ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
→遭遇リスト

駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ7-2

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第七話 月虹の契約 (1)


 第七話 月虹の契約 (2)

 それは、突然やってきた。
 遠くで雷が鳴る音が聞こえたかと思うと、大粒の雨が降り出し。ラテーヌ高原はドシャ降りの大雨に見舞われた。
 空はあっという間に分厚い黒雲で覆われ、昼間とは思えない暗さだ。やがて網膜を焼くような強烈な光のスジが視界の隅に映ったかと思うと、落雷の轟音が鼓膜をつんざいた。急激な天気の変化は、この高原の特徴である。サシュ達が急いで昼食を終わらせた時……。
 それは、突然やってきたのだった。

「……何か……感じない?」
 カリリエが腰の剣に手をかけてそうつぶやいた。この時、アンティーナだけがすでに両手棍を構え臨戦体勢に入っていた。
「南南東から来ますわ」
 ほぼ同時に、サシュとミサヨも気づいた。間欠的に訪れる落雷の振動とは全く別の……徐々に大きくなる地響き。南方向の視界を遮っている小高い岩山の向こうから、巨大な何かが近付いてくる……。
「よりによってこんな時に出くわすなんて……」
 サシュのセリフは、地響きの正体を知っていることを意味しており、仲間の不安な意識を自分に向ける効果を発する。次に出す指示を正確に聞いてもらうためだ。
 すぐに、まっすぐに立っていることさえ困難なほどに地面の揺れが大きくなり……。
 ついに、岩山の陰からソレが姿を現した。
 岩山とほぼ変わらないくらい巨大で……やや黄ばんだ白色の毛におおわれた雄羊族のNM《ノートリアスモンスター》……。
 その頭部から生えた二本の角は、まるで飛空艇で闘ったシェンを頭に二匹乗せているかのようだ。NMの口から噴き出す白く荒い息が、サシュ達を見つけた興奮を示していた。
「……ランドルフだ……逃げろ!!」
 叫ぶサシュ。こちらには、高レベルのカリリエとアンティーナがいる。それでも、到底たちうちできはしない……。
 〝血涙のランドルフ〟と呼称されるラテーヌ高原のヌシと闘うのであれば、一国の軍隊でも連れて来なければ話にならないのだ。ヤツは見つけた者を容赦なくなぶり殺す……逃げるしかない。
 雷雨の中を散り散りに走る四人。……無我霧中で走るしかなかった。
 誰もが感じずにはいられない恐ろしい予感……。

 ……おそらく……誰かが死ぬ。

 サシュが振り返ると、ランドルフがミサヨを追いかけているのが見えた。その先には、確か……。
「くそ……」
 踵《きびす》を返し、ミサヨの方に向かって走るサシュ。ミサヨの前方には、深い谷が口を開けて待っているはずだ。落ちれば絶対に助からない!
 ミサヨに追いつこうとするサシュだったが、なかなか思うようにいかなかった。豪雨のせいで、地面を流れる雨水が足を滑らせる。ランドルフの巨体が地面を揺すり、両脚がもつれる。
 テルをするほどの余裕がなかったサシュは、パールに向かって叫んだ。

 サシュ: ミサヨ、そっちは崖だ!

 ミサヨがLS・ミニブレイクのチョーカーをつけているかどうかはわからない。黒き雷光団の方のパールをつけていれば、声は届かないのだ。
 頼む……気づいてくれ!!
 サシュの心の叫びに応えるように、ミサヨの思念がチョーカーから響いた。

 ミサヨ: わかってる……

 その返事に、ほっとするサシュ。
 ……だが、ミサヨが方向を変える様子はない。

 ミサヨ: レベル1に制限された私が、あなたを……
 ミサヨ: みんなを救う方法は、これしかないから……

 一瞬、ミサヨが何を言っているのかわからなかった。
 サシュは知らなかった。ランドルフが最初に追いかけたのは、サシュだったのだ。それに気づいたミサヨが間に割って入って、巨大なNMを自分の方に引きつけた。
 ……ミサヨは、ランドルフと心中するつもりだった。
 この短時間に、そこまでの決心をしたのだ。
 ……大切なタルタルと……その仲間を救うために……。

 サシュ: バカヤロウ……!!

 ミサヨの方に向かって必死に駆けるサシュ。カリリエとアンティーナもLS会話で何か叫んでいたが、サシュの意識には届かなかった。二人の位置は、サシュよりもずっとミサヨから遠い。
 ミサヨの走る先……サシュの走る先……その交点に、地面の終わりが見えた。垂直……いやオーバーハング気味でさえある崖の底は、かすんで見えるくらい遥か下にある。いくらNMでも、そこから落ちれば助からないだろう……。
 今にも崩れそうな崖の上にたどり着いたミサヨが、くるりと身体の向きを変えた。興奮したランドルフが荒い息を吐きながら、一直線に追ってきている。地面は波打つように揺れ、今にも崖から足を滑らせそうなミサヨ。
 ミサヨが何かの魔法の詠唱を始めた。レベル1の黒魔道士が使用できる魔法はたった一つしかない。
 〝ストーン〟と呼ばれるその精霊魔法により、数個の石つぶてがランドルフの鼻先に当たった。もちろん、ダメージなど与えることはできない。
 ただ小山のような身体を揺すったNMは最高の興奮状態になり、獲物に追いつくために一気に全速力で駆けだした!
 ……ミサヨの狙い通りに。
 ミサヨしか見えていないランドルフ。必死に走り続けるサシュ……息が切れて、魔法を唱えることさえできそうもない。
 そのNMがまさにミサヨに達しようとした時、ミサヨが軽く後ろに跳ねた。
 ……その足元に地面はない。
「ミサヨ……っ!!」
 サシュのノドからは、かすれた声しか出なかった。
 ランドルフは目標が突然消えたことを認識する間もなく、慣性の法則に従って崖から空中へ飛び出していった……。

   *

 暗い雲の下、雨が降り続けているラテーヌ高原。カーバンクルに会える場所は、すぐそこのはずだった。
 高原のヌシである巨大な雄羊と遭遇したのは、運が悪かったとしか言いようがない。
 ……そう思っていた。
 うっすらと目を開けたミサヨの視線の先に、青く鈍い光が見える。目の焦点を合わせると、それが自分の左手にはまった〝呪いの指輪〟であることがわかった。指輪が不安定に揺れる青い光を発している。その光る指輪が、NMを引きつけたのだ……なぜかそう直感した。
 自分は助かったのだろうか?
 意識がはっきりしてくると、足が地面についていないことに気づいた。目の前には、岩の壁。はるか下の方では、白い霧が渦巻いている……。
 そこは飛び降りた崖の途中だった。
 右手首が痛い……。
「こっちの手首を握ってくれ……もう握力が限界だ」
 聞きなれたタルタルの声。見上げると、サシュがミサヨの右手首をつかんでいた。もう一方の手は、崖から張りだした古い樹の根を握っている。
サシュの頭上に崖の端が見えた……たいして落ちてはいなかったのだ。
 ミサヨは慌ててサシュの右手首をつかんだ。そして気づく……雨ですべる手首を握るには想像以上の力が必要だということに。サシュの苦しそうな表情に息を呑んだ。
 ミサヨと自分の体重を左手一本で支えていたサシュは、すでに限界だった。
「なんて無茶をするのよ……。サシュ一人ならとっくに助かって……」
「ごめん……せっかく飛び込んだのに……ここまでみたいだ」
 一度は死を覚悟したミサヨが、サシュの手を振りほどこうとする……。
 その前に、サシュが樹の根を離した……!
 二人で落下する……タルタル族の力の限界だった。
 わかっていたことだ。これが屈強なエルヴァーン族なら、片手でミサヨを抱き上げ、崖の上に持ち上げることもできたろう……。そんな悔しさを感じているサシュ。
 だがミサヨは……一人で崖を飛び降りた時よりもずっと安らかな気持ちで、再び死を覚悟し、一瞬目を閉じた――。

「あきらめるな!」
 その声に再びミサヨが目を開けると、目の前で同時に落下しているサシュは、信じられない行動をしていた。落下しながら、魔法の詠唱を始めたのだ!
 その短い詠唱は……〝デジョンII〟。
 レベル15に制限されているはずのサシュが唱えても、けして発動しないはずの黒魔法。レベル40で覚える移動魔法だ。パーティメンバーの一人を、あらかじめ設定されたホームポイントに一瞬で移動させることができる。多人数を移動できる白魔法〝テレポ〟では、詠唱時間が長すぎて間に合わないだろう。だから、デジョンII……移動できるのは、一人だけ……。
 そしてミサヨは気づいた。サシュの左手中指が失われていることに。そこから真っ赤な血が噴き出している。
 詠唱中の右手には、ポイズンダガーが握られていた。かつてアンティーナが、サシュの命を奪おうとしたダガーである。
 サシュは……自分で自分の中指を……〝呪いの指輪〟ごと切り落としたのだ!

 やがてデジョンIIが発動し、ミサヨの身体が異空間の闇に包まれ始める。
 泣き叫ぶミサヨ。必死に手を伸ばしても、サシュには届かない。
 最後にミサヨが見たのは……満足気なサシュの笑顔だった。
 デジョン中のミサヨからは、声も……テルさえも、サシュに届くことはなかった……。

 ~(3)へ続く


コメント

こんばんわ(^-^)
いよいよ小説も架橋に差し掛かり、物語の展開に
「一文一文が見逃せない物になってきている。」と
内心ワクワクしならが拝見させていただいていますy(^ー^)y

ミサヨがとった行動、そしてとっさに決心を決めることが出来た背景はには
「仲間への思い」が、非常に色濃く感じられました。
今まで共に感じ、分かち合ってきた仲間だからこそ出来た行動なのでしょうね。

「同じ目的を果たす」という、一件ごくごく単純なつながりでしかなかった四人が

「目的なんかなくてもみんなと一緒に・・・・・」という、

みんなが居ることが当たり前。

みんなが居ないことがむしろ不自然。

という気持ちへと変化した「証」を見せ付けられた気がしました。



サシュと共に谷底へと落下していく瞬間のミサヨのサシュへの気持ちは

[一人で崖を飛び降りた時よりも、ずっと安らかな気持ちで再び死を覚悟した]

この一文に尽きますね(*^.^*)

直接サシュに伝えられなかった思いを抱えたまま
一人身を投じた時に比べれば、むしろこうなることが望み?(^^;
だったのかもしれませんねσ(^_^;)

Sashさんの文章表現には、毎回毎回勉強させられます。


そして・・・・・・
サシュが指輪を自らの指と共に切り落とし、
「ミサヨだけでも・・・・・・」と、唱えたデジョンII・・・・・
これはあくまで推測の域を出ないのですが
これが、ミサヨの気持ちへの答え?なのかな?って感じがしました。
ミサヨが異空間へと飛ばされる瞬間泣き叫んだ声は
とても切なく、悲しみと絶望の底へと落とされる時の叫びだったのでしょうね。

そして、サシュの最後に見せた笑顔・・・・・・・・・

想像するだけでミサヨの、とても耐えがたい悲しみが伝わってきます・・・・


前回、そして今回の一連の流れが怒涛のラストを予感させ
一気に読みつくしたい気持ちを抑えつつ、次回の連載を楽しみにしています(*^.^*)
まぁ~~たぁ~~~~~~~~~っりと頑張ってくださいねv( ̄ー ̄)v

こらーーーー!ヽ(`Д´)ノ
こんな終わり方したら、次がとてもとても気になるじゃないですか!!!

魔法の指輪を外す方法は、指を切り落とすしかないのかなー
と、思っていましたが、まさかあんな場面でそれをやるとは・・・
それにあのポイズンダガーがここで登場するとは・・・

うーん、次回のアップが待ち遠しいですw

ううっw
( TДT)わーんw
血がw血がw血がw

(´;ω;`)
生々しい描写だし…
なんだか泣けるお話的なw悲しい感じ(´;ω;`)

◆アポロディオさん
こんにちは、いつもコメントをありがとうございます。
アポロディオさんが書かれている二人の
「伝えられなかった思いを抱えたまま」
を、具体的に文章にするかどうか迷って、結局書かなかったのですが。
そこを読み取ってもらえて嬉しいです。
一気に書くことはできませんが、また読みにきていただけるとありがたいです。

◆Leppardさん
コメントをありがとうございます^^
次を気にしてもらえるのは、とてもとてもありがたいです。
指を切り落とすのはこんな場面でなければサシュもしなかったと思います。
誰かのために死を覚悟した時、何でもできる……そんな感覚をストレートに書いてみたかったのかも。

◆さとぽん
全部末尾に「w」がついていると、喜んでいるように見えるw
いつもコメント、ありがとうね。

◆たるなさん
私にもっと文章力があれば、ずっと綺麗に情緒豊かに描けたかも……と思う( ̄▽ ̄;
そのへんが、いつも読者さんの想像力に頼っている部分なので……思ったままに想像で補ってもらえると助かりますw
コメント、ありがとう!

ちょっと狂ったような笑いをイメージした



おまけ付けとこw

(´_ゝ`)

◆さとぽん

……ぐはw

素直に応援してくれないと、続きが書きにくいじゃないかww

おお、ブラッドティアー・ランドルフだwww
オレも同じモンスター扱ってるけど、また別の迫力があって勉強になったというか、面白く読ませて頂きましたw

しかし、D2って小説だとロマンチックな魔法だよね。
オレもチョット違うけど、同じようなこと書く予定だった・・・。
こりゃあ、練り直しだwww

引き続いて(3)に行きまーすw

ひーさんの小説では、ジャグナーで出てきたよね。
いろいろかぶるな~と思いつつ、開き直って出しましたw
D2がロマンチック……そうですよね。
嫌がる相手にはヒドイ魔法にもなりうるし、面白い魔法だと思いますw
いつもコメント、ありがとです!

コメントの投稿


管理者にだけOK


管理者に連絡する(メールフォーム)
※コメントを投稿できない場合にご利用ください。管理者からの返信はできません。

HOME

駅メモ関連リンク
最新の記事
最近のコメント
駅メモ!便利ツール
駅メモ!個人サイト
ブログ内検索

カウンタ

  • 閲覧/訪問数 since 2005
    hits / visits

月別アーカイブ

プロフィール

  • Author:笹谷周平(ささやか)
  • 誤字、脱字、リンクミスにお気づきの場合は、コメント欄にてお知らせいただけると助かります。

カテゴリ
旧知リンク
商標/著作権等