ささやかに駅メモ!

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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ7-3

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第七話 月虹の契約 (1) (2)


 第七話 月虹の契約 (3)

 デジョンの魔法は被詠唱者(魔法を唱えられた者)を座標基準に発動した後、その基準を出現位置(ホームポイント)に移す。これは物体を安定して空間移動する上で極めて重要で、うまくできた仕組みである。
 この仕組みがなければ、デジョンで消えた者はいきなり宇宙空間に放り出されるかもしれない。消えてから出現するまでの間に、惑星は公転しているし宇宙は膨張しているからだ。
 このデジョンの仕組みを理解していなくても、冒険者たちは経験的に知っている。消える最中に被詠唱者が歩けば、異空間の入口もそれに合わせて移動することを。たとえ走っても、デジョンから逃れることはできない。そして出現する時には止まっているのである。
 逆に止まった状態で消えて、出現場所が高速で飛んでいる飛空艇の上だとしても、いきなり飛空艇が通り過ぎて空中に放り出されるようなことにはならない。あたかも始めから飛空艇に乗っていたかのように安定して甲板に出現できるのである。
 これらの現象は、被詠唱者から出現位置に座標基準を移すデジョンの仕組みによる……。

 だからミサヨは、サシュと一緒に落下しながら徐々に異空間に消えた。
 そして、ホームポイントに出現した途端、いきなり地面に叩きつけられるようなこともなかった。
 ……ただ、そっと……。
 そこに姿を現したミサヨは……。

 〝呪いの指輪〟によるレベル制限を受けてデジョンを使えなくなってから。ミサヨのホームポイントは、サンドリア王国の居住区出口に設定されたままだった。そこは、街で生活する人々が大勢通り過ぎる賑やかな場所。
 長身で派手なペアルックのエルヴァーン族の男女がつまづきそうになり。笑い声を止めて慌てて避けたのは、石畳にうずくまったままの娘。
 こんな場所で迷惑だという冷めた視線を向けられたことにさえ気づかない娘。
 ……それがミサヨだった。

 ついさっきまでの……雷雨の中で命をかけた時間が、まるで別世界のように。昼下がりの平和な街は、爽やかな秋の陽射しに包まれている。
 その場所で、ミサヨは下を向いてうずくまったままだった。閉じた両目からは大粒の涙が流れ続け、嗚咽《おえつ》がもれている。
 心の中では、まだ雷雨が吹き荒れていた。
「……サシュ……サシュ……」
 命を懸けて守りたかった人。その人が……私を助けるために、指を切り……命まで捨てた……。
 迫ってきたランドルフを谷底に引き込むために後ろに跳んだその時には、もうわかっていた……。
 ただ好きになった相手というだけじゃない……。
 いつの間にか……。
 けっして……。
 失いたくない人になっていた……。

 心が落ち着きそうになると再びサシュの顔が浮かび、また涙が出た。
 シェンを前に何もできなかった私に、〝あとは、任せろ〟と言ってくれた人。
 エルヴァーンの誘拐犯につかまった私に、生き残るためのサイレントオイルを投げてくれた人。
 真っ暗な部屋の中で、こっそり泣いていた人。
 最後に……私にだけデジョンIIを唱えて、笑顔を見せた人……。

 激しく乱れた心を自分でもどうしようもない。目が熱くて涙が止まらない……。

   *

 ふと何かに気づいて、ミサヨは顔を上げた。
 目の前に立っているのは、通りがかりの一般市民ではなかった。
 雑踏の中で、ミサヨを暖かく見つめる四人の冒険者……。
「珍しく泣いてるん? しっかりしぃや、リーダー!」
「その……あ……えと、泣かないでくれヨ、何があったンだ?」
「ジーク、アンタが泣きそうな顔してどうすんの?」
 聞きなれた声。
 にやりと笑っているのは、ミスラ族の女、ラカ。心配げな顔をしているヒューム族の男は、ジークヴァルト。いつもクールな女は、タルタル族のカロココ。そしてガルカ族の男、ザヤグ……は、魔法を詠唱している。
 一緒に数々の冒険を重ねてきた旧知の仲間。もう、ずいぶん長い間、声を聞いていなかった気がする……。
 四人は皆、ダークグリーンのパールをつけていた。それは、ミサヨがリーダーを務める黒き雷光団《ブラックライトニング》メンバーの証だ。
 一瞬、状況が理解できないミサヨ。
「どうして、ここに……」
「……跳ぶぞ……」
 長い長い詠唱を終えたガルカの低い声が、ミサヨの声を遮った。ミサヨと四人の冒険者の身体が、ゆっくりと白い光に包まれる。
「ミサヨの居場所が、ラテーヌ高原から急に南サンドリアに移動したからサ。たぶん、ホームポイントにしていたココにデジョンしたと思ったんだヨ」
 若い戦士のジークヴァルトがタネを明かした。リンクパールをつけていれば、メンバーのおおよその居場所がわかるのだ。ミサヨはダークグリーンのパールの指輪を今は外している。だが一時間ほど前には付けていて、ラテーヌ高原でチョコボに乗りながらLS会話をしていたのを思い出した。たった一時間以内にサンドリア王国に戻る手段があるとすれば、デジョンしかない。
 そうだ……LS会話で相談していた。じゃあ、このテレポの行き先は……。
 白魔法テレポ。高レベル白魔道士のザヤグが唱えたテレポは、ミサヨを含めた五人を雷雨のラテーヌ高原に運んだ。正確には、ラテーヌ高原にそびえる巨大な白い塔〝ホラの岩〟の元に。
 ミサヨは何から説明していいのかわからないまま、ただその身が震えるのを感じた。たった数十分前に起こった現実が、再び実感として全身を包んだのだ。

 カリリエ: ミサヨ! 戻ったんだね!
 カリリエ: どうなったの?
 カリリエ: どうして急に、ミサヨだけサンドリアに?

 カリリエからのテルだった。テルでも、相手のおおよその場所がわかる。カリリエはミサヨにテルを送っていたのだが、サンドリアではミサヨが気づいていなかったのだ。
 この時、ミサヨはようやく自分がLS・ミニブレイクのパールが付いたチョーカーを失くしていることに気づいた。崖から落ちた時に外れてしまったのだろう。LS会話ができなくて、カリリエはテルをしてくれていたのだ。

 ミサヨ: ごめん、カリリエ
 ミサヨ: あのね……

 ミサヨが言葉を探しているうちに、カリリエが話を続けた。

 カリリエ: 良かったミサヨ、無事だったんだね
 カリリエ: パールの反応がなかったから、心配したよ 

 パールのはまったチョーカーは、持ち主であるミサヨの手を離れたまま谷底だろう。

 カリリエ: サシュは、パールの反応はあるのに返事がないしさ
 ミサヨ: …………

 カリリエの言葉に違和感を感じるミサヨ。
 パールの反応があるのは、サシュがパールをつけたままだから。でも死んだのなら、死んだこともパールを通じて感じられるはず。
 それなのに返事がないことを不思議がっているのは……。

 ミサヨの頭の奥で、何かがはじけた。

 まだ……生きているんだ……。
 理由はわからないが、そんなことはどうでもいい。ミサヨは、サシュが右手に握っていたポイズンダガーのことを思い出した。以前、アンティーナが塗った柄の部分の特殊な毒は、完全に取り除いたと言っていた。でもサシュは、指を切り落とした時にポイズンダガーの刃から毒を受けているはずだ。今この時も、毒は徐々にサシュの身体を蝕《むしば》んでいる……。
「急いで、サシュを捜さなくちゃ……!」
 慌てて黒き雷光団とミニブレイクの仲間に事情を説明しながら、過去の冒険の記憶をたどる。谷底に降りていける場所が、どこかにあったはず……。
 崖にサシュとぶら下がっていた時、谷底に白い霧が渦巻いていたことも思い出した。谷底の視界はほとんどゼロだろう。状況は絶望的かも知れない。
 それでも……。
 ミサヨの瞳に光が戻った。
 必ず見つける……絶対にあきらめないから。
 七人の冒険者によるサシュの捜索が始まった。雷は遠ざかっていったようだが、大雨が止む様子はまだなかった……。

 ~(4)へ続く


コメント

もうびっくりした~(/_;)
なくてはならない人・・・もう泣いたわ
よかったよ~(^_^;)

エルヴァーンのカップルからのカメラワークがメッチャ良かったです。
素晴らし過ぎましたw

ただ、デジョンの語りがサシュさんの文体にしては説明多い感じを覚えましたね。
別に問題は無いんだけど、読み手ししては、ちょっとサシュさんぽくないなって思いました。

◆さとぽん
いつも感想、ありがと~!
ほめてもらえると、素直に嬉しい( ̄▽ ̄〃

◆ひーさん
エルヴァーンカップルが出てきたのは、書いている最中に思いついて……なんですよ。
褒められて良かったw
デジョンのところはくどすぎましたかね~。
後で、修正してみます。
アドバイスありがとうございます♪

※追記
修正しようと、文章とにらめっこしてましたが、どう直したものか思いつかず……そのうち、思いついたら直したいと思います( ̄▽ ̄;

こんばんわ(^-^)
先日はブログへの書き込みありがとうございましたy(^ー^)y

物語の架橋ともいえる前回の作品
そして、私が小説を見るうえで最も重要視する
大きな出来事があった後の「余韻」とでもいうべき今回の作品
じっくり堪能させていただきました。

ミサヨがデジョンIIによって飛ばされたサンドリア
雑踏がひしめきあい、「平穏」の象徴とも言うべき場所に飛ばされ
そこでの情景とミサヨの心の中の悲し感情とがギャップを生み
「大切な人」を失った悲しみを、とても色濃く、そして強く、深く、印象付けていると感じました。

そんな、悲しみの淵に立ち尽くすミサヨに手を差し伸べた
「掛け替えの無い仲間」ブラックライトニング・・・・・・
この戦友の登場に「希望は絶たれていない。」と言う予感を
反射的に感じさせてくれる描写に、ドキドキが止まりませんでした。

最後に、今回の作品の全体を通して
ミサヨがサシュに対する気持ちを再認識し
そして、より強いものになったのでわないかと感じました。

サブストーリー的な感じで、こちらも今後の展開が気になるところです(*´∇`*)

まっっっった~~~~り!っと連載頑張ってくださいねヽ(´▽`)

◆アポロディオさん
こんにちは( ̄▽ ̄)
皆さんのブログを見て回ってもコメントを書く余裕がなかったり、見る余裕さえないことが多くて申し訳ないです。

いつもそうなんですが、今回は特に私の狙いが的確に指摘されまくっていてドキドキします。
うまく表現できていたのならいいのですが、単に狙いを見透かされただけかも……と、してもしょうがない心配をしてしまったりw

今回の話は、珍しく1日早く土曜日に書きました。
話をじっくり煮詰めたわけじゃなく、流れにまかせて書いた感じです。
そんな中、情景と心中のギャップや仲間の登場シーンは、文を書きながら思いつきで出たアイデアをその場で文にしたにすぎません。
それでも、今回の話で読者に伝えたい2大要素だと自分で思っていたので、期待通りに感想を書いてもらえてドキドキしました。

恋愛感情の部分は自分で書いていて照れるので、あまり触れたくありませんが、それなりに決着をつけるつもりではいますw

また読みにきてくださいませ~( ̄▽ ̄)/

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