ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
→遭遇リスト

駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ6-3

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2)


 第六話 依頼と報酬 (3)

 ホルトト遺跡とは、ウィンダス連邦が建国されたサルタバルタ平原に点在する塔状の遺跡群の総称であり、単に〝魔法塔〟とも呼ばれる。誰が何のために造ったのかわからないほど古い建築物だ。このうち、内ホルトト遺跡はウィンダス連邦の東西に存在する二つの魔法塔と、それらを繋ぐ地下通路からなっている。未だに強力な魔導エネルギーが蓄えられており、その一部をタルタル族が利用している。一方、外ホルトト遺跡は内ホルトト遺跡を囲むように点在するそれぞれが独立した魔法塔で全部で四ヶ所。ウィンダス連邦・手の院で開発された自動人形カーディアンの一部が野生化し、占拠しつつある。サシュ達が向かったのは、通称〝北の魔法塔〟と呼ばれる外ホルトト遺跡で、ウィンダス連邦の東に広がる東サルタバルタ平原の北部に位置している。
 のどかな景色のサルタバルタ平原だが、様々なモンスターや鳥型の獣人ヤグード族がうろついており、冒険者レベル1のミサヨはもちろん、レベル15のサシュも油断はできない。ただ、レベル72のカリリエだけが鼻歌が歌えるほどの余裕を見せた。
 遺跡の入口に到着すると、サシュが説明した。
「地下に向かう階段を降りて、突き当たりの部屋を右に曲がって、一つ目の枝道を右に入ると、その突き当たりの左右に小部屋がある。左側の部屋が目的地……ディオが現れる部屋だ」
「うんうん」
 カリリエとミサヨが頷く。「ただし」と、サシュが付け加えた。
「枝道に入る前に、野生化したカーディアン達に出くわすかもしれない。冒険者レベルで言えば、1から5くらいのザコだけど、ミサヨにはきついだろうな」
 正直、ミサヨは外で待っている方がいいとサシュは思っていた。本来、カリリエ一人で十分な冒険なのである。ただ、サシュ自身はこの場所に精通しているし、レベル15のサシュにとってカーディアンは問題にならないので、一緒に行った方がいいだろう。ディオの相手だけをカリリエにまかせればいいのだ。
「大丈夫、サイレントオイルはたっぷり買いこんで来たから!」
 ミサヨは行く気満々である。
「カーディアン族は聴覚感知だって聞いたから。……で、いいんだよね?」
 渋い表情のサシュを見て、不安になったミサヨが確認した。仕方なく頷くサシュ。ミサヨの気持ちはよくわかる。自分たちは商人でも盗賊でもない……。
 〝冒険〟をするから、冒険者なのだ。
 サシュの顔に、ふっと緊張の解けた笑みが浮かんだ。準備をしない冒険者はただの無謀者。共に行動するパーティに迷惑をかけるだけだ。だが、ミサヨはちゃんと準備をしてきている……レベル1でも役に立てることはあるだろう。シェンとの対決で青ざめていた頃とは、目の輝きが違う。
「よし、行こう」
 後悔はしない。何が待ち受けていようと、それが〝冒険〟なのだから。

   *

 遺跡の入口から地下に入ると、床も壁も天井も石造りで、壁の高い位置のところどころに緑色の光を発する球体が浮いている。それが遺跡内部を薄暗い緑色の世界に染めていた。階段を降りきったところから伸びている通路の正面突き当たりに、扉のない大きな部屋があり、その中にある魔導設備の一部が通路から見える。
 ……と同時に、カーディアン数体が視界に入った。
「……?」
 違和感を感じるサシュ。
「ちょっと待って、カリリエ」
 先に進もうとしていたカリリエを、思わず呼び止める。
「……おかしいな……カーディアンがそこまで出てきているなんて……」
「野生化したカーディアンが増えたんじゃない?」
 カリリエの返事に、「そうかもしれない」と納得しそうになる。だが……。
(初めてここに来たのが十五年前……最後に来たのが一年半前……その間、こんなことはなかったのに……)
 サシュの懸念は具体化することなく、意識の隅に引っかかるだけにとどまった。
「予定より早いけど、サイレントオイルを使って行こう。サシュもね」
 ミサヨがもっともな提案をし、サシュが従った。余計な戦闘をする必要はない。サイレントオイルで物音を消していけば、カーディアンはサシュ達を認識することができない。そして、レベル72のカリリエであれば、認識しても襲って来ない。他のモンスターと同様に、カーディアンも自分より強すぎる相手には手を出さないのだ。
 正面の魔導設備の部屋に入り、ゆっくりと動き回るカーディアンの横をひやひやしながら通り過ぎる。進むべきは右側。部屋の端が下り階段になっており、先の通路を見おろすことができる。その方向に視線を向けた時。
 ……サシュは目を疑った。
「ぅ……」
 思わず声を出しそうになり、慌てて口をおさえる。大丈夫……カーディアンは気づいていない……が。
(嘘だろ……!?)
 そこには、数体のカーディアンがうろついているだけ……のハズだった。が、実際には、視界を埋め尽くすように大量のカーディアンが動き回っていた!
(カリリエが言うように、増えている……? ……のか?)
 声を出すとカーディアンに気づかれるので、横を歩くカリリエの腕をつかんだ。後ろをついてきたミサヨも立ち止まる。

 カリリエ: どうしたの?
 サシュ: 何かが異常だ……出直した方がいい

 声に出さずにテルで会話する。カリリエは、気にしていないようだ。それは当たり前で、ザコはいくら集まってもザコであり、一体としてカリリエに手を出すカーディアンはいないだろう。また、何体いようと、サイレントオイルを使っていればサシュとミサヨが気づかれることはない。しかし……。
 以前と何かが違う……それがはっきりした今、サシュの冒険者としての勘が警鐘を鳴らし始めていた。
 ……が、遅かった。
 ミサヨの背後から、不気味な低音が響いてきたのだ。聞きなれた音。黒魔道士であるサシュとミサヨにとって、いつも自分と共にあった音。
 通り過ぎたばかりのところにいたカーディアンの一体、トゥーオブバトンズが精霊魔法を発動させた音だった。
 土系の魔法ストーンによる石つぶてがカリリエに直撃した。低レベルの精霊魔法なので、カリリエは痛くもかゆくもないが……。同時に、周辺にいたたくさんのカーディアンがカリリエに対して攻撃態勢を取った! 理由はわからない。カリリエに手を出すような高レベルのカーディアンが混ざっているとは思えなかった。
 幸いなことに、サイレントオイルを使っているサシュとミサヨには、未だ気づいていないようだった。とっさの判断で叫ぶカリリエ。
「ここは任せて! 二人は走って!!」
 カーディアンが何体集まろうと、カリリエを傷つけることはできないだろう。それだけレベル差がありすぎるのだ。しかし、これだけ多いと見動きが取れない。となれば……全てのカーディアンを自分が引きつけて、サシュとミサヨに先に進んでもらうしかない……とカリリエは判断した。
 無言で頷くと、サシュはミサヨと奥に向かって走った。ぐずぐずしていると、自分達まで動けなくなる。それだけカーディアンの数が多かった。
 選択肢としては、先に進むか、入口に戻るかがあるが、迷っている時間はなく、サシュは進むと決めた。
 二人ではディオには勝てない。だが、せっかくカリリエが敵を引きつけてくれているこの状況で、事態を把握するための情報を少しでも手に入れておくために、前に進むべきだと思ったのだ。サイレントオイルがあれば、引き返すことはいつでもできる。時間はかかるだろうが、カリリエは一人でも無傷で脱出できるはずだ。
 そして、カーディアンの数が多いことと高レベルのカリリエに手を出したことの二点以外には異常はなく。カーディアン達の間をすり抜けて、サシュとミサヨはディオの部屋の前までたどり着いた。不思議なことに、あれだけいたカーディアンもこの付近には一体もいない。
 目の前には石の扉。扉にあるスイッチを押せば、上にスライドするはずだ。ただ、扉を開けてディオがいれば、こちらが瞬殺されるだろう。シャドウ族のNM《ノートリアスモンスター》であるドッペルゲンガー・ディオ。レベル15のサシュには、けして勝てない相手である。
「……ここまでだな。カリリエを待つか、出直すしかない」
「そうだね」
 ため息をつく、サシュとミサヨ。

 ……うかつだった。周囲にカーディアンがいないと思って油断し、声を出してしまった。
 ふと気が付くと、ミサヨの横にカーディアンが立っていた。サシュの横にも。
「!?」
 合計二体。現れたのだ……いきなり!
 そして、サシュの横にいたカーディアンが、どういうわけかディオの部屋の扉のスイッチを押した。まるで、あらかじめ決められていたような動きで。
 ……やばい!!
 反射的に精霊魔法ファイアを唱え、手にしていた片手棍でトドメをさす。扉を開けたカーディアン一体は沈んだ。
 ……だが。
 ……目の前には、懐かしい長身のモンスターがそびえるように立っていた。背の低いタルタル族のサシュからは、ことさら巨大に見える。闇のように黒い顔に黄色く光る二つの目。大きな黒い鎌……クルエルサイズを手にしている。
「久しぶりだな……ディオ」
 サシュの言葉に返事はない。代わりに、ディオが持つ大鎌の一振りがサシュの額をかすめた……!
 額に赤い線が浮き出て、眉まで血が垂れた。避ける動きさえできなかった。レベル15制限とはこういうものか……以前は止まっているようにさえ見えたディオの動きが、今のサシュには全く見切れない。
 電光石火で水平に振られた一撃目の次は、ゆっくりと振り上げられる鎌……。
「くそ……」
 背後を見ると、ミサヨが倒れていた。残っているもう一体のカーディアンにやられたのだ。
 そしてサシュに全くタイミングを計らせず、クルエルサイズが振り下ろされた……!
(ここまでか……)
 巨大な鎌は、一撃でサシュの頭蓋を砕くだろう……。サシュの脳裏にブラウンヘアーをツインテールにしたタルタル女性の顔が浮かんだ。
(カサネネ……君の意思を継ぐ旅も、ここまでみたいだ……)
 閉じたまぶたを突き抜けるほどの眩しい光が、サシュの頭上で輝いた。

   *

 ギカッという放電音と共に。その瞬間、サシュの周囲が白く輝く熱い光に包まれた。光はすぐに消え、パチパチという残留放電がおさまると、世界は再び静かな暗緑色を取り戻す……。
 目を開けたサシュの足元に、ディオという名のNMが横たわっていた。
 ……〝サンダーIII〟だ!
 サシュにはすぐにわかった。雷系の精霊魔法サンダーIII……かつて、サシュがレベル66で習得した黒魔法である。その一撃で、ディオは仕留められていた。
「ええぃ、うっとぉしいですわ!」
 ドカッという打撃音とともに、手にした両手棍でカーディアンを殴り倒した人物がいた。サシュの方を向いて前髪を払い、美しい笑顔を見せる長身のヒューム女性。
「お久しぶりですわね、サシュさん。……失礼、本名はサシュカシュでしたかしら?」
「……ア……アンティーナ……さん?」
 そこに立っているのは、かつてサシュを暗殺しようとし、その後サシュが口の院に預けた元ベッケルの部下……アンティーナであった。

 やがて、全てのカーディアンを片付けたカリリエが来る頃には、アンティーナの白魔法レイズによるミサヨの蘇生が終わっていた。
 アジドマルジド院長の指示で、〝北の魔法塔〟を調べに来たのだとアンティーナは語った。
「外ホルトト遺跡にいるカーディアンの様子がおかしいという情報が、天の塔に入ったのですわ。その後の情報の整理で、北の魔法塔のことだとわかり……院長の命令で、私が最初の任務としてここの調査を受けたのです。まさか、あなた達が来ているとは、知りませんでしたわ」
「助かったよ……ありがとう」
 サシュは素直な気持ちを口にした。そして、この数週間でアンティーナが精神的に立ち直っている様子に安心した。
 蘇生直後の衰弱状態で座りこんでいるミサヨと、それに付き添っているカリリエ。二人がアンティーナに好感を持っていないことをサシュは知っているので、ここでアンティーナと話しこむのはやめることにした。
 床に転がっていたクルエルサイズを拾って、本物であることを確かめるように振り回してみる。ウィンダスに戻れば、今回の依頼は完了だ。

「ところで、院長から手紙を預かっていますの。偶然でも早く出会えてよかったですわ」
 突然のアンティーナの言葉に、サシュ、ミサヨ、カリリエが顔を上げた。
「私に……?」
 不意を尽かれたサシュが間抜けな声を出した。
「そうですわ……だいたいの内容は聞かされていますが……まずは読んでみていただけませんか?」
 差し出された羊皮紙製の封筒を受け取るサシュ。開いた手紙に書かれた達筆は、アジドマルジド院長の直筆に間違いなかった。
 手紙を読んだサシュは、左手で頭をかかえ、それからアンティーナを見た。アンティーナはにこやかな笑顔だ。
「またか……また俺は、見落としていたのか……」
「また……って?」
 うめくようなサシュの声に、ミサヨとカリリエが反応した。それには答えず、サシュはアンティーナに左手の甲を見せるように促した。
 すっと左手を上げるアンティーナ。
「いったい、いくつあるんだ……」
 あきれるように言うサシュ。
「……驚いた。私も気づいてなかったな」
「私もだ……」
 ミサヨとカリリエが目を丸くしている。
 アンティーナの左手人差し指にはまっているのは、まぎれもなく〝呪いの指輪〟。霊獣カーバンクルの模様が刻まれている。
「サシュさんの暗殺を命じられた時に、ベッケルにつけられたのですわ……成功したら外してくれるという条件で」
「……アジドマルジドさんからの手紙には、なんて?」
 質問したミサヨに、サシュは元気なく手紙を渡した。カリリエも覗きこむ。

 ===

 サシュカシュへ
 挨拶は抜きだ。おまえが口の院に預けたヒューム女のことだが、クロイドモイドがおまえから聞いたという話とかなり違うぞ。レベル90相当と言っていたらしいが、実際にはレベル69じゃないか。本人に聞いたら、指輪のせいだと言う。口の院は慈善事業じゃないからな。おまえが責任を持って、彼女の指輪を外してから、もう一度連れて来い。
 それから……今度は、俺がいる時に口の院に来いよ。
 アジドマルジド

 ===

 口をあけたまま呆然とするミサヨとカリリエをよそに、アンティーナはテキパキとしゃべった。
「できましたら、ここの調査も手伝っていただけませんか? 私一人では、荷が重くて。ついでに言えば、このまま天の塔への報告まで付き合っていただいて、そのまま一緒に行動するのが合理的だと思いませんか?」
「うん……わかった……この遺跡の構造には詳しいから、手を貸すよ。それに……アジドマルジド院長には逆らえない……」
 同意したサシュに、ミサヨとカリリエは特に何も言わなかった。たった今サシュの命を救い、ミサヨを蘇生させたという事実のせいもあるかもしれない。よろしく……と、手を出すアンティーナに強引に握手されていた。
 サシュは少々気が重い。
(まいったな……一人旅の方が気楽なのに……まさかこんな大所帯になるなんて……)

 遺跡の地下の暗い緑色の世界で、サシュの道連れがまた一人増えた。四人は、この直後にカーディアン達の異常の秘密を知ることになる。
 それはウィンダス連邦にとっての危機という程のものではなかった。ただ……サシュ達にとって、〝運命〟を感じさせずにはいられないものである……。

 ~(4)へ続く


コメント

これから小説をゆっくり読ませていただきます!

お久しぶりです~。
毎週読ませていただいてましたがUPされてから結構経っていたりしたのでコメントは控えさせていただいていました。
今回は久しぶりに早めに見かけたのでコメントさせていただきます。

と言っても突っ込むところはありませんけどねw相変わらず興味深いストーリー展開で感心させられます。
個人的な感想を挙げるならそろそろ男の仲間がほしいなーとかおもったり?w
後、アルドマルジトがツンデr(ry

ああ、そうそう。何が待ち受けていようと、それが“冒険”なのだから。 と言う一文がありますが本当にその通りだと共感を覚えました。最近若干作業になってたような私のFF生活も少し変わりそうな気がしますw

では、本日はここまで。冗長な文章失礼いたしました。
追記ですが私の方の小説もそろそろアップできると思いますので、よければお読みください。

ついにアンテナさん登場したw
その~今までなにを?
ってまだ先なんだね~
次回が気になる~

◆ドレッドさん
ありがとうございます。
よろしければ、感想をお聞かせください。

◆しげさん
お久しぶりですw
コメントありがとうございます♪
男の仲間……それじゃ、ハーレムにならな……いえ、何でもありません。
ほら、エグゾロッシュとかいるじゃないですか!
ブラックライトニングにもガルカとかヒュム男とか!
……今は一緒に行動してませんけど( ̄▽ ̄;
アジドがツンデレなのはデフォルトで。
“冒険”の部分は自分ではあまりどうこう言いたくありませんが、共感していただけたのは嬉しいです( ̄▽ ̄〃
しげさんの小説アップ、楽しみにしています♪

◆さとぽん
アンテナじゃねー!
……と何度言えば!!w
もぅ、アンテナでいいです( ̄▽ ̄;
今まで何を……大したことはしてないけど、そのうち書くよ、たぶんw

コメントの投稿


管理者にだけOK


管理者に連絡する(メールフォーム)
※コメントを投稿できない場合にご利用ください。管理者からの返信はできません。

HOME

駅メモ関連リンク
最新の記事
最近のコメント
駅メモ!便利ツール
駅メモ!個人サイト
ブログ内検索

カウンタ

  • 閲覧/訪問数 since 2005
    hits / visits

月別アーカイブ

プロフィール

  • Author:笹谷周平(ささやか)
  • 誤字、脱字、リンクミスにお気づきの場合は、コメント欄にてお知らせいただけると助かります。

カテゴリ
旧知リンク
商標/著作権等