ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ8-3

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第七話 月虹の契約 (1) (2) (3) (4) (5)
 第八話 裏切り人形 (1) (2)


 第八話 裏切り人形 (3)

 ドシュッ! という鈍い音。
 ジークヴァルトの曲刀が引き抜かれるのと同時に。ブラバーアイズが持つ無数の目から、涙と体液が壁まで飛び散った。不定形モンスターの死体は、濁った黒いスープにたくさんの目玉を浮かべたように見える。まだ生きているかのように、まばたきをしたり視線を変えたりする目玉たち……。
「ふゥ……この部屋は、こいつだけかァ?」
 まるで重さを感じないかのように軽々と剣を振るヒューム族の戦士。剣についた黒い体液がしずくとなって、床に飛んだ。

 ここはソ・ジヤ遺跡・東の塔の地下……その入口から入って六つ目の部屋だ。サシュたちミニブレイクの一行が朝から半日かけてこの塔にたどり着き、休憩もそこそこに全員で突入して三十分ほどたったところである。
 ソ・ジヤ遺跡は、塔によってその地下構造が微妙に異なる。この東の塔は、扉を開けて一つの部屋に入るとまた扉があり、次の部屋に進むという造りになっていた。扉は開けてもすぐに自動で閉まってしまうので、狭い部屋の中で声がよく反響する。
 そして冒険者レベルが50に制限される場所でもあった。もちろん、装備できる武器や防具も制限されることになる。
「あー、片手剣は軽すぎて物足りねェなァ……。いつものバーサーカーアクスを思いっきり振り回してェ!」
「ジークはホントに両手斧が好きだねぇ。でも、曲刀を使ってる方がいつもよりかっこよく見えるよ」
 カロココの言葉に、嬉しそうな表情を浮かべるジークヴァルト。
「そ……そうかァ?」
「……冗談だよ」
 片手剣を持ったまま、がっくりとうなだれる戦士。ふと思いついたように、サシュが声を掛けた。
「ジークさん、そのファルシオン、ちょっと貸してくれる?」
「へ?」
 サシュは、かばんから小さなクリスタルと他にも何かの材料を取り出すと、それらをジークヴァルトから借りた剣の横に並べて、その場に座りこんだ。部屋の中の敵さえ片付ければゆっくりできるのが、この塔のいいところと言える。
「お~、サシュの錬金術合成を生で見るの、初めてだ!」
 嬉しそうな声を上げたのはカリリエだった。カリリエが持つアイスシールドは、サシュが若い頃に合成したものだ。もっとも今はレベル制限のせいで、装備できないのだが……。
「片手剣を両手斧にするってわけにはいかないけどね」
 そう話すサシュの両手の間で、ファルシオンが土クリスタルの黄色い輝きに包まれた。無数の泡がはじけるような独特の音が響き、最後に合成光が輝きを増して部屋の中を眩しい光で満たした。
 クリスタルと他の材料が消失し、サシュの手元に曲刀だけが残る。それを興味津々で覗きこんだジークヴァルトは、がっかりしたように首を傾けた。
「んー、何も変わっていないような……失敗か??」
 刃の光沢を見つめてニヤリとするサシュ。
「ジークさんは幸運の持ち主だね……普通より少し軽くて鋭い刃に仕上がったよ。たまに、そういうのができるんだ」
「ふーん……?」
 サシュから新しい剣を受け取っても、まだ首をかしげているジークヴァルト。
カロココがやれやれというジェスチャーを示した。
「だめだめ……ジークは昔から両手斧にしか詳しくないんだよね。一通りの武器は扱えるくせに、感性が鈍いと言うか、脳筋と言うか……」
「モンクのカロココに言われたかねェヨ……!」
 部屋の中に明るい笑いが満ちる。レベル制限があるとは言え、パーティの人数が多いゆえの余裕である。黒き雷光団のメンバーが加わっていなかったら、こうはいかなかったろう。
「結局、何ができたの?」
 ミサヨの質問に、サシュが笑った。
「……ちょっと派手な剣になっただけさ」
「派手……?」
 カリリエが、そばでニマニマと笑っている。普段から片手剣を扱うナイトのカリリエだけは、サシュが合成した剣の正体を知っているようだった。
 小さな声でサシュに耳打ちする。
「サシュも意地悪だなぁ……あらかじめ教えておいてあげないと、びっくりするんじゃないかな、ジーク君」
「……解説して、自慢げに聞こえたら嫌だなと思ってさ」
 ……というのは建前だ。驚いて喜ぶ顔を見るのは、合成職人の楽しみの一つである。

「ほな、行こか。失敗したら堪忍なぁ♪」
 ラカが、次の扉の前でしゃがみこんだ。全ての扉には罠が仕掛けられていて、それを外せる技術を持っているのはシーフだけだ。
 ラカは、超一流のシーフだった。ここまで、罠の解除に全て成功している。
「他のみんなもそうだけど……ラカさんがいてくれて、ホントに助かるよ」
 以前サシュがここに来た時には、全ての罠を発動させながら大人数で力ずくで通ったのだった。その時には、獣使いという特殊なジョブの冒険者がいたからなんとかなったが……今、罠が発動したらちょっと危険なことになる。
「アカンて、サシュはん。そない褒めると、照れてもぅて手元が狂ぅわ…………あ、ゴメン」
「マジかよ!?」
「げ!!」
 前方にいたジークヴァルトとカロココが声を上げると同時に後ろに下がった。罠の説明はあらかじめサシュがしていたが、初めて見る者が驚くのも無理はない。
 およそ扉の容積からはありえない大きさの巨大な動く彫像が、扉から抜け出してきたのだ。
「こ……こいつが、ガーゴイル!?」
 ジークヴァルトの声に、引き締まった表情のサシュが答えた。
「そうだ……けど、〝なんとかなるさ〟」
 カリリエが挑発すると、ガーゴイルが彼女に殴りかかった。レベル制限のためにカリリエも自前のAF《アーティファクト》ではなく、ジークヴァルトと同様の無骨な鎧に身を固めている。
 振り下ろされる巨大で重い左腕。
 ……それをカリリエが盾で完全に受けきった……ように見えた。
「あぁっ! 貴様、歌姫様になんてことを!!」
 叫ぶジークヴァルト。滑ったガーゴイルの腕が石の床にめり込んで大穴をあける。ヒザをついたカリリエの口の端から、血が垂れていた。
「レベル50制限か……油断したなぁ」
 左手の甲で血を拭うと、ゆっくりと立ち上がるカリリエ。続けて正面から突いてきたガーゴイルの右腕を、今度は身体の正面でしっかりと受け止める。
 同時にカロココが、ガーゴイルの背後で宙に跳んだ。
「双竜脚も空鳴拳も使えないけど……強すぎる私には、これで十分よ」
 撃ち込まれたのは、〝乱撃〟。左右の手足を全て使って瞬時に叩き込まれる破壊力抜群の五回攻撃である。大きな打撃音が壁に反響し、後頭部が砕けたガーゴイルの巨体が前のめりに倒れかかった。
「喰らえ、このデカブツがッ!!」
 間髪入れずにジークヴァルトが放った技は〝レッドロータス〟。すくい上げるように振りぬいた剣が炎をまとい、ガーゴイルに火属性ダメージを追加する。
 直後、ガーゴイルの身体が熱に包まれた。〝乱撃〟と〝レッドロータス〟の連携が生み出す特別な現象、〝溶解〟。高熱で体表面がドロリと溶ける。
 そこに詠唱を終えたサシュとアンティーナの精霊魔法〝ファイアII〟が発動した。ただのファイアIIでは考えられない巨大な炎が燃え上がり、ガーゴイルの身体が突然液化して崩れ落ちた。
 マジックバースト……カロココとジークヴァルトが生み出した〝溶解〟現象に、火属性の精霊魔法を重ねることで、通常の数倍のダメージを与えたのである。
 あっさりと沈んだ敵を前に、ジークヴァルトが鼻の下を指でこすりながら、にやりとした。
「へへ……大したことねェな!」
 実際には乱撃やレッドロータスのような技巧はかなりの集中力を必要とするので、頻繁に使うことはできないのだが……「なんとかなる」というサシュの言葉通りだった。
 ザヤグが白魔法ケアルでカリリエの傷を治すのを見ながら、ミサヨがサシュに問いかけた。
「こんな罠がまだまだあるのか……あと何部屋あるのかな」
「ん……あと、十部屋……かな」
 皆の口からため息が漏れた。まだ誰も死んだり大怪我になるような戦闘にはなっていない。だが、奥に進むほど強い敵が多くなるとサシュから聞いている。本当の修羅場は、これからなのだ。

   *

「ふ……決まった」
 トンベリ族と呼ばれる凶悪な獣人にとどめをさしたジークヴァルトが、肩で息をしながらも余裕のセリフを放った。
 最後の部屋の敵を片付けたのだ。満身創痍でありながらも、全員が無事なままここまでたどりついたのである。
「俺様の新能力開花に助けられたな、諸君!」
「……ハァ? 何のこと?」
 カロココが首をかしげる。ジークヴァルトがあきれたようにカロココを見おろした。
「気づいてねェのかヨ! 普通なら十回に一回くらいしか撃てない〝レッドロータス〟を毎回撃ってたでしょーがッ! こぅ、炎がボッと出てサ!」
「……アンタ……ホントにばかだね」
 カロココが心底あきれた表情を見せたので、ヒューム族の戦士はムッとして周囲を見渡した。ミサヨと目が合う。
「ミサヨも見たよなッ!?」
「え……うん……え~と……。ジーク……気づいてなかったんだ……」
 困った顔のミサヨ。笑いをこらえていたカリリエが、とうとう大声を出して笑い出した。
「あは……あはは、あははははは!」
 カリリエに笑われて、顔を真っ赤に染めるジークヴァルト。
「な……なんだヨ?」
「それ……その、片手剣……サシュがファルシオンをベースに合成した剣……」
 説明しようとするのだが、笑いの衝動で言葉が途切れるカリリエ。ジークヴァルトが何かに気づいた顔をした。
「お! そういえば、合成してくれた剣だっけ!」
「それ……名前をね……〝フレイムブレード〟って言うんだよ……しかも、ハイクォリティ品……」
 うんうんと頷くジーク。
「切れ味が鋭くなったんだろ……リーダーには感謝してるぜ!」
 それから、ジークの表情が固まった。
「……フレイム……ブレード……って、〝炎の刀〟??」
 あ! という表情をしたかと思うと、うなだれるジークヴァルト。
(穴があったら入りたい……どうしてこう俺って……毎回歌姫に笑われるハメに……?)
 火属性の追加ダメージ効果……それがフレイムブレードの持ち味なのである。
「……いきなり渡したフレイムブレードを、あんなに効果的に使いこなすなんて、さすがジークさんだよ」
「それは、そうかも……」
 サシュのフォローの言葉に同意するカリリエ。そのセリフに、ジークヴァルトが顔を上げる。カリリエの眼差しに尊敬の念が混ざっているのがわかった。
「お……おぅ、まァな! ……へへへ」

 気を取り直した戦士は、最後の扉を指差した。
「この先は、どうなってるんだ?」
「地下に降りるリフトがある……。それを降りたら、最終目的地の部屋があるよ」
 ジークヴァルトの顔が真剣になり、サシュの目を見据える。
「……そこで、マリィを救うアイテムが手に入るんだな?」
「……そうだ」
 強い瞳で見返すサシュ。
 ミサヨが全員を見渡した。
「行こう」
 最後の扉が開く。
 地下まで吹き抜けの広い空間が広がっており、その中心にリフトが見えた。
「オイオイ、下にもモンスターがいるじゃねェか!」
 ジークヴァルトの声に、サシュがにやりとした。
「まぁね……でも……〝なんとかなるさ〟」
 ジークヴァルトも、にやりと返す。
「俺様のすごさは……ここからが本領発揮だゼ!」
 疲労した身体を引きずりながら、全員が不適な面構えでリフトに乗り込んだ。
 こんなに楽しい冒険は久しぶりだな……そう思うサシュ。共通の目的を持った信頼できる仲間とここまで来た。
 目的地は目前である。

 ~(4)へ続く


コメント

ジークが笑えるー(^Q^)/^

◆ヒデタルさん
いつも早いコメントをありがとうございます^^
ジークは、この小説ではカロココと並んで戦闘シーンを飾ってくれる存在ですが、一般的に主人公でもおかしくないキャラかもしれません。
というか、普通はヒュームが主人公でタルが脇役ですよねw

今回のお話は、安心して読めました。
連携とMBの話しが、砂丘時代のことを思い出して、なつかしく感じましたw
物語は、そろそろクライマックスですね!
次回も期待しています。

今回は合成やら連携やらMBやらと、ちょっと初心に戻されたというかクライマックスを前にリフレッシュって感じでイイですね。
嵐の前の静けさ、とでも言うのかなwww
しかし、言われてみれば確かにジークがテンプレで言う主人公ですよね。
ま、失礼だけど・・・ガルカ以外の種族は主役張っても違和感ないんでオッケーでしょうwww
ビスブロノベラーは全員タルタルだし、んでもって主役はタルタル、もしくはヒロインがタルタル・・・。
タルタルが一番ですよwwwwwww

さてと、次回からは更新時に読みたいと・・・余裕があったら拝読させて頂きます。頑張って下さい。

あ、それと今日明日と時間が取れそうなので、自分の方も頑張って執筆作業に取り掛かろうと思います。

さしゅさんも勉強してるみたいなので、頑張って下さいね。んではー。

お疲れです~
いい仲間だな~
この先どうなのか気になります^^
頑張ってね~

◆Leppardさん
コメントをありがとうございます~。
最近、皆さんからあまりコメントをもらえなくて、元気がなかったので嬉しいです♪
今時、MBを狙った戦闘ってしないですよね~……寂しいことです、メイン黒としてはw
次回、楽しんでいただけるように書けれたらなぁと思っています。

◆ひーさん
コメント、ここまでお疲れ様でしたw
&ありがとうございます^^
飛空艇での戦闘シーンでWSを出して欲しかったという要望が以前あったのですが、ここで、一気にMBまでいっちゃいましたw
特に戦闘シーンが苦手な私ゆえの手抜きかもww
個人的には、ミスラが主人公の小説を読んでみたいですね~。
私には書けないと思うので。
確かに、らふさんはエルだけど、ひーさんも、しげ氏もたれ氏も私もタルですな♪
もともとブロガーにタルが多いしね~w
次回も余裕があって読んでいただけることを願っています( ̄▽ ̄〃
ひーさんの小説、アップされたらまたコメントしますので、ちゃんと書いてくださいねw
お互い、いろいろ頑張りましょう♪
……私の試験は来週です( ̄▽ ̄;

◆さとぽん
ありがと~!
今回は、起承転結で言えば第8話の承ですね~。
次回が転になる予定ですが……なかなか思い通りにいかないこともあるので、どうなることやら……。
応援ありがと~!( ̄▽ ̄〃

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◆隠しコメントさん
どうもありがとうございます!
そう言ってもらえることが嬉しいです。
私としては、皆様の意見を聞いて影響を受けるのは、むしろ歓迎だと思っているのですが、本来、最後まで書き上げてもいないのにある程度の評価をもらおうというのはズルイのかもですね( ̄▽ ̄;
最後まで書き上げた時に感想をいただけるとしたら、それはぜひお願いしたいです!

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