ささやかに駅メモ!

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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ9-1

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第七話 月虹の契約 (1) (2) (3) (4) (5)
 第八話 裏切り人形 (1) (2) (3) (4) (5) (6)


110805 9話

 第九話 光陰の中で (1)

 ボスディン氷河の中心に位置するソ・ジヤ遺跡・中央塔。その入口で合流したミニブレイクの面々を前に、機嫌のいい声を上げたのはサンドリア王国・王立騎士団の分団長エグゾロッシュである。
「久しぶりです、サシュ殿! ようやくシェンの一件でできた借りを、返す時が来ましたな!」
 彼はサシュ、ザヤグの順に固い握手を交わしてから、一人の女性従騎士を紹介した。
「このアルミティは私の部下にして、元冒険者でしてな。この者から、話を聞いた時には、騎士の血が騒ぎましたぞ!」
 話が見えないまま紹介された従騎士と握手を交わすサシュ。アルミティと呼ばれたエルヴァーン族の若い女性は、赤い前髪を揺らせてにっこりと微笑んだ。
「初めまして、サシュさん。お会いできて光栄です。今朝ミサヨからテルをもらって、分団長に事情を……」
「サシュ殿たちがマルガレーテのために冒険していたとは露知らず……そうと知っていれば、すぐに駆けつけましたものを……水くさいですぞ、サシュ殿!!」
 アルミティの話が終わらないうちに割りこんできてそう言うと、エグゾロッシュは急に真面目な顔になり、サシュだけに聞こえるように声のトーンを落とした。
「……マリィがただの病気でないことは、薄々気づいていました……しかしまさか、ここまで大きな話であったとは……リタの役に立てなかった自分が歯がゆいのです。せめて、サシュ殿たちの役に立ちたい」
 サシュを見つめるエグゾロッシュの眼差しは真剣だ。
「ありがとうございます、エグゾロッシュさん。いつも助けてもらっているのは私の方……シェンの時だって、そうです」
「ふふ……ここに集めた者たちは私の部下の中でも特に志の熱い従騎士どもです。ああご心配なく、上の方には指名手配中であるベッケルの情報収集活動と言って来ましたからな。嘘ではないでしょう?」
 ニヤリと笑うエグゾロッシュに、サシュもニヤリと返す。
 ザヤグと話していたミサヨが、アルミティと少し話してからサシュの方に近付いてきた。
「リーダーに相談もせずに呼んでごめんなさい。まさか、いつも髪を切ってくれるアルミティが三日前からエグゾロッシュさんの部下になっていたとは知らなくて……最初は、マリィの様子を見てきてもらおうと連絡しただけだったんだよ」
「いや、助かったよ。正直……自信を失くしかけていたんだ……ザヤグさんに救われたけどね」
 ミサヨが微笑んだ。
「私も、ザヤグにいつも励まされてる」

 雲間に輝く月が空の高い位置に移動してサシュの心をせかしている。王立騎士団のメンバーと名前だけの自己紹介を交わすと、サシュはすぐにでも塔の地下へ突入するつもりだった。
「サシュ殿」
 それを引き止める声の主はエグゾロッシュ。そばには、アルミティが立っている。
「もしよければ、八人ほどここに残して行こうと思うのですが」
「……はい。どうしたんですか?」
 不思議そうな顔のサシュに微笑んでから、エグゾロッシュがアルミティを含めた八人の部下の名前を呼んだ。
「お前たちはここでキャンプを張れ。そして……装備を全てミニブレイクの皆さんにお貸しするんだ」
「………!」
 サシュは驚き……そして気づいた。サンドリア王国の従騎士たちが装備している鎖帷子、長衣、冑、手袋、下衣、靴、カラー、盾にいたるまで。全て王国従士制式装備……レベル30~40の装備品なのである。まるでレベル40制限の中央塔に入るために揃えたように、都合がいい代物だ。
 偶然だが……従騎士隊を見たミサヨが、その装備レベルに気づいてアルミティに話したんだろうと直感した。
「……感謝します」
 頭を下げるサシュの肩にエグゾロッシュが手を置いた。
「我々全員がフル装備で突入するより、はるかにお役に立てるでしょう? ……もっとも、私は残りの部下とともに一緒に行きますけどね!」
 大声で笑うエグゾロッシュ。この人にはかなわないな……サシュは率直にそう思った。こころなしか、部下たちも苦笑いしているように見える。
 アルミティが、外した装備一式をカリリエに渡した。ぴったりの大きさとはいかないが、ジークとエグゾロッシュも剣を含めた装備一式を他の従騎士から受け取った。サシュ、カロココ、ラカ、ザヤグは騎士や戦士のための鎖帷子は装備できないので、王国従士制式長衣だけを借りる。こちらは布製なので、寸法が違ってもなんとかなった……ザヤグだけはどうしてもサイズが合わず諦めたようだが……。
 一人の従騎士からミサヨも長衣を受け取っていた。今までずっとレベル1のみすぼらしい装備だったミサヨが、レベル40用の長衣を身につけようとしている……。
 サシュの視線に気づいて、照れるように笑うミサヨ。自然にサシュの口から言葉が出た。
「おめでとう、ミサヨ」
「ありがとう……ようやく、本領発揮といきますよ♪」
 ミサヨの指に〝呪いの指輪〟は、もうない。カリリエの指にも。ミサヨ達が正確に魔導器を稼動させた証拠だった。
 全員の準備が整う。
「よし、行こう」
 地下への階段に踏み込む。
 最初の敵であるヘクトアイズ族のゲイザーが、無数の目を開閉しているのが見えた……。

   *

 最初のフロア。一緒に突入したエグゾロッシュと従騎士十一人の活躍は目覚ましかった。彼らに戦闘を任せて、ミニブレイクのメンバーが休息《ヒーリング》できる余裕さえあった。ここまで東の塔での疲労を回復する暇がなかった彼らにとって、大いにありがたい。
 スノーボールというボム族のモンスターにトドメをさし、肩で息をしている青年従騎士。その肩に背後から手を置いたのはジークだ。びくりと反応した青年がジークの顔を見てホッとした表情を見せる。その様子から、青年がいっぱいいっぱいで闘っていたことを感じるジーク。
「ありがとヨ……慣れねェ相手で疲れたろ。あとは俺たちに任せな」
 サンドリア王国の王立騎士団が普段から主に相手をしているのは、比較的人間に近い攻撃を仕掛けてくるオーク族の獣人たちである。ヘクトアイズ族やボム族という見た目からして特異なモンスターが相手では、疲れも倍増するというものだ。突然の特殊攻撃に臨機応変に対応できるほど、彼らは冒険慣れしていない。
「おかげで、しっかり休めたよ。今度はアンタ達が休んでて」
 青年が床に座りこむのを見届けてから、カロココがいつものように両腕をぶんぶん振り回した。
「さぁ、第二ステージと行きましょうか。何か気を付けることある? リーダー」
「うん、特別な罠がないかだけ気を付けて。……この先は、人を襲うモンスターはほとんどいなかったハズだ」
 サシュの言葉に、目と口を丸くしてぽかんとするジークとカロココ。ラカがくすくすと笑った。
「ウチの出番やなぁ。脳筋コンビは、後ろに控えとりぃ♪」
「がーん……」
 声を揃えるジークとカロココは、活躍の場を失ったショックにまだ固まったままだ。場の雰囲気が和む中、サシュだけが厳しい表情を保っていた。
「油断しないで……俺が以前来た時には、ベッケルなんていなかったんだから。彼らが今のモンスター達をすり抜ける仕掛けを持っているんだとしたら……侵入者を撃退する仕掛けがあってもおかしくない……」
 サシュ、ミサヨ、カリリエの脳裏に、ホルトト遺跡におけるカーディアン達の異常行動が蘇った。ベッケルはウィンダス連邦から盗み出した禁書を武器に、遺跡の魔導器を使いこなし……野生化していたはずのカーディアン達を操っていた。保身にかけては、ぬかりない男と言える……。
 慎重に進む彼らだったが、特に何の仕掛けも見当たらなかった。ただ、サシュの道案内で進むうちに、共通の違和感をおぼえ始めている……。
「ねぇ……さっきから、同じトコロを回ってる気がしない?」
 カリリエがそう言うと、すかさずジークが同意した。
「そうそう、俺もそう思っていたトコロなんだッ!」
「……いや、大丈夫だ」
 サシュの説明は、明快だった。
「今回は事前に説明するヒマがなかったけど……この塔は、こういう構造なんだ。ほら、ここを見て」
 サシュが石壁の自分の目の高さあたりを指差した。そこにはナイフで傷をつけたような小さな〝×〟印が五個並んでいる。
「以前ここに来た時に、メンバーのシーフがつけた印だよ。階段は降りていないし、同じように見える構造だけど……ここはもう地下五階なんだ」
 へーっと、感心するカリリエとジーク。
「気づかなかったかもしれないけど、もうすでに四回……空間を跳び越えるゲートをくぐってる」
「赤と紫のゲートやろ、何か意味あるんやろ思ぉとった……けど、そないな仕掛けやったんやなぁ」
 ラカだけが、うんうんと頷いている。
 さすがラカさん……と感心しながら、サシュは言葉を続けた。
「むしろ……ここまで何もなかったことの方が問題だ」
「……? ……どういう事です?」
 エグゾロッシュの疑問は皆の疑問でもあった。サシュは少し間を置いてから……ゆっくりと話した。
「この先は……今度はゲートじゃなくて、リフトがあります。そこを降りたら、その先はもう……」
「……霊獣ディアボロスの棲家……というわけか」
 ザヤグがボソリとつぶやいた。黙ったまま頷くサシュ。場がシンと静まり返った。
 青年従騎士の足が震えている……。
 ……無理もない。
 霊獣ディアボロス……その姿を見たことがあるのは、このメンバーの中でサシュだけだろう。一介の冒険者たちが……ましてや冒険者レベルで言えば40程度の騎士団が、挑むようなレベルの存在ではない。相手は生ける神々……五霊獣の一角なのだ……。
 できれば、ここまで来る前に、ベッケル達に遭遇しておきたかった……というのが、サシュの本音である。

 皆が重い足取りで通路の角を曲がった時……。
 目に飛び込んできた光景。
十五メートルほど先の通路中央に下着姿の女性が立っていた。
大柄な身体……ライトブラウンの髪……。

「……来てはだめ……来ないで……」
 その震える声は、間違いなく……。

「アン……ティーナ……!!」
 駆け出そうとするカリリエの腕を、ミサヨがつかんだ。

 ~(2)へ続く


コメント

こうやって読むとやっぱり影の主役はジークだな(^Q^)/^

◆ヒデタルさん
いつもコメントをありがとうございます。
ジークが主役の学園物を考えてみる……カリリエが美人転校生、ミサヨはクラス委員長、カロココが幼なじみって感じでしょうかw
あ、ラカは美人教師でお願いします。
……ジークがうらやましぃ( ̄▽ ̄;

むお~!
気になるw気になるw気になるw

>ミサヨ達が正確に魔導器を稼動させた証拠だった
ほほー 呪いの指輪をはずす方法って、意外と?
簡単だったんですね^^

それにしても、とてもとても気になる終わり方!!!
次回が楽しみですw

◆さとぽん
次の日曜まで待っておくれ~。

◆Leppardさん
簡単……といえば簡単でしょうか。
とりあえず続きます……( ̄▽ ̄;

うわあ、これ嫌な予感がするな・・・てか、オレだったらしちゃうなwww
次回が楽しみだーーーっ!

すぐに読めたら読みます^^;
今回は遅れました。

◆ひーさん
どうなるかはもう決まっているので、今からどうにもなりませんが……予想通りか否かを確かめに来てくださいな。
てか、どういう予想かわかんないしw
遅れてもコメントをくれる律儀なひーさんに感謝。

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