ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ7-5

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第七話 月虹の契約 (1) (2) (3) (4)


 第七話 月虹の契約 (5)

「ほら、さっさと出なさいよ」
 タルタル女のカロココが、若いヒューム男の背中を押した。
「ジークから言うって、みんなで決めたんだから」
「……わァってるヨ!」
 ジークヴァルトがラカの横まで進み出ると、居心地が悪そうにそわそわしながら、サシュをちらりと見た。それから口をもごもごさせている。
 彼が初対面でサシュのことを〝好きじゃねェッ!!〟と言い放ったのは、二ヶ月前のことだ。
「その……俺たち、アンタのLSに…………入ってやっても、いいゼ?」
「ぷっ」
 吹き出したのはカリリエだった。サシュとミサヨが戻る前に話を聞いていたのだろう、おかしくてたまらないといった様子で笑いをこらえている。それに気づいたジークヴァルトは、顔が真っ赤だ。
「ああ……えっと、そうじゃなくて……」
 自分ではどうしようもないくらい、あがってしまったらしい。サシュは彼が気の毒になった。おそらく、カリリエとは今日出会ったばかりだろう。この絶世の美女である歌姫に笑われたら、若い男なら誰でも恥ずかしくて穴があったら入りたいという気持ちに違いない。
 ちょっと待ってくれと言うと、ジークヴァルトは心を落ち着けようと努力した。その努力はそれなりに実を結んだようだ。一度ちらりとカリリエを見てから、多少どもりながらも、言葉をつむぎ出した。
「俺たち……ずっと……と言っても、三日に一度くらいだけど、サンドリア王国でマルガレーテの様子を見守ってきたンだ。それで最近、急に……〝白絹の衣〟が色あせてきた。あの輝くような白い光沢を失ってきてるンだ!」
 サシュの顔に緊張が走った。
 外れて欲しかった予想が当たっていたのだ。ホノイゴモイ氏の情報を元に逆算すれば……白絹の衣のリジェネ効果は、あと一ヶ月以内に……切れる……。
「俺たちも今では、マリィやリタさんと親しい間柄だ……だから余計に……いても立ってもいられなくなった……マリィを死から救うためにできることは、何でもしたいンだ!」
 だから一緒に行動し協力したい、とジークヴァルトが言った。そのために、黒き雷光団を一時的にミニブレイクのメンバーにしてほしいとも。
 サシュが返事をする前に、ラカが付け足した。
「それだけちゃうねんで。ウチら、飛空艇の事件以来、ますますアンタに興味持ってるん。サシュはんと一緒に……冒険してみたいんや♪」
 今度は、ラカも少々照れ気味だった。カロココは腕組みをしたまま何度も頷いていて、ガルカのザヤグはにやりとしている。
 サシュはミサヨを見た。黒き雷光団の若きリーダーは、まじめな顔でサシュを見つめていた。
「みんなで相談して決めたことよ。ミニブレイクはただの通信手段としてのLS《リンクシェル》だったけど……これからは機能的に活動する必要があると思う。リーダーであるサシュの指示に従うことを約束するわ。指示が気に入らなければ、全員で脱退するだけのこと」
 いい顔をしている……と、サシュは思った。霧の中でサシュを見つけて抱きついてきた時とはまるで別の……メンバーの責任を負っているリーダーの顔だ。
「……わかった。全員、引き受ける」
 サシュも覚悟を決めた。新メンバーは皆、信頼できる心技体の持ち主ばかりだ。そして、次の行き先にたどり着くのに、戦力の増強はありがたい。
「快諾に感謝します」
 ミサヨが丁寧な口調のまま、いつもの顔に戻ってにっこりと微笑んだ。カリリエとアンティーナに視線を移すサシュ。
「勝手に決めて、ごめん」
「ザヤグと一緒に冒険することになるとは思っていなかったわ。……でも、文句はないよ」
 サシュの知らない間に親子の再会を済ませていたカリリエが、やさしく言った。アンティーナは右手を自分の胸に当てると、いきなり頭を下げた。
「あなたは、私が見込んだお方です。こうなることは、想定の範囲内ですわ……」
 御主人様の御心のままに……そう言いかけた言葉を飲み込むアンティーナ。サシュには主従契約を拒否されたままだ。
 私にはカリリエやミサヨほどの美貌も器量もないかもしれない……でも、あなたに尽くす気持ちは誰にも負けませんわ……そう心でつぶやくアンティーナは、サシュを主人とすることを諦めていなかった。

 空の雲がすっかり消えた夜のラテーヌ高原で、火が焚《た》かれ野宿となった。八人の冒険者がそれぞれ装備を脱ぎ、雨で濡れた服を乾かしたり着替えたりしながら食事をとる。
 ガルカ族であるザヤグの隆起した筋肉美はさすがだった。そして下着姿になった女性陣の中でも、健康的な小麦色の肌をしたラカと、透き通るような白い肌のカリリエは、互いに譲らないほど見事なスタイルを見せた。
 ジークヴァルトの目の前でカロココが手を振ってみせたが、彼はカリリエに視線を向けたままぼんやりして動かない。
「だめだ……妄想の世界に、行っちゃってるよ……」
 カロココは、肩をすくめてみせた。
「どないしたん、ミサヨ? いつもみたいに、ぱーっと着替えたら?」
 ラカの冷やかしに、ミサヨが顔を赤くして身体に巻いた布を手でおさえた。
「うるさいな、ほっといてよ」
 ミサヨとアンティーナだけが布で身体を隠している。
 死と隣り合わせで生きている冒険者にとって最優先事項は生命であり、異性の目を気にするような感覚は薄れているのが普通だ。いつモンスターが出るかもしれないフィールドでの野宿なら、なおさらである。
 ただしモンスターには、自分よりはるかに強い相手には手を出さないという性質がある。このメンバーのほとんどが高レベル冒険者であり、ラテーヌ高原をうろつくたいていのモンスターは相手にならない。ランドルフのようなNM《ノートリアスモンスター》は、例外中の例外だ……見張りも立てずにくつろいでいられるのは、そのためである。ここが凶悪モンスターの生息地ならこうはいかない……。
 ふとサシュの方を見たミサヨは、驚いた。サシュの濡れたローブとスロップスは、火のそばに組んだ木の枝にかけられたまま。サシュは、カバンから取り出した白い服に着替えているところだった。
「…………」
「……人の着替えを凝視するなよ、ミサヨ」
 サシュに指摘されて、急に顔を赤くするミサヨ。いや、そんな場合じゃない……とミサヨは頭の中を整理した。
 サシュが着ているのは……ということは……?
「サシュ、その服って、まさか……!」
 カリリエが先に声を上げた。全員がサシュに注目した。
 サシュが着替え終わったのは、エラントウプランドとエラントスロップス。レベル72になってはじめて袖を通すことができる、白を基調に黒があしらわれたシックなデザインの装備。サシュの眼鏡とよく合っていて、知的で頼もしく見える……。
「どうして気づかなかったのかな……」
 ミサヨは涙ぐんでいた。自分のことのように嬉しいのだ。
 サシュが身にまとっているオーラは、間違いなく高レベル冒険者のものだ。
 一度サシュから離れた〝呪いの指輪〟は再びサシュの指にはまっている。それにも関わらず、サシュのレベル制限が解除されていた。
(この私が、ポーカーフェイスが得意でクールだったなんて言っても、サシュは信じないだろうなぁ……サシュに会ってから、泣いてばっかりだ……)

「どういうことなんだ?」
 ザヤグが率直に尋ねた。
「ミサヨもお前も、ドラギーユ城で〝呪いの指輪〟をはめてから、レベル制限を受けたと聞いているが……」
「そのことは、おいおい話します。それよりも、みんなに大事な話があるから、そのままで聞いてほしい」
 突然あらたまった様子のサシュに、皆の視線が集中した。今のサシュは、レベル制限が外れて元の力を取り戻している。冒険者レベル75……ここにいる誰よりも高レベルだ。
 あまり間をおかず、サシュは話し始めた。
「LSミニブレイクは明朝、次の目的地に出発する。おそらく最後の目的地になると思う。その前に確認しておきたいんだ……みんなの意思を」
 全員が頷いた。
「このLSの目的は、マルガレーテの病気を治すこと。だからと言ってマリィを助ける代わりに誰かが死んでは意味がない。生きて帰り、全員でマリィの笑顔を見るんだ」
 サシュは一人一人と視線を合わせた。
「それをここに誓え。誓えない者は抜けてもらう」
「……そンなに危険な旅になりそうなのか?」
 ジークヴァルトだった。頷くサシュ。
「目的地は、ソ・ジヤ遺跡……レベル50の制限がかかる場所である上に、危険なモンスターがたくさん巣くっている。その最下層でカーバンクル・カーズを治療するアイテムを入手できる」
 一瞬の間。焚き火に使われた木の枝がパチパチと音を立てた。
「……誓います……必ず生きて帰り、マリィを救います」
 最初に言葉を発したのは、マリィに一度も会ったことがないアンティーナだった。
「誓います……必ず生きて帰り、マリィを救います」
 すぐにミサヨが同じ言葉を繰り返した。そして皆が誓いの言葉を口にし、最後がジークヴァルトだった。
「誓う……必ず生きて帰り、マリィを救ってみせるッ」
「全員の意思を確認した。これをもって、新生ミニブレイクの契約とする」
 サシュの宣言が、透明な夜の空気を震わせた。皆の目が真剣であり、自然におごそかな表情になっている。

「……ぉ、見てみぃ。虹がでとるわぁ」
 空を指差すラカ。
 星を散りばめた黒い氷のような夜空に、真円を描いた白い満月が貼りついていた。その月を囲むように、丸い七色の虹がうっすらと見える……。
 美しく……妖しい光景。
 待ちうける未来は誰にもわからない……霊獣カーバンクルにさえも……。

 ~第七話完、第八話へ続く


コメント

明日は中学からの友人の結婚式で遠出するので、本日書いてアップしました。

やっぱり一つになったぁ(*^□^*)いよいよ物語も佳境に入ったなぁ\(^O^)/続きがかなり気になりますw(°0°)w

◆ヒデタルさん
はい、1つになりましたw
最後までもう少しなので、よろしければこの先もお付き合いください^^

夜に出る虹は
ルナレインボーと言って
見たものに幸運を授けるそうです。
みなに幸運がありますように。

*実際ラテーヌでルナレインボーが出ます
運がよければ見てみてください

◆えこさん
コメントありがとうございます。
ラテの夜の虹は見たことないですね~。
ぜひ見てみたいものです!
ルナレインボーという呼び方は、今回小説にするために事前に調べるまでは知りませんでしたよ。

【むむむ】
サシュの呪いが解けている・・・

前回、指輪をはめて、またLV制限されるのかな?とコメントしましたが
解除されてたんですね。
見事に予想がはずれましたw

指輪の謎はきっとクライマックスで明らかに!
と、いうのを期待して、次回の話しを待ちますw

◆Leppardさん
いつもコメントありがとうございます!
ネタバレになるので前回のレスでは書けませんでしたが、LV制限は解除されました~。
当初の大まかな予定では、もっと後の方まで解除されないつもりだったのですが。
「落下しながらデジョンII」を書きたくて……で、指輪の設定としては解除せざるをえない展開になっちゃったので諦めて解除しましたw
指輪の謎については、いずれ……^^

こんばんわ(*´σー`)
今回の作品では、なんだか「気持ちを凛とさせられる!」そんな爽やかな印象を受けました。
ミサヨが率いる、数々の危険を潜り抜けて来たブラックライトニング・・・
そして、今やブラックライトニングに勝るとも劣らない経験を積んだミニブレイク。
その聡明なる二つのLSが一つに!!(*^-^)

小説慣れしている読者様から、私みたいな小説初心者な人まで
例外無く物語に引き込まれ、かつ読者を冒険者の一員と錯覚させられてしまうほど
ワクワクさせられる融合を、うまく描写していると感じました。

ミサヨが二つのLSの合流を提案した時の、ブラックライトニングのリーダーとしての責任感あふれる表情と
その後に見せた、いつもの表情とのギャップ。
この二つの表情の描写が、「ミサヨ」という人物をより魅力あるものにしていると感じました。

普通なら?というか、男の観点から見ると
好きな相手の前では、どうしてもその感情が表面に出てきてしまい
こんなにも凛とした感情で話すのは、なかなか難しいのでは?と思ってしまいます(^^;

そんな難しい場面を表現できてしまうところは流石ですね(^.^)さしゅさん。

後半部分の焚き火を囲んでの場面は、これまでの微笑ましい場面から一転
再び冒険の世界への扉を叩いた様な、そんな描写になっていたと思います。

つい先ほど強力なLS新ミニブレイクが出来上がり、
ある意味全員が浮き足立っている状態を、引き締めるかのようなサシュの発言。
「生きて帰ること」を大前提とし、マリィだけではない
皆が無事であることの大切さが自然な形で描かれていたと思います。

そして、改めてサシュのリーダーとしての資質に気づかされました。(^.^)

最後の一節は個人的に勉強になりました。(/゜ー゜)
【「全員の意思を確認した。これをもって、新生ミニブレイクの契約とする」
サシュの宣言が、透明な夜の空気を震わせた。
皆の目が真剣であり、自然におごそかな表情になっている。】
この一節があることによって
今回の小説を、とても皇位あるものにしていますね(*゜o゜*)勉強になります。

今後の展開を案じさせる虹を見つめるミニブレイクの面々・・・・・・・
今回の作品で、さらに浮き彫りになった指輪の謎・・・・・・・・

適度に焦らされる展開に、未来の予感を感じながら
次回の作品を待ちたいと思います。(*゜ー^)/'`*:;,。・★
まっつぁ~~~~りと更新頑張って下さいね(^ー^* )

◆ほわいとぉさん
こんにちは^^
小説慣れしている読者さんがどう思われたかはわかりませんが、引き込まれて楽しんでくれる人がいたらいいなぁと思います。
ミサヨの態度は……カリリエやアンティーナもそうなんですけど、性格をもっとわかりやすく(キャラ作り)した方が話がまとまりやすいだろうなとは思います。
が、自分が書きたいように書いているというのが、このへんにも出ているって感じで。
惚れた弱みをいつも出しているような女性じゃなくて、(いろいろな意味で)対等な女性として描きたい気持ちがあります。
昔、コメントで一度だけ書いたことがありますが、もともとは……こんな恋愛が出てくる話の予定じゃなかったんです。
男女の友情を書きたかったんです。
今ではもう全然変わっちゃっていますけどw
その名残りが出ているのかも。

今考えている構想だと、この後もあっさり終われそうもない感じですが、引き続き読んで頂ければありがたく思います^^

ふぅ、遅くなりました(ーー;)
社会人から学生にチェンジすると色々と大変ですね・・・
しかもGWまでは二足の草鞋状態だったので大変ですた。

小テストも終わって大分落ち着いたので、読みに来ました。
今から残りの更新分も読みます。
さて、この話のサシュはロボット系シュミレーションゲームのレジスタンスのリーダーしてる主人公がクラスチェンジしたみたいなノリでカッコ良かったですw
イメージ的に何故か無精ひげwww

さあーて、次だ次ーゝ(^O^)丿

◆ひーさん
かなり大変そうですな( ̄▽ ̄;
落ち着いたということで何よりです。
ひーさんなら、5月病とかは心配ないかなw
ゲームは知らないので、イメージがわかりませんが、楽しんでもらえたなら良かったです♪

それにしても、ここからコメントを書いてくれるとは……義理堅いひーさんらしいと言うか……ありがとうございます( ̄▽ ̄〃

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