ささやかに駅メモ!

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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ9-3

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第七話 月虹の契約 (1) (2) (3) (4) (5)
 第八話 裏切り人形 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第九話 光陰の中で (1) (2)


 第九話 光陰の中で (3)

 アンティーナが胸元に両手を重ねて潤んだ瞳をサシュに向けていた。十年という長い間……背中に居座っていたヨロイ蟲を、醜い傷跡ごと消し去ってくれたサシュ……。
 それは、ベッケルによる絶対支配からの解放でもあった。
 その強く激しい感謝の気持ちは理性を溶かし……皆が見ている前で、下着姿のままサシュを抱き締めたいほどだった。だが、それができない理由が二つ……。
 両足が埋まっている大きくて重い鉄の塊《かたまり》……それが物理的な理由。
 もう一つは精神的な理由。あっという間に終わってしまった主従関係……それはアンティーナが強く切望していたものだっただけに……彼女は今の自分を捨てられた子犬のように感じていた。
 ……サシュにもわかっていた。それはアンティーナを救うためだったけれども……その気持ちを利用したことは、死をも覚悟していた人間に対して……失礼で残酷であったかもしれない、と。
「ごしゅ……サシュ、ありがとうございます」
 結果として、アンティーナの言葉はその内なる激情を理性で包んだものとなり。サシュは一瞬の微笑みを作っただけで、鉄の塊を調べるためにアンティーナの足元にかがんだ。

 カリリエはアンティーナが動けないことに構わず、抱きついて喜びを表現し。ザヤグはサイズが合わず着るのをあきらめた王国従士制式長衣をアンティーナに羽織らせた。他のメンバーもアンティーナとの再会を喜んだり、鉄の塊を見てうなったりしている。

 ……ミサヨが、ふと気づいた。
 アンティーナのそばで、ラカだけが……天井を凝視している……。
「ラカ……?」
「しっ」
 近寄ってきたミサヨを黙らせたラカの、猫のような耳がピクリと動いた。その耳は確かに聞いたのだ……〝ガコン〟という、何か大きな仕掛けが動く音を……。
 次の瞬間。
 ……サシュは三メートル先の床に転がっていた。そのすぐ横にミサヨも倒れ込んでいる。
 二人ともすごい勢いでラカに突き飛ばされたのだ。ラカ自身は、サシュ達と逆側……通路を戻る方向に跳んでいた。
 ガーン……という空気を震わす衝撃音と、床を伝わる振動。
 サシュが振り返った場所……アンティーナが立っていたはずのそこに、通路を塞ぐ大きな壁が出現していた。
「なっ……」
 急いで立ち上がるサシュ。目の前には、信じられない光景があった……。
 突然現れた分厚い壁は、天井から落ちてきたものであった。その壁は、完全に通路を塞いだわけではない。床との間に一メートルほどの隙間を作っている。
 なぜなら……その壁をガルカ族のザヤグが背中で支えているからだ。とんでもない怪力で両腕と両足をふんばっている……が、今にも潰れそうだ。
 ほとんどの者は壁の向こう側にいた。立ち上がったサシュから見えるのは、ミサヨと……壁の下を覗き込んで狂ったようにザヤグの名を叫んでいるカリリエ……。
 ザヤグの震える太い腕と……その腕の間にあお向けに横たわっているアンティーナ……それだけだ。
 これにラカを加えた六人……アンティーナが立っていた場所付近にいたこの六人は、落下した壁に確実に押し潰されるはずであった。それを救ったのは、ラカのシーフとしての勘と……ザヤグの信じられない怪力。
 だが、その怪力も限界だ。いや、いくらガルカ族とはいえ、種族としての力の限界を超えた重さのはずである。カリリエの悲痛な叫びは、もはや何を言っているのかわからない状態だった。
 アンティーナが、開いた瞳で眼前にあるザヤグの顔を見つめていた。厚さが三メートルもある巨大な壁を背中で支えているガルカ族の男の顔は、苦痛でゆがんでいる……。
「どうして……あなたは、動けない私の身体をかばうように倒して……」
 アンティーナの言葉にザヤグの返事はない。丸太のように太い腕の筋肉と骨が……その構造を破壊されるミチミチという音を立てている。
「私なんて助かっても……でもあなたには、カリリエが……」
 ビキッという乾いた音が響いた。ザヤグの腕が物理限界を超えた音だ。
 まるで時の流れが突然遅くなったように、アンティーナは見た。
 ザヤグの右腕から、折れた骨が皮膚を突き破って飛び出すのを。
 同時に自分に向かって一気に落下してくる巨大な壁を。
 最後に……ザヤグが、ニヤリと笑うのを……。

 ガス……ン……。
 ……それが、壁が完全に落ちた音だった。

 閉じた壁の下からすさまじい勢いで床に噴き出す真っ赤な大量の血。何かが回転しながら飛んできて、サシュの胸にドンと当たり、丸眼鏡に赤いしずくが飛んだ。それが、ちぎれたザヤグの左腕だと認識するのに数秒かかった。
 赤い血の海の中で壁の方を向いて横たわっているのは、足を鉄の塊に埋めたままのアンティーナだった。ザヤグが……壁を支えることをあきらめたザヤグが、崩れる瞬間に左手でアンティーナの身体を壁の下から押し出したのだ。彼女は浴びたザヤグの血で顔も身体も真っ赤に染めていた。
 ノドの奥まで飛び込んだ血に一度むせた後、アンティーナは叫んだ。
「ザヤ……グ…………!!」
 そばには、腰から下を赤く染めたカリリエが、血の海にヒザをついて唖然としていた。サシュとミサヨも固まったままだ。
 壁の向こうでは、ジーク、カロココ、ラカが泣き叫んでいた。ヒザをつき、血の海に拳を振り下ろすカロココ。バシャリと血が跳ねる。
「ウソだ……ザヤグ……このメンバーで最初に死ぬのは、モンクの私だと……思っていたのに……!!」
「ザヤグ……ッ!!」
 理性を失って叫ぶジークとラカ。エグゾロッシュと従騎士達は声を出すことさえできない。
 気がつくと、カリリエがサシュの胸ぐらをつかんでいた。
「なんとかして……なんとかしてよっ……サシュ!!」
 その顔は涙でぐしゃぐしゃだ。サシュが顔をゆがませる。
「……俺にも……死んだ人間を生き返らせることは……」
「ああ……あ…………!!」
 カリリエが崩れるように床に座りこんだ。
〝……誓います……必ず生きて帰り、マリィを救います〟
 ミニブレイク全員が誓った言葉。
 全員で、生きて帰る……はずだった……。

 うちひしがれたカリリエの服から何か小さなものが落ちて、床に転がった。にぶく光ったそれは……。
 ……リチャージされたばかりの……最後の〝呪いの指輪〟だった。

 ~(4)へ続く


コメント

次回は、呪いの指輪でザヤグが生き返るのか…………うむぅなかなか読み応えがあるなぁw(°0°)w次回が、気になるーΨ(`∀´#)

おおおおお
前回の2日後に、続きを書かれたとは!
【よくやった!】

間違って(3)から読みそうになりましたがね^^;
(月曜にこちらにお邪魔したので)

なにか罠があるとは思いましたが、壁が落ちてくるとは・・・
北斗の拳の不動を思い出しましたよw

ああああああ;;;;;;;;;;

あぅあぅあぅああああ;;;;;;;;;

(´;ω;`)(´;ω;`)うぉーん
(´;ω;`)(´;ω;`)うぉーん
ザヤグが・・・マジっすか~( TДT)
とにかく生き返らせろーって思いますよ

ん?モンク・・・・・・・・・・・・・・
リンクさん思い出す・・・
最初にモンク死ぬのが予想なのか・・・

それに次回が待ち遠しい・・・

◆ヒデタルさん
あ……そういうコメントは、個人の予想とはいえ、ぼかしてお願いしますっΣ( ̄▽ ̄;

◆Leppardさん
ミザレオ海岸でプリケツして回線落ちしてできた暇ゆえです~( ̄▽ ̄;
間違って(3)から読む人、いるだろうな~と思いつつ「きっと気づいてもらえるよね」と思ってそのままでしたw
書き上げるとすぐにUPしたくなるんです。
北斗の拳の不動……そんなキャラいたなぁと思いましたが、どんな展開だったのかさっぱり覚えていません( ̄▽ ̄;

◆らふぃさん
おぅおぅおぅ……すみません、こういうシーンはとことん書かなければいかんという思いが……( ̄▽ ̄;

◆さとぽん
カロココがサシュに言っていたセリフを思い出してくれる人がいたらいいなぁ……と思いつつ彼女のセリフを書いたよ。
私もモンクと言うとリンクさんを思い出すw

不動はケンシロウの道を確保するため
落ちてくる岩の扉を体で支えて・・・
っていうのが不動の最後のシーンでした;;
(すいません FFと関係ない話しで)

◆Leppardさん
そうでしたか……もう全然覚えてない……く~、この老化した脳が憎い!
情報ありがとうございました!
主人公のために挟まれて死ぬ人物……で、私の頭に浮かんだのは、もう20年以上前の小説の登場人物です。
で、ぐぐってみたら、なんか挟まれた上に爆死したとか書いてある。
そうだっけ……?
全く覚えていないのですが、アンティーナの爆弾設定とかぶっていたら嫌だなぁ……さすがにヨロイ蟲はないと思いますがw
く~、この老化した脳が憎い!
もうどんな話だったかどころかどんな場面だったかも覚えていないんですが……虎4(ふーすー)という素敵な女の子がいたんです。
ツンデレらしい……そうだっけ?
ここの読者さんに、知ってる人いるかなぁ( ̄▽ ̄;

さしゅさん はじめまして。
↑のMaccoってののコメントのURL先はトロイの木馬系の罠サイトです。
もし踏まれたのであればウイルススキャンをされることをお勧めします。

◆とおりすがりさん
ご忠告ありがとうございました。
この件に関して記事を書かせていただきました。

こんにちは、初カキコさせていただきます。
はい、見事に(3)から読みました。
? ? ?
 (・w・)
な状態で読み進めて、ザヤグあうあうあうあぅぅ
と、読み終えてスクロールしていったら(2)がすぐ下にありました。
(2)を読んでやっと話がつながって、(3)を読み直してザヤグあうあうあうあぅぅ
連投だったのですね。一度に2話読めて今週は得した気分です♪
でもザヤグあうあうあうあぅぅ
ここで素直な疑問「蟲と傷のない背中と、足枷のない足」を望むことはできなかったのかなぁ?
ということで、またお邪魔いたします。

◆Aryuさん
初コメントありがとうございます!
気づかずに(3)から読んでしまった人は他にもいそうですね( ̄▽ ̄;
いつも週一なのに、いきなりイレギュラーなことをした私が悪いのですが。
最初に注意書きでも書いておくべきだったか……。
アンティーナの足も一緒に指輪で……と思った人もたくさんいそうですよね!
私も足固定のアイデアを思いついた時に、ちょっと思ってましたw
そのことについては本文の方で触れていくつもりですので、ここでは答えないでおきますね( ̄▽ ̄〃
ぜひまた見に来てくださいませ。

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