ささやかに駅メモ!

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Cカーズ6-4

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2) (3)


 第六話 依頼と報酬 (4)

 ホルトト遺跡の各魔法塔は、地上にそびえる塔状の部分が目立っているが、ダンジョン自体は地下にある。そして、一つ一つの塔のダンジョンはあまり広くないので、北の魔法塔の調査は一日もかからないだろうと思われた。実際には……二時間程度で終了した。
 ……異常がなかったわけではない。

 サシュ、ミサヨ、カリリエ、アンティーナの四人は、ミサヨの衰弱状態の回復を待って、ディオの部屋の前から調査を開始した。
 まずは、ディオの部屋の向かいにある部屋。ディオの部屋と同様に、上にスライドするドアがある。この遺跡には同じような造りの部屋が全部で十四あるのだが……。サシュの記憶では、このドアの向こうには空っぽの部屋があるだけのはずである。
 だが。この部屋には警戒せざるを得なかった。ミサヨと二人でたどり着いた時、いきなり現れた二体のカーディアン……。信じられないことだが……プリズムパウダーを使用していた痕跡があった。……カーディアンが冒険用の薬品を使うなど、聞いたことがない。
 さらにそのうちの一体が、まるで決められた行動のようにディオの部屋のドアを開けた。一体何のために? ディオを……利用するため……侵入者を撃退するため……だとしたら。
 この遺跡の中で。目の前の部屋こそ、最も警戒すべき場所だと思えた。

 カリリエが慎重にドアのスイッチを押す。ドアが勢いよく上にスライドし、その向こうに見えたのは……。

 動くものはなかった。天井にある照明装置のおかげで、通路よりは明るいがやはり緑色の世界。もっとも、一時間以上遺跡の中にいるので、目が慣れて緑色に感じなくなっているのだが……。
 何もないはずの部屋に、木製のテーブルがあった。木製の椅子も、三つの簡易ベッドらしきものまであった。床にはゴミが散らばり、テーブルの上には数冊の本や羊皮紙……。
「サシュさんの部屋並みに、散らかっていますわね」
「あれはトラップをごまかすためで、私はどちらかと言えばきれい好きです」
 部屋の中に誰もいないことを確認してから真面目に言うアンティーナに、サシュが真面目に答えた。ミサヨとカリリエも、遺跡に不似合いな部屋の様子に驚いている。
「誰か住んでいたんだ……こんなトコロに!」
「ベッドの数からすると、三人かな……ホコリの感じからすると、一週間以上は無人だったみたいだねぇ」
 カリリエがテーブルの上を指でなぞっていた。人がいなければホコリなど落ちていない部屋に、ホコリがあった。それなりの期間、ここで人が暮らしていた証拠だ。
「ふーん……」
 アンティーナがテーブルの上にあった一冊の本を開いて読みふけっていた。サシュも椅子に上がって、テーブルの上の別の本を開いた。
「これは……!」
 そう言って、ページをめくるサシュ。心臓が高鳴っている。
「……あった!!」
「……何があったの?」
 カリリエが近付いて、かがむように横から覗きこんでいるのにも気づかず、サシュはそのページを読み、前後のページをめくった。
 あったのだ、こんなところに。
 奇病〝カーバンクル・カーズ〟について書かれた禁書が!!

「ちょ……」
 ……っと見てくれ。そう言って顔を上げようとしたサシュの右頬が、一緒に覗きこんでいたカリリエの左頬に触れた。
 それはほんの一瞬で、慌ててサシュが離れる。
「あ、ごめん」
「ご、ごめんなさい」
 カリリエは手のひらで頬を覆うようにおさえて、視線をそらした。サシュからは見えなかったが、ミサヨとアンティーナからはカリリエの赤くなった表情が見えた。
「ふーん……」
 アンティーナがにやりとしたが、それ以上は何も言わなかった。
「あったんだ、例の禁書が!」
「えっ!?」
 サシュの言葉にミサヨが驚きの声を上げて本を受け取り、ページをめくった。横からサシュが補足する。
「カーバンクル・カーズについて書かれている部分は少ししかないみたいだけど……後で、よく読んでみよう」
「……そっか……この本、〝病気〟についての本じゃなくて、〝霊獣カーバンクルの力〟について書かれた本だったんだ……と言うことは……?」
 本全体をぱらぱらとめくってから、ミサヨが考え込んだ。ミサヨの言葉が気になったサシュ。
「どうした?」
「……うん、実は……さっき、こんな物を見つけてしまったのです」
 少しおどけるように言ったミサヨが、細い二本の指に挟んで見せた物。それは一枚の小さな銀のプレートだった……。
 光を反射して、黄色っぽく見えたり黒っぽく見えたり……。何かの模様が描かれている……サンドリア王国の紋章?

「……あ……えぇっ!?」
 この遺跡内部の光源が緑色であることを思い出すのに、少し時間がかかった。黒っぽく見えるのは、本来……赤色……。
「それは……まさか……」
 サシュの記憶が蘇った。アイル少年に引っ張られて初めてマリィの家に行った時。黒鎧に身を包んだ口ひげのエルヴァーン族の男が、マリィの母親リタに見せつけていたプレート。
 特殊な彫金合成術で作られた王室親衛隊の身分証明書だ。
「……ここに、いたのは……」
 サシュの言葉をミサヨが引き継いだ。
「十中八九……ベッケルよね……今の彼には不要なプレートだから、捨てていったのかな」
「そうだ……少なくとも現在の王室親衛隊が、ウィンダス連邦に無断でホルトト遺跡に手をつけたりするはずがない」
 だとしたら……ベッケルがここにいた目的は?
 どうして、禁書がここにあるのか?
 どうやって、カーディアンを操ったのか?
 今はどこにいて、何をやっているのか……?
 疑問は山のようにあった。
「カーディアンを操っている秘密は、これのようですわね」
 アンティーナが読みふけっていた本を見せた。
「これも禁書ですわ。ホルトト遺跡の魔導設備の応用例の一つとして、カーディアンの心臓部と言える魔導球との交信……古代言語プログラムによるカーディアンの遠隔操作までしっかり書かれていますわ。……禁書になったのは当然ですわね」
 強さに関係なくカーディアンがカリリエを襲ったり、部屋の前の二体のカーディアンが特異な行動をした理由がそこにあった。
「……すごいですね。この短時間で、そこまで読み込んだのですか」
 サシュはむしろアンティーナの知識に感心した。
「……子供の頃からのエリート教育の賜物《たまもの》ですわね……」
 アンティーナの表情に影が落ちる。サンドリア王国の高級官僚だったブレソール卿……その私兵、特殊な暗躍部隊としての教育を受けてきたアンティーナは、他国の情報収集に関わる知識も豊富だった。
「サシュ……これ、どこの地図かわかる?」
 カリリエが羊皮紙の束を持っていて、その一番上の紙に手描きで地図らしきものが描かれていた。
「………?」
 受け取った羊皮紙の上下をひっくり返してみる。サシュの頭の中にある何枚もの地図のうちの一枚と合致する模様になった。
 かばんからその場所に該当する地図を取り出して羊皮紙に書かれた図形と比べてみる。
「ボスディン氷河に間違いないな……いくつかマーキングされているのが、ソ・ジヤ遺跡。ホルトト遺跡とそっくりの塔が立っている場所だ」
「……ちょっと待って……情報量が多すぎて、混乱してきた」
 突然、カリリエがギブアップの声を上げた。ミサヨも頷く。
「めぼしいものは持ち帰って検討しようよ。一応、他の部屋も調べるんでしょう?」
「そうだな……他に何もなければすぐに終わるだろうし、日が沈む前にウィンダスに帰ろう」
 サシュが同意し、アンティーナも従った。
 予想通り、他の部屋に異常はなく、カーディアンが密集していたのはベッケルが潜んでいた部屋への通路のみであることがわかった。遺跡中のカーディアンがそこに集中配備されていたらしく、他の場所ではカーディアンに一回も遭遇しなかったのだ。
 他の部屋の調査の間、サシュにはずっと気になっていることが二つあった。
 一つは、禁書を読んだ時に、奇病〝カーバンクル・カーズ〟が、霊獣カーバンクルと関係があるように書かれていたこと。これは、帰ってからもっと詳しく読んでみないと何とも言えない……。
 もう一つは、カリリエが見つけた手描き地図のソ・ジヤ遺跡の一つに、しっかり丸が書かれていたこと。かつて、その遺跡の最深部にサシュは入ったことがある。そこにあるのは……。
 ベッケルの目的について、ある想像がサシュの頭で形になりつつあった。そして、マリィの病気を治すために向かうべき場所にはベッケルがいて、彼との対決は避けられない……そんな根拠のない予感さえ浮かんだ。
 飛空艇のシェン、ジュノの誘拐犯、ウィンダスの暗殺者、そして今回はホルトト遺跡のカーディアン……。行く先々にベッケルに関わる事件が待っている……。
 ……これが、〝運命〟というものなのか?

 その日の夜、四人は無事にウィンダス連邦に戻り、星の大樹でクピピにホルトト遺跡の状況を報告した。正式なレポートは、書記官のクピピが文章にして神子に報告することになる。
 何者かが遺跡に潜み、カーディアンを操っていた。証拠提出物は、アンティーナが見つけた禁書。
 ベッケルとカーバンクルに関わる内容は報告しなかった。禁書や羊皮紙の内容について、自分達でもっと調べたかったからだ。
 ホルトト遺跡の異常については、カーディアン関係のことだけで十分だろう。専門の技術者が禁書の記述を元に、魔導設備をリセットすることになりそうだ。
 クルエルサイズをホノイゴモイ氏に届けるのは翌日にして、四人はそれぞれのモグハウスやレンタルハウスで眠りについた。冬が近付いていることを知らせるような、寒い夜であった……。

 ~(5)へ続く


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