ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
→遭遇リスト

駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ6-5

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2) (3) (4)


 第六話 依頼と報酬 (5)

「今日は一人なのか」
「ええ……ご希望の〝クルエルサイズ〟を持って来ました」
 サシュは、ディオから手に入れた大鎌をホノイゴモイに見せた。ウィンダス一の大金持ちは、鎌を受け取ると目を細めて見入った。
「うむ……この柄の形状……話に聞いた通りだ。本物のようだな」
 いいだろう……と、頷くホノイゴモイ。
「以前、私の依頼を途中で放棄した件は、これで許してやる。わかったら、さっさと帰るがいい」
 ミサヨと……特にカリリエを連れて来なくて良かったとサシュは思った。カリリエは間違いなく爆発していたに違いない。こちらは死にかけたのだ……欲しい情報は先日訪問した時に伝えてあるのだから、〝許してやる〟だけでは引き下がれない。
「〝カーバンクル・カーズ〟という病気、または〝白絹の衣〟についての情報が私の望みです。お聞かせ願えませんか?」
「ああ、そうだったな……」
 金持ちの老人は、テーブルの上を見た。そこには、発行が遅れていた週刊魔法パラダイスの最新号が乗っている。発行が遅れたのは、新聞社が天の塔の証言を確認していたためだった。
 国中がランク10の冒険者サシュカシュの帰還を噂で知っている。そこに〝暗殺者を返り討ち〟の記事が出て、週刊魔法パラダイスは飛ぶように売れているらしかった。
(サシュカシュには、利用価値がある……恩を売っておくのもいいだろう)
「……〝白絹の衣〟は、たった二着だけ製作された」
 ホノイゴモイが語り始めた情報は、他では知りえない貴重なものであった……。

 およそ百十年前……今は亡きタブナジア侯国が、まだ海洋貿易で繁栄していた頃。その国に、希代の天才裁縫職人がいた。彼が作り上げたのが、二着の白絹の衣だという。それは彼の娘のために作られた……娘の病名は、〝カーバンクル・カーズ〟……。
「それは、本当ですか!?」
 思わず叫ぶサシュ。
「信じる信じないは、おまえの勝手だ。続きを聞きたいか?」
「もちろんです」
 白絹の衣は常に着用し続けた状態で、三年三ヶ月の間効力を発揮した。三歳の時から着用した娘は……。
「六歳でこの世を去った……ボロボロの炭になってな。二着目は盗難にあい、三着目は製作が間に合わなかったからだ」
 淡々と話すホノイゴモイ。百年以上前の話だ……娘の死を嘆き悲しんだ職人はもうこの世にいない。そして……盗まれた一着の白絹の衣は、長い間行方不明のままだった。
「若い頃にタブナジアに渡ってその話を聞いたワシは、白絹の衣を探し回った。それは若い商人の魂を引きつけるのに十分な商品だった」
「あなたが、そこまで白絹の衣に関わっていたとは……」
 そうだ……と、ホノイゴモイは言った。だが、見つからなかった……とも。
「おまえの話を聞いて、ワシはある意味……ホッとしたのだ。白絹の衣はすでに使用されて商品価値は百分の一以下だろう……しかしずっと心に引っかかっていたことに決着がついたとも言える……」
 サシュはマリィのことをホノイゴモイに話していた。壁に掛かった絵画を見つめる老人の眼差しは、ずっと遠くを見ているようであった……。

 帰りぎわにホノイゴモイが木箱を見せた。中には、様々なアイテムが無造作に放り込まれていた。
「今の話は、盗まれた白絹の衣の行方という情報に対する礼だ。クルエルサイズの報酬は、ここから適当に持っていくがいい。……一般には商品価値のないものばかりだが、冒険者のおまえには役立つものがあるかもしれん」
 確かにガラクタばかり……そう思って一つ一つ確認していたサシュの目に止まる物があった。
「これをいただいても、構いませんか?」
 サシュは小さなサーメット製の札を三枚手にしていた。
「何だ、それは……?」
「市民にも……一般の冒険者にも必要ないものですが、他にめぼしい物もないようですので」
 サシュとホノイゴモイの目が合った。老人は、サシュが見せた物が何かを思い出したようだった。
「ふん、よく言うわ……確かに、〝それ〟が必要な冒険者などめったにおらんだろうが……。おまえは物好きだなサシュカシュ……それが必要な場所に行って……生きて帰れると思っているのか?」
「まだ行くと決めたわけではありませんが……興味だけでそんなところに行ってみるのも冒険者です」
 やれやれというジェスチャーを見せるホノイゴモイ。
「好きにするがいい……」
「ありがとうございます」

 ホノイゴモイ邸を後にしたサシュは、その収穫に満足していた。
 白絹の衣が他に存在しないことがわかった。
 百十年前に、奇病カーバンクル・カーズが発生していたこともわかった。
 モンブロー医師からもらった週刊魔法パラダイスの記事と、ホルトト遺跡で見つけた禁書……それらに載っていた百年に一度発生という記述に合致するのは、偶然だろうか……?
 そして……白絹の衣の有効期間が三年三ヶ月だということがわかった。
 確か、マリィが着用を始めたのが依頼を受けるちょうど三年前……あれから二ヶ月がたってしまっている。
 ……ということは、期限はあと一ヶ月しかない……!
 あと十ヶ月以内にメドをつけようと思っていた。その予定を大幅に変更しなければならない……。
 間に合うのか……?
 ……いや、間に合わせる。
 サシュは腰の小物入れに入れた三枚のサーメット製の札を確認した。同じ物が、サシュの背中のかばんの中にも一つ入っている。
 それは、〝ソ・ジヤ識別札〟と呼ばれるアイテムだった。

   *

「お疲れさまです。その様子だと、情報を聞き出せたみたいですわね?」
 モグハウスの前で、サシュの帰りをアンティーナが待っていた。
「ええ……話は、夕食時にでも皆がいる時にしますよ。そちらも何かわかったことが?」
 今朝、ミサヨ、カリリエと四人で会った時に決めていた。サシュはホノイゴモイ邸を訪ね、残りの三人はホルトト遺跡で見つけた禁書と羊皮紙を調べると。
「それもありますが……その件は、夕食時にでも。……実は、折り入って話があって待っていましたの」
「…………」
 サシュは少しとまどった。このアンティーナという若い女性は、何と言うか、突拍子もないところがある。突然、予想もしない行動に出ることがあって、良く言えば〝ミステリアス〟、悪く言えば〝天然〟……。
「部屋に入れていただけますか?」
「命の恩人ですから……当然です」
 そう言って、サシュはドアを開けた。いつも〝不遜〟と言っていい態度のアンティーナが、この時はなぜか殊勝な様子に見えた。
「それは違います。先に救っていただいたのは、私の方ですから……」
 この後の展開は、やはりサシュの予想をこえていた。

   *

「え?」
 思わずサシュは聞き返した。聞き間違いだと思った。モグハウスの中で、サシュは自分のベッドの端に座り、アンティーナはその正面でタルタル用の小さな腰掛け椅子に座っている。身体が大きいアンティーナなので、ヒザをかかえるような座り方になっていた。
 アンティーナが、もう一度繰り返した。
「私の主人になってください」
「……それは、プロポーズですか?」
 とりあえず質問をするサシュ。とんでもない……と、アンティーナが否定した。
「目の院で自分の幸せについて考えていました。何者にも縛られず、自由に生きる冒険者のサシュさんを見て、そういう生き方をしてみようかとも思いました」
 話が繋がらない……ので、サシュは黙って聞いていた。
「でも……幼少時からブレソール卿を崇拝し、絶対服従が当たり前の環境で育ったせいでしょうか……自分に心から正直になるならば、新たに信頼できる人を見つけ、そのお方のために生きることこそが私の幸せだと思えるのです」
 それは、例えば騎士が主君のために生きるのと同じなのだろうか……? 少し違う気がする……が、よくわからない……。いずれにしても……。
「サシュさんに感謝しています。私を従え、私に命令を下す主人になってください。お望みであれば、姉がベッケルに服従していたように、夜の……」
「待ってくれ」
 思わず大きな声を出したサシュ。
「…………」
 よく見ると、アンティーナはうつむいて顔を真っ赤にしていた。普段の尊大な態度の彼女からは想像できないが、少し震えている……決死の覚悟で話していたことがよくわかる……。それはそうだろう……自分の一生を預けると言っているのだ……。
 しばしの沈黙……。
「……私……俺を、信頼してくれる気持ちは、とても嬉しいです」
 サシュは、できるだけ落ち着いて正直な言葉で話すように努めた。
「でも……俺は、あなたの信頼に応えられない……。元々、独りが好きで利己的な性格というのもありますが……特に今は……」
「病気の少女や、呪いの指輪の件ですか? 私は主人の負担になるようなことは……」
 そうじゃない、と言うサシュの返事を聞いて……突然、アンティーナが核心に触れた。

「……好きな女性《ひと》がいるのですか?」

「そう……」
 ……かもしれない。自分の気持ちははっきりしていなかったが、あいまいな返事は失礼だと思った。
「そうですか……私は構いませんが……サシュさんは、そうはいかないでしょうね……」
 アンティーナは納得したように見えた。……が、そこで会話は終わらなかった。
「……それは、カリリエさんですか?」
「……いや……どうして?」
 アンティーナは、がっかりした。ホルトト遺跡でのカリリエの様子を見て、アンティーナはカリリエの気持ちに気づいていたからだ。
「いえ……。では……あの、墓地に眠るカサネネという方ですか?」
「………!!」
 ……サシュの表情と身体が固まった。その急変した様子に、アンティーナが驚いた。
「すみません……あの、以前、サシュさんを追っていた時に偶然……」
「……いや、いいんだ」
 サシュはうつむいて、ふぅと息を漏らした。ようやく肩の力が抜けたと思った。
「カサネネは……四年前に死んだ妻です。今でも、大切な人です」
「…………」
 アンティーナはそれ以上はこの件に触れず、部屋を去った。
 サシュは独りになった部屋で、自分の気持ちを整理していた。
(俺は……そう……今のままでいい……)
 様々な言い訳が頭の中を巡っている。今、サシュが考えているのは、アンティーナのことでも亡き妻のことでもなかった。
 どんなに好意的だと思っても、ヒューム女性がタルタル族の男に惚れた話など聞いたことがない……。他種族から見れば子供のような背丈と顔。彼女がつらい時に、抱きとめてあげることさえできないのだ……。
 意識から黒髪女性の姿を追い払うサシュ。
(今考えるべきなのは……マリィの命があと一ヶ月しかないということ……)
 気が付くと、約束した夕食の時間が迫っていた。

 ~(6)へ続く


コメント

こんばんわ(*゚▽゚)/
前作のホルトト遺跡の進行や、今回の作品の前半部分にかけて
とても読みやすく、スピード感のある書き方になっていますね(^_^)今までカーバンクルカーズを楽しみに読んでいる
ヘビーユーザーはもちろん、はじめて読んだ方でも
わかりやすく、入り込みやすい表現になっていたと思います。

そして・・・・長い旅路を経て、ついに出会えた核心に迫る情報ヽ(´▽`)/ここの部分に関しても、変に表現を難しくせず、
シンプルな書き方が、かえって重要な情報の内容を
読者の印象に強く残す効果的な役割になっていると感じました。

ホノイゴモイ氏が見せた遠くを見るような眼差しは
表面上はガンコな印象ではあるが、悲しみを分つことの出来る
やさしさを持つ者の顔だったに違いないと想像しました。
浅草の下町に居る、口うるさいけど憎みきれないオヤジって感じですかね(^^;)

アンティーナは
「自由に生きる」事より「従う」事が自分の人生において自然
かつ自分らしく生きることが出来る・・・・・・
今まである意味悲しみの中に生きてきた一人の人間が
自分なりに必死に這い上がろうと葛藤する
「信念」のようなものが感じられました。

新たな展開と目まぐるしく繰広げられる人間模様に
読者側として、良い意味で「忙しさ」を感じています(^_^)
まだまだこれからもカーバンクルカーズから目が離せません!
ま~~~~ったりと綴っていってくださいね。
でわでわ(((*'ー'*)ノ

◆ほわいとぉさん
こんばんはー( ̄▽ ̄)/
いつも褒め殺しのコメントをありがとうございます!
ホノイゴモイ氏の眼差し……眼差し……この表現の方がいいですねっ!
……こっそり、書き換えておきますw
完結を目指して、話を急いでいるつもりなんですが、その割になかなか進まないような、急ぎすぎで雑になっているような……うーむ……自分ではよくわからないんですけどね( ̄▽ ̄;
次の日曜も読んでやってください~。
そしてできればまたコメントをくださいっ( ̄▽ ̄〃

コメントの投稿


管理者にだけOK


管理者に連絡する(メールフォーム)
※コメントを投稿できない場合にご利用ください。管理者からの返信はできません。

HOME

駅メモ関連リンク
最新の記事
最近のコメント
駅メモ!便利ツール
駅メモ!個人サイト
ブログ内検索

カウンタ

  • 閲覧/訪問数 since 2005
    hits / visits

月別アーカイブ

プロフィール

  • Author:笹谷周平(ささやか)
  • 誤字、脱字、リンクミスにお気づきの場合は、コメント欄にてお知らせいただけると助かります。

カテゴリ
旧知リンク
商標/著作権等