくて……何かわからないけれど……。

 ミサヨ: ごめん……入るね

 ミサヨは、ドアを開けた。後で怒られるかもしれない……それでも、確かめるべきだと思った。

   *

 ミサヨがドアを開けると、部屋の中は真っ暗だった。
 部屋に一つだけある三角形の窓。そこから差し込む薄明かりで、かろうじて物の位置が見分けられるくらいに目が慣れてくる。暗闇にぼーっと浮かんで見える白いシーツが敷かれたベッドの上には、誰もいなかった。
 何か小さな音が聞こえる。
 音……じゃなくて、声?
 人の気配があった。
 左の壁際に置かれたテーブルの向こう側にタルタルの大きな頭が見えた。見慣れた銀髪……サシュだ。壁を背にして、片ヒザをかかえるように座りこんでいる。
「……サシュ?」
 遠慮がちに声をかけるミサヨ。
「……来るな……」
 直接サシュの声を聞いたミサヨは、とうとう確信した。すぐには信じられなかったが……。
 ……サシュは泣いていた。
「……どうしたの?」
 少しためらってから、ミサヨはサシュに近付き……左隣りに腰を降ろした。サシュと同じようにヒザを抱えて座った。
 暗闇の中でサシュがすすり泣いている。
「ば……見られたくなかったのに……みっともないだろ……」
 ミサヨはそれには答えずに、もう一度聞いた。
「どうしたの? ……言いたくなければ、いいけど」
「…………」
 ミサヨはできるだけ落ち着いた声を出したつもりだった。……が、正直、ミサヨ自身もとまどっていた。
 マリィを勇気づけたサシュ……シェンを倒したサシュ……カリリエを救ったサシュ……。そのサシュが泣いているところなど、一度も想像したことがなかった。
 二人とも黙ったままの時間が過ぎていった……。

 十分もたった頃……ようやくサシュが口を開いた。
「理由は……自分でもうまく言えない……ただ……」
 「うん」とだけ、ミサヨが答えた。
「世の中には、どうしてこんなにたくさん……哀しい出来事があるんだろう……世界中に……自分の努力とは関係なく……大きな運命の力で不幸な人生を送る人々が……たくさんいる……」
 サシュは、アンティーナから聞いた話をミサヨに話した。
 ミサヨは思った。サシュの意識には、当然マリィのことも含まれているだろう。それだけではない。昨日……カリリエと共にこっそり見てしまった、タルタル族の墓地。そこに眠る者への想いが、最も強いに違いない……。
「……こんなことで独りで泣いてるなんて……いい歳した男が……変だと思うだろうな……」
 ミサヨは答えられなかった。ただ、首を激しく横に振ったが、暗闇でサシュが気づいたかどうか……。
 代わりに、隣りに座るサシュの小さな肩に手を回して。
 そのままサシュの頭を、立てたヒザと胸の間に倒した。自然にサシュの頭を抱えるような形になる。
 (ごめん、カリリエ……これって抜け駆けかな……でも……)
 最初、サシュはびくっとしたが、抵抗しなかった。そのまま子供のように、ミサヨのヒザの上で泣いている。
「サシュ……あなたは強い人だわ……その強さの秘密が、抱えた哀しみの数だと言うなら……もっと……仲間に頼ってほしい。人は誰でも弱いから助け合う……支え合って生きていく……そう母が言っていたわ」
 ミサヨの心に、サシュへのわだかまりはもうなかった。明日からは、いつもの私たちに戻れるだろう……。
「……ありがとう」
 サシュのその短い言葉を聞いた時、ミサヨの頬にも涙がつたった……。

 開いたままの部屋のドアの外にカリリエが立っていた。
(そういう役目は、私の方が向いていると思ったんだけどなぁ……)
 そのままサシュのモグハウスをあとにして、星空の森の区を散歩するカリリエ。
「アルタナの女神様……どうか、私たちの未来にご加護を……!」
 静かな森に、カリリエの美しい声が染みていった……。

 ~第五話完、第六話へ続く


コメント

・・・ちょっwwwwwwwwwwwwww

突然そんな名前を出すことで俺の動揺が有頂てn
ごめんなさい最近普通の日本語が話せなくなってます orz


一区切り、いろいろなことの詰まったお話ですね。
世界には悲しいことが沢山あって、どうにもできないこともほんとにたくさんあって。
そんな闇と光のパワーが合わさったなかで、きちんと光の方を向ける強い人がたくさんいる、ということが最近の私のしあわせと元気の素です。なんかよくわかんない感想だ(ノ∀`)だって、甘ぁいストーリー直視するのは苦手なんだものっw

こんばんわ(*^^)
またサシュさんの小説が拝見できることを、心から喜ばしく思います。

今回の小説から感じ取られたことは非常に興味深いですね。
サシュの「トラウマ」とも取れるほどの悲しい過去の出来事が、脅威者(暗殺者)に対し、
こんなにも紳士的な対処、行動を取らせるとは(^^;)
表現的には無感情の如く、ただただ淡々とアンティーナを引き渡しているようにも取れますが、
あの雨の中、寂しげに佇んでいたサシュの姿を思い出すと、逆にもっとも心が動いた瞬間だったのかもしれませんね。

ミサヨ、そして、図らずともカリリエに対しサシュが見せた「弱さ」は、
お互いがお互いを必要とし、もっとも信頼している「証」となったに違いない。と思いました。(*^.^*)

最後にカリリエが紡ぎ、響いた言葉が、
この三人にささやかではあるけれど、確かに差し込んだ光を感じさせてくれました。(*^^)

◆みやさん
いや、名前出てきただけじゃんww
コメント、ありがとう!
強い人で誰を想定しているか思い当たる人が一人……良かったね♪
私は関わったことがありませんが、みやさんを元気にしてくれる人だということはわかる( ̄▽ ̄〃
甘ぁい……って、わざわざ「あまい」を漢字変換した後に、戻って「ぁ」を入れるほど強調しなくてもっΣ( ̄▽ ̄;
そこはほら、いろいろな内容に挑戦中ということでw

◆ほわいとぉさん
おひさしぶりです、コメントありがとうございます!
読者の皆様の豊かな想像力と感受性に頼った小説ではありますが、そこまで褒めていただけると、続きを書くエネルギーがわいてきます♪
これからも色々な展開にチャレンジしていきたいと思っていますので、お暇な時にでも続きを読んでやってくださいませ~( ̄▽ ̄〃
一応、完結に向かって進めているつもりでありまして。
内容的には、ようやく前半が終わった感じです。
後半は、量的には前半よりかなり少なくなると思いますので、一気にエンディングに向かいたいところ……でもまたいろいろストーリーを盛り込みたくなっちゃうんだろうなぁ……まったりがんばります♪

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◆隠しコメントその1さん
ありがとうございます!

◆隠しコメントその2さん
いやそれ、こっちが恥ずかしいから!w
ありがと( ̄▽ ̄〃

すいません。
やっと詠みました^^;
詠んでるとメールが着たりとか、来客があったりと、邪魔されて詠み進めなかったんですよね。
ということで、次の話も今から読みます。
邪魔が入らない事を祈ろう。

◆ひーさん
ありがとです。
いや、落ち着いた時にでもゆっくり読んでくださいな♪
でも忙しそう……( ̄▽ ̄;

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