ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ8-4

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第七話 月虹の契約 (1) (2) (3) (4) (5)
 第八話 裏切り人形 (1) (2) (3)


 第八話 裏切り人形 (4)

 ミニブレイクは強かった。
 ソ・ジヤ遺跡・東の塔の最下層までたどり着いた彼らは、全員が各々のジョブにおけるエキスパートであり。特に黒き雷光団のメンバーはパーティ戦闘に慣れていて、互いにフォローし合うタイミングが完璧だ。
 とは言え、リフト周辺のモンスターを倒しきるのに、体力も魔力も底をついていた。余力を残しているのは、控えめに行動していたアンティーナくらいだろう……。

「ふゥ……!」
 ジークが最後の敵……床に沈んだ巨大なダニ型モンスター・ダイアマイトストーカーからフレイムブレードを引き抜いて皆を振り返る。
 ……と、全員がぼんやりしていた。
「? ……どうしたンだ?」
 近くにいたカロココの肩を小突くと、彼女はゆっくりと右腕を上げ、ジークの背後を指差した。そこには、倒したばかりのダイアマイトの死骸……その向こうに、大きな石の扉があった。皆がその扉を見つめていたのだとわかる。
「でっけェ扉だなァ…………ん?」
 若い戦士は、ようやく気づいた。その扉に刻まれた大きくて美しい浮き彫り《レリーフ》に。皆は、それに心惹かれ見つめていたのだ。
 そこに描かれているのは……。
「……霊獣カーバンクル……!!」
 ジークが叫び、サシュが応えた。
「そう……ここがこの塔の心臓部……霊獣カーバンクルが力を失う前に、その一部を蓄えた部屋だ」
 普段は固く閉ざされている開かずの扉。
 だが、ラテーヌ高原で出会ったカーバンクルは、確かにサシュに言った。〝あの場所に行くんだ……扉は……開けておくから……〟と。
 開いているはずだ……そう信じて扉に近付き、手を伸ばす。
 左手薬指にはまった〝呪いの指輪〟が青い光を灯《とも》していた。カーバンクルの力に反応しているのだろう。
 石の扉は訪れた者の気配に反応し……指輪と同じ青い光をうっすらと放った。
 そして、ゆっくりと左右にスライドし始める……天井の高い内部が徐々に見えてきた。

「……すごい」
 思わず言葉を漏らすミサヨ。サシュ以外のメンバーは、ここに来るのが初めてだ。
 全員が室内に歩みを進め、周囲を見渡す。
 その中心には、ホルトト遺跡で見たのとそっくりの魔導設備。周辺にも様々な設備が並び、広く高い空間を占拠していた。ところどころで青い光点が明滅しており、今なおこの遺跡が生きていることを主張している……。
 古代文明の粋を集めた複雑な設備を目の当たりにして、全員がしばし言葉を失っていた。

「素晴らしい……」
 背後……部屋の入口から響いたその声を聞いた時、サシュの背中にゾクリと悪寒が走った。反射的に振り向く。
「……ベッケル!」
「久しぶりだな、サシュ……ミサヨ……!」
 そこに、エルヴァーン族の男が三人立っていた。中央に立つ男は、以前と変わらぬ口ひげ……いやらしい目つき……間違いなくベッケルだ。残りの二人は彼の部下……三人とも、黒鎧を着ている。レベル50制限のこの場所で以前と変わらない装備……元々、彼らは冒険者レベルで言えば50以下の連中にすぎないということだ。
 だが……。
「動くなよ、若造」
 ベッケルが制したのは、ジークヴァルト。一振りしたフレイムブレードから噴き出した炎が、空中で消えた。抜いた剣を使っていいものかどうか迷っているのだ。
 ベッケルには余裕が見られた。その理由が気になるサシュ。
「プリズムパウダーとサイレントオイルで、コソコソとつけて来たのか?」
 そう……彼ら三人で侵入できるような遺跡ではない。それなのに、ミニブレイク八人の前で堂々と姿を現した……何か切り札を隠しているはずだ。ハッタリでウカツに姿を見せるほどバカではないはず。
 ……その切り札の正体は……すぐにわかった。
「全員、動くな……すでに消耗しきった貴様らなど、簡単に殺れる私の可愛い人形がそこにいる。ほら……受け取れ」
 ベッケルが腰にぶら下げた片手剣を放り投げた。二ヶ月前にマリィの胸を貫こうとした剣だ。
 腕を伸ばしてそれを受け取ったのは…………アンティーナ……。
「アンティーナっ!?」
 カリリエが叫んだ。アンティーナは黙ったままだ。
「それをかざして、魔導設備を稼動させろ……それでいいはずだ。ウィンダスの禁書によればな」
「…………」
 サシュの脳裏に、アンティーナの今までの行動が思い出される。そして、フッと笑った……自嘲の笑いだった。
(ばかだな、俺は……)

「早くしろ……稼動方法はホルトト遺跡の魔導設備と同じ……簡単なものだ」
 ベッケルにせかされ、アンティーナが大きなスイッチを動かした。ヴンという起動音がうなり、いくつかの場所が青く光りだす。淡々と行動するアンティーナの心の内が読めない……。
「おいっ、やめろよ!!」
「アンティーナ、何とか言って……!」
 叫ぶジークとカリリエを今度はサシュが制した。
「動かないで。ベッケルの言う通りにするんだ」
「アンタは、誰かが死ぬのが恐いだけでしょ!?」
 カロココだった。とっさに出た言葉だが、場がシンとなる……。
 動き出した魔導設備。
 告げられた仲間の裏切り。
 アンティーナが鞘から抜いて掲げた片手剣が、徐々に青い光に包まれ始めている。
 何が起ころうとしているのか、わからない不安……。
 先程までの連帯感がウソのように、ミニブレイクのメンバーに動揺が生まれていた。今にも誰かが焦って勝手に行動しそうな、その時……。
「……ミニブレイクを抜けるなら、好きにしろ」
「動くなら、雷光団を抜けてからにして」
 サシュとミサヨの言葉は、ほとんど同時だった。「む」とだけ言って、黙るカロココ。
 〝指示が気に入らなければ、全員で脱退するだけのこと〟……それが、黒き雷光団がミニブレイクに所属する前提だった。〝動くな〟というサシュの指示が正しいと言えるのかどうか……判断しかねているメンバーに、ミサヨが答えを与えたのだ。
 サシュとミサヨがきつい言い方になったのは、その根拠を説明し、議論を交わしている時間がないからである。
「仲間割れか……所詮、志なき者共よ」
 ベッケルが悦に入っている。ミサヨがカロココに微笑んだ。
「ごめんね……でも焦らないで。私たちの目的を忘れないで」
「それは、わかってるけどさ……」
 口ごもるカロココの背中を、ラカがぽんぽんと優しく叩いた。カロココのクールな言葉の裏には、信頼と思いやりがある……そのことは、昨夜焚き火を前に二人で話したサシュにもわかっている……。

 それほど時間をかけずに、魔導設備の動きが終息した。代わりにアンティーナの持つ片手剣が一瞬青く強く輝き、それから光が消えた。
「それでいい……貴様らが何しに来たのかは知らんが……カーバンクルの力は私がもらったぞ……ふははは!」
 ここでようやくアンティーナが口を開いた。
「ベッケル様、〝呪いの指輪〟が、外れましたが……」
 アンティーナが左手からすべり落ちた指輪を拾っていた。
「ああ、そんなものに興味はない……行くぞ」
 マントをひるがえして背を向けたベッケルは隙だらけに見える。だが、アンティーナはおとなしくベッケルに付き従い、彼に剣を渡した。
 最後にもう一度、ベッケルが振り向いた。
「ここで、できあがったばかりの〝カーバンクルの聖剣〟を試してみたいところだが……この遺跡ごと破壊しかねないのでな。運が良かったなサシュ」
 それだけ言うと、勝ち誇って笑うベッケル。お供の黒鎧二人も笑っている。
 エルヴァーン族が支配する平和な世界……それがベッケルにとっての崇高な思想のはずだった。その潔癖な思いに歪みが生じ始めているように思われた……。
 ベッケルのそばで、アンティーナが黒魔法エスケプの詠唱を始めた。一瞬で遺跡の外に出られる移動魔法だ。
「さらばだ……お前達のような虫けらを相手にする必要は、もうなくなる……俺様の時代が来るのだ……」
「……アンティーナ!」
 ベッケルの言葉を無視するように、サシュが叫んだ。しかし反応はない……背を向けたまま詠唱を完成させるアンティーナ。彼女と三人の黒鎧が、異空間の闇に包まれ始める……。

「待ってろ……必ず助けるから」
 サシュの言葉に、エスケプで消える間際のアンティーナがパッと振り向いた。
 その顔は……すがるような泣き顔だった……。

 ~(5)へ続く


コメント

ふふふふっ、1番ゲトw

えっと、今回はちょっと色々気になる所があったので書いちゃいます。
まず、
「……ミニブレイクを抜けるなら、好きにしろ」
「雷光団を抜けるなら好きにして」
この二つのセリフは、アンティーナに向けられたものじゃなくって、カロココに向けられたセリフでいいんですよね?
ま、後の流れでミサヨが「ごめんね・・・」とカロココに言ってる事からカロココだとは思うんですけどね。
あとアンティーナは雷光団員じゃないですしね。
流れ的にはアンティーナに向かって、裏切るなら抜けろみたいな意味にとれちゃうので困惑しちゃいましたw
それから冒頭に「ミニブレイクは強かった」と書いてるだけに雷光団というワードが出たのは、ちょっと寂しかったかな。
これはミニブレイクとしての統一感が失われたってことなのかな?
ミニブレイクのリーダーはサシュでサシュに決定権があるんだけど、そのうちの雷光団のメンバーならミサヨが出しゃばってもいいだろ的な、ミニブレイクにいる雷光団のメンバーに関しては私がリーダーみたいな心理を感じちゃいました。
ここらは狙った演出なのかもしれないけど、ちょっと読者側で補わなきゃならない部分が多い気がしました^^;

「アンタは、誰かが死ぬのが恐いだけでしょ!?」
この辺りかな?ここで一工夫あれば繋がるとは思うんですけどね。
前々話のサシュとカロココの会話から続く、カロココのサシュの甘さに対する感情が爆発したシーンであり、サシュのトラウマを克服する為に重要なシーンというかセリフだったと思うんだけど、今のままではいまいち意味が伝わってない気もしました。

その一方、アンティーナが外れた指輪を拾うシーンなんかの哀愁はよく表現されてましたね。
背中が語ってましたwww

しかし、この差は、あれですかねw
ミサヨ、カリリエ、アンティーナに対するキャラ愛とカロココに対するキャラ愛の表れですかねw
多分、順番はミサヨ>カリリエ>アンティーナ>ラカ>カロココですな。
♀限定ですけどねw

今回は、ちょっと突っ込み過ぎた感もありますが・・・裏切りや仲間割れなんかで混乱しちゃう場所だっただけに書かせて頂きました。

しかし、ベッケルがムスカに見えて来たんですが・・・わざと?www
付き人も何かそれっぽいですしw

P.S. 試験頑張って下さい。

すごい急展開だなぁ!w(°0°)wドキドキ(*^_^*)

◆ひーさん
素早いコメントありがとうございます♪

好きにしろの話。
うん、しっかり指摘されたなぁって感じです( ̄▽ ̄;
それぞれの登場人物の考えや感情を把握している私が「ちょっとわかりにくいかな」と思った部分なので、読み手から見れば余計にわかりにくいですよね……指摘してもらって良かったです!
後で、よく考えて修正しておきますね~。

恐いだけでしょの話。
前々回の会話から続く……というのはその通りで、伝わって良かったのですが、まだ工夫が必要みたいですね。
カロココのサシュに対する感情が爆発とかサシュがトラウマを克服という内容は、ちょっと違うかなと思ったので私の力量不足ですね。
実際どういうつもりなのというのをここで書くのは間抜けなので書きませんけど、本文で上手く伝わるように直せたらいいなぁ。

キャラへの愛の話。
たぶんその通りですねw
自分にとっては皆愛するキャラなんですけど……しっかり順位付けされてるのかも。
登場回数とか会話の量とかのせいもあると思いますが、これは構成とか人物のメリハリ付けで仕方がない部分もありますかねぇ( ̄▽ ̄;

ベッケルの話。
ムスカに見えてきたというのはわかりますw
過去の高度文明から強大な力を入手……ってシチュエーションですから、私自身が無意識にそちらに引きずられたかも( ̄▽ ̄;
虫けらとか言っちゃってるあたりもね……例のセリフを連想させるかも。
ちょっとした狙いは別にあるのですが、ここももっとわかりやすく書いちゃった方が良かったかも……見直しておきます。

試験は月曜日、結果がわかるのはもう少し先だと思います。
応援、ありがとうです^^


◆ヒデタルさん
いつも欠かさずのコメントをありがとうございます。
コメント件数がやる気に直結するので(w)ありがたいです。
エンディングまでの話はもう結構細かく頭の中でできているので、楽しんでもらえる内容に仕上げられたらいいなと思っています^^


◆追記
少し本文を修正しました。
まだまだ不足かもしれませんが……( ̄▽ ̄;

え~アンテナさんが・・・
むぅ~

◆さとぽん
アンテナじゃねーw
とりあえず、今回は「え~」と思ってもらえればいいんだけど……この後、上手く書けるかなぁ……自分の力不足が心配だ……( ̄▽ ̄;

【むむむ】
意外な展開ですね!

それにしても、どこまでも姑息なんだベッケル・・・

◆Leppardさん
いつもコメントをありがとうございます^^
ベッケルは……わかりやすい悪役でいてほしいですw
ちょっと書き方が難しいところにさしかかっているのですが、今後も楽しんで書いていきたいなぁと思っています。

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