珈琲は一日二杯まで

笹谷の気が向いたときに気が向いたことを書く場所です

ゲームのことを書いたり、絵を描いたり、漫画を描いたり、小説を書いたり、適当に何でもありな趣味のブログです。

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Cカーズ6-6

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2) (3) (4) (5)


 第六話 依頼と報酬 (6)

 ウィンダス水の区にあるレストラン〝音楽の森〟は、早い夕食をとる客でそこそこ混んでいた。約束の時間に遅れてしまったサシュが奥のテーブルにミサヨ達を見つけて近付くと、少し椅子を引いて手前に座っていたアンティーナが最初にサシュに気づいた。
「遅かったですわね」
「ごめん、ちょっと港区に寄って来たんだ」
 ミサヨとカリリエは、テーブルに広げたボスディン氷河の地図を指でなぞって何やら会話をしている。今朝、サシュが彼女たちに貸した本物の地図だ。ボスディン氷河は、ホルトト遺跡で見つけた羊皮紙に手描きの地図が描かれていた場所である。
「う~ん、魔法塔の前を二回も通ったっけ?」
「通ったよ~。カリリエはあの時、隊長ばっかり見てたから覚えてないんじゃ?」
 そんなことはないと、むくれるカリリエの顔が可愛かった。
「遅れてごめん、どうしたの?」
 ようやくサシュが来たことに気づく二人。バツが悪そうなカリリエに対し、ミサヨはニコニコと笑顔でサシュを迎えた。
「遅刻なんて珍しいね。サシュこそ、どうしたの?」
「後で話すよ。待っててくれてありがとう……先に料理を注文しちゃおう」
 四人がそれぞれ注文すると、接客したタルタル族のウェイターが戻って行った。料理長に注文を伝えた後、うらやましそうな視線をサシュに向ける。ヒューム美女三人とテーブルを共にする英雄サシュカシュは明らかに目立っているのだが、当人たちは気にしていないようである。
「カリリエと私が冒険を始めて二年目にね……まだ十四歳だったんだけど、その時のLS《リンクシェル》のメンバー達が、一度だけザルカバードに連れて行ってくれたことがあるんだ」
「十四歳で? ……冒険者レベルも低かったんじゃ?」
 ザルカバードは、ボスディン氷河のさらに奥にある秘境だ。雪と氷の世界にうろついているモンスターはいずれも強く、低レベル冒険者が近付ける場所ではない。
「まぁね……地図もなくてさ……すごい冒険だったよ。その時に通ったボスディン氷河のルートを確認してたんだ」
 サシュは、ミサヨとカリリエが若くして高レベル冒険者になった理由がわかった気がした。スパルタ方式の冒険者集団と関わることで、様々な経験を積んだのだろう。
 やがて料理が運ばれ、今日の本題に入った。

   *

「つまり……」
 サシュがフォークを手にしたまま、考えをまとめた。
「ベッケルの目的は……〝聖獣の力を手に入れること〟。その手始めが、〝カーバンクルの力〟って、ことか……」
 それが……ベッケルがホルトト遺跡に残した羊皮紙の束をカリリエが調べた結論だった。青い瞳の美女が頷く。
「ベッケルは、かなり前からカーバンクルについて調べていたみたいだから……その過程で手に入れたのが〝呪いの指輪〟なんじゃないかな」
「…………」
 この場にいる四人全員の指にはまっている〝呪いの指輪〟。その指輪には、カーバンクルの模様が刻まれている……。
「それから、禁書に書かれていた〝カーバンクル・カーズ〟のことなんだけど……」
 主に禁書の内容を調べたミサヨが話を引き継いだ。
「週刊魔法パラダイスの記事にあったように、〝病気〟として書かれてるね」
 百年に一度発生するという奇病〝カーバンクル・カーズ〟。禁書には、生まれてすぐに身体が炭化して死に至ると書かれているが、これは個人差があるようだ。サシュがホノイゴモイ氏から聞いた少女は六歳で全身が炭になり死んだ。白絹の衣がなければもっと早かっただろうが、少なくとも衣を着始める三歳までは生きていた。そしてマリィが白絹の衣を着たのは七歳の時……左腕と右脚を失っているとは言え、七歳までは衣がなくても生きている。書かれているように〝病気〟なのか、モンブロー医師が言ったように〝呪い〟なのかは、はっきりしないが……。
「そして最も重要だと思われる記述が、この病気と聖獣カーバンクルとの関係ね」
 食事を終えて布で口を拭いたミサヨが話を続けた。禁書にはこう書かれている。
〝……聖獣フェンリルが英雄カラハバルハに伝えた話によれば、母なるクリスタルが闇に包まれたその時、聖獣カーバンクルはその身を差し出して世界を救おうとした。闇はクリスタルから剥ぎ取られ霧散し、世界は救われた。消滅したと思われた聖獣カーバンクルは、その百年後に復活したという。奇病〝カーバンクル・カーズ〟は、その後百年毎に繰り返し発生していると言われている……〟
「どう思う?」
 ミサヨがサシュの意見を求めた。ウェイターが食器を下げるのを待って、サシュが口を開く。
「……わからないな……」
 テーブルがシンと静まり返った。話が大きすぎるし、何より情報が足りない……。サシュに話す前に三人で話しあったのだろう……全員が、これだけでは結論が出ないと言う顔をしている。

「……直接聞くしかないだろ」
 ……サシュだった。にやりと笑っている。
 アンティーナが怪訝な顔をした。
「直接って……誰にですの?」
 ミサヨとカリリエが、ハッとした表情でサシュを見た。
「そう……だよね、直接聞けばいいんだ」
「でも直接会うには、聖獣の力に関係するアイテムが必要なんじゃなかったっけ?」
 さすが若くても高レベル冒険者。方法を知っているんだ……とサシュが感心した。
「二人とも知っていたか……会ったことはある?」
 首を横に振る二人。
「昔のLSで話を聞いたことがあるだけ……サシュはあるの?」
 頷くサシュを見て、ミサヨとカリリエは驚きつつも納得した。サシュが先輩冒険者であることを改めて思い出す。
 アンティーナが面白くなさそうに繰り返した。
「直接会うって、誰にですの!?」
 三人がアンティーナの方を見て、同時に叫んだ。
「……霊獣カーバンクルに!!」

   *

 食後の飲み物が入っていた陶器製のカップが空になる頃には、サシュからのホノイゴモイ邸での話も終わった。店内が混んできて、そろそろ店を出た方が良さそうだ。
「明日の朝、ラテーヌ高原に向けて出発しよう」
 サシュの言葉に、三人が頷く。そこが、聖獣カーバンクルに会える場所だった。
 聖獣と会話をするには、その目的に応じた特定のアイテムが必要だと言われている。病気のことを尋ねるのに必要なアイテムが何かを知っている者などいないので、とりあえず行ってみることにしたのだ。現地で何らかの情報が得られるかもしれない。
 最後に、カップも片付けられて綺麗に拭かれたテーブルの中心に、サシュが腕を伸ばした。手の甲を上にして置いた握りこぶし。その指を少し開いて腕を引いた。
 ……テーブルの上に転がる、小さくて丸い玉が三つ。
「これは……?」
 美女三人が、かすかに薄紫色をした白いパールを見つめた。
「そろそろ必要だと思っていたんだ……今みたいに別れ際に次の待ち合わせを決めていると煩雑だし、緊急時に連絡が取れないだろ」
 サシュが港区に寄って来た理由がこれだった。新しいリンクシェルを購入して来たのだ。
 ミサヨが手を伸ばして一つのパールを取った。自分の指からダークグリーンのパールがついた指輪を抜き取ると、新たなパールに意識を集中する。
 すると、LS名が見えた。

 LS:Minibreak

 小旅行《ミニブレイク》……それが、サシュが名付けたLSの名前だった。
「ミサヨには黒き雷光団《ブラックライトニング》のLSがあるけど、掛け持ちでたまに付けてもら……」
 遠慮がちに言うサシュの言葉をミサヨが遮った。
「このリンクパール、サシュの分も合わせて今夜だけ私に預からせてくれない?」
 嬉しそうに言うミサヨに、サシュがとまどった。
「いいけど……どうして?」
「それは秘密です♪」
 即答するミサヨに対して、他の全員が不思議そうな顔をする。
 その時、レストランの扉が開いて、空席待ちの客が追加された。慌ててレストランを出て、そのまま別れる四人。時間がなかったので、サシュは作りすぎたパールを詰めた袋ごとミサヨに渡した。
 モグハウスへの帰り道を歩くサシュ。空はすでに暗く、森の木々を揺らす冷たい風が吹き抜けていた。
 まだ答えは見えない……。
 早い日没が、すぐそこに迫った冬の訪れを告げていた。

 ~第六話完、第七話へ続く


コメント

こんばんわ(^ー^)ノ
今回の作品は、心の奥底からジワジワと湧き上ってくる
わくわく感がありますね(*'ー'*)
前半部分から中盤部分にかけての「禁書」のくだりなどは
さながらミステリー映画の謎解きシーンを見ているような
爽快感とドキドキ感が入り混じったような
感情をおぼえました(=^ー゚)

禁書に「カーバンクルカーズは病気」と書かれている事実。
聖獣フェンリルから英雄に語られた
「カーバンクル」と「奇病カーバンクルカーズ」との関係。
その二つの事実を受けてサシュが口にした「わからない。」
という言葉は何より正直な気持ちだったでしょうね(^^;

サシュが新しいリンクパールを
ミサヨ、カリリエ、アンティーナの三人に渡す時のシーンは、
渡し方(手の描写)が細かく描かれている事により
その手のひらから出てきたパールを
強く強調する役割になっていたと思います(^ー^)うまいですね。
そして、わりと一人で居ることを好むサシュが
「パール」という繋がりを、躊躇無くみんなに求めた事で
「真に信頼しうる者」とサシュ自身認めているように感じました。

モグハウスに向かう帰り道に吹き入る「風」が
これから Minibreak が遭遇するであろう
さまざまな出来事を予兆しているようにも思えました(゚〇゚;)


謎がより深まった事にうれしさ90%!!ヽ(‘ ∇‘ )ノ
でも、まだまだまだまだ続きそうな話の展開に
「サシュさん(^^;思惑がw」という思いが10%
スパンッ!!っと終わらせるわけにいかないのが
小説の醍醐味であり苦労なんだな~と思い知りました('〇';)
まった~~~~~りガンバ!!でわでわ(*'ー'*)ノ

PS

ブログ開設しました。(*゚▽゚)
小説は、構想が膨らみすぎてまとめ切れず
まだ連載はしていないのですが(^^;;
日常記事をささやかに載せていますので、見に来て頂けると
すっごくうれしいです(*^^*)

ホンマ先が見えない・・・

◆ほわいとぉさん
こんばんは( ̄▽ ̄)/
今回もコメントをありがとうございます!
ネタバレになってしまうので詳しいレスはできませんが、いつも良いトコロを見つけてくださって、ありがとうございます^^

エンディングに向けた進行は、一応思惑通りなのでご安心ください♪
私の頭の中にある予定では、あと4話くらいで終了の予定です。

ブログの方にご挨拶させていただきました!
小説のスタートを楽しみにしています( ̄▽ ̄〃


◆さとぽん
短くてもコメントがあるととても嬉しい、ありがとう♪
一応、新しいメインキャラが登場するのはアンティーナまでで、あとは今回の第6話を含めてエンディングに向けて駆け抜けているつもり。

新キャラ登場や新展開というお手軽な引きこみを使うわけにはいかない終盤。
この終盤を面白いと思ってもらえるように描けるかどうか……真の実力が試されるわけで……ちょっと気が重いけどw
今まで同様、自分が楽しむために書いていくだけさ~( ̄▽ ̄〃

ふぅ、4話いっき読み終了w
長いこと顔見せずにすいません。
だいぶんリアル関係が落ち着いて、睡眠時間+余裕もできたので参上仕りました。

「・・・直接聞くしかないだろう」

このセリフからの流れが良かった。
躍動するオーケストラが心ん中で鳴ってましたよw
いよいよクライマックスに差し掛かって折り返し地点に来たんだなって、リアルに読者に感じさせてて、今日読んだ4話中で1番気に入ったシーンでした。

しかしアレだ・・・ハーレム状態だw
サシュさんのドラクエⅢのデータ予想できるな・・・
勇者(サシュ)、女戦士、、女武道家、女賢者でFAだなwww

さてと、オレも小説頑張って書かなきゃな;;

キャパシティ低いんで執筆スピード遅いんだわ、これまた(゜▽゜;)

◆ひーさん
読み&コメントありがとうございます^^
気にいってもらえるシーンがあって良かった♪
今まで、謎に対するヒントをほとんど出して来なかったので、ここに来て文字数をさかざるを得ない感じになってます。
説明的な文章をだらだらと書くのも嫌だし、かといって、ただの説明をつまらない会話にして冗長するのも嫌だし……というのがあって、なかなか謎解きを進めて来られなかった……。
カリリエが呪いの指輪をはめた話も、結局まだ書けてないしなぁ。

ハーレム……男の友情物語とか書けませんからw
ドラクエとかFFはFFXI以外にやったことがないのでよくわかりませんw
最近のゲームだと男女の平均的な体力差とかが無視されるから、女性キャラを使っても男と同様に使えるからいいよねぇ。
でもそれって、普通に考えれば仲間に男を選ぶ利点が1つ減るわけなので、女性キャラを選ぶのは当然と言えよう!
と、巧みに話をそらしてと。
小説の続き、期待してます( ̄▽ ̄)/

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