珈琲は一日二杯まで

笹谷の気が向いたときに気が向いたことを書く場所です

ゲームのことを書いたり、絵を描いたり、漫画を描いたり、小説を書いたり、適当に何でもありな趣味のブログです。

Cカーズ10-1

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第七話 月虹の契約 (1) (2) (3) (4) (5)
 第八話 裏切り人形 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第九話 光陰の中で (1) (2) (3) (4) (5)


110805 10話

 第十話 決着 (1)

 雪が舞う夜のボスディン氷河。その中心に位置するソ・ジヤ遺跡中央塔の地下で。
 リフトに乗って最下層に向かうのは、ヒューム族の女性であるミサヨ、カリリエ、アンティーナの三人と……タルタル族の男サシュ。
 ゆっくりと降りていくリフトの上で、サシュが首のチョーカーに埋められたパールに意識を集中した。

 サシュ: ……みんなのおかげで、アンティーナを取り戻すことができた

 ミニブレイクのメンバーに向けたLS《リンクシェル》会話である。
 落とされた壁の内側ではザヤグが……外側ではジーク、カロココ、ラカがサシュの言葉を聞いていた。サシュのすぐ横にいるミサヨとカリリエにも届いているが、チョーカーを奪われたアンティーナには聞こえない。

 サシュ: 今頃マリィにも……
 サシュ: ミサヨによる呪文詠唱済みの指輪が届けられたはずだ

 誰も口を挟まず、静かにサシュの声を聞いている。少し間をおいてから、サシュははっきりと言った。

 サシュ: ……これをもって
 サシュ: LSミニブレイクを解散しようと思う……

 ミサヨとカリリエが、同時にサシュを見つめた。なぜ今、そんな話をするのかが、わからない。

 ジーク: それはおかしいゼ、リーダー
 カロココ: そうだよ、リーダー

 異をとなえた二人は、同じことを言った。ミニブレイクの誓いの言葉には、〝生きて帰る〟が含まれていたはずだ。まだ誰もサンドリア王国に帰っていないじゃないか、と。
 その時点で、ようやくミサヨが納得した表情を見せた。

 ミサヨ: ずるいね、サシュ……
 サシュ: ……まぁね

 サシュが大きな頭をぽりぽりと掻いた。これでサンドリア王国に向かい、マリィの完治した姿を確認すれば、ミニブレイクの目的を達成したと言えるだろう。だが今リフトに乗っている四人は、寄り道をしようとしている。
 ……生きて帰れるかどうかわからない寄り道を。

 サシュ: 生きて帰るつもりでいるさ……今もね
 サシュ: ただ……

 ただ、これからの闘いに集中したい。そして敗れた場合……闘いに参加できず待っているだけの者に、死の実況中継をして悔しい思いをさせたくない……というのも本音だ。しかし、やはりこれは〝ずるい〟言い訳だろう。
 
 サシュ: ベッケルが……

 サシュは、もう一つの理由を言うことにした。

 サシュ: アンティーナから奪ったチョーカーを持っている
 サシュ: LS会話はこれで最後にしたいから、そのついでだ

 しばしの沈黙……。
 そして、ラカが見透かしたようにはっきりと言った。

 ラカ・マイモーヴ: ……LS会話は、最後でええわ
 ラカ・マイモーヴ: けどな……解散は、皆で顔合わせてがええ

 ミサヨがサシュの顔を見て微笑んでいる。彼女にとっては、ラカの答えが予想通りなのだろう……。

 ラカ・マイモーヴ: ……生きて帰って来ぃや、四人とも!

 その言葉で、サシュの肩から力が抜けた。ラカ達は、闘いの結末を見届けるつもりだ……。

 サシュ: わかったよ
 サシュ: じゃあ、LS会話での最後の指示を出すから聞いて

 カリリエがLS会話の内容をアンティーナに説明しているのを見ながら、サシュは指示を出した。
 ザヤグは衰弱状態から回復したら、デジョンの魔法でサンドリア王国に戻ること。
 移動魔法が使えないジーク、カロココ、ラカは、エグゾロッシュさん達と一緒に地上に戻り、キャンプを張っている従騎士達と合流すること。
 そして……。
 サシュ達が戻らなくても……朝になったらサンドリア王国に戻ること。
 これは、必ずしもサシュ達が死んだ場合とは限らない。ピンチを脱するために黒魔道士が詠唱時間の短いデジョンを使うことはよくある話だし、その後テルさえできない状況にならないとも限らない。そうなったら、待ちぼうけになってしまうからだ。
 そこまで説明して、ようやく皆の同意を得た。

 サシュ: チョーカーを外すよ
 サシュ: またね

 〝またね〟……それが最後のLS会話となった。
 ……ミサヨがぽつりと言った。
「やっぱりずるいね、サシュ……」
「……まぁね」
 結局、サシュは狙い通り……闘いに集中し、LS会話をしなくてすむ状況を作り出している。自分たちが戻らなくても、ラカ達はサンドリア王国に帰るだろう……。
 リフトが……静かに最下層に到着した……。

   *

 最下層には誰も……モンスターもいなかった。
「最下層が、霊獣ディアボロスの棲家って言ってなかったっけ?」
 やや緊張したカリリエの言葉に、サシュが静かに答えた。
「正確には……この正面の通路の先だよ。T字路になっていて、右は行き止まり。左が……霊獣ディアボロスが棲む部屋の前にたどり着く」
 たぶん……とミサヨがつぶやいた。
「……ベッケルは、その部屋に向かったんだろうね」
「……だろうね」
 同意したサシュの脳裏に、昨夜見たディアボロスの夢が蘇った。
 暗闇で囲まれた赤く広い空間。
 そこにいるサシュを、空中から見おろす異形の者……。
 神経を不快にする声……。
 夢の霊獣ディアボロスは確かに言った。
(その者ハ 私ガ 与えてやったチカラ…… 心弱き者への精神支配力だけデハ 満足でキズ……)
(別の〝霊獣〟ノ 力をも得よウト この地に来てイル…… 私が棲むこの地ヘ……)
 別の霊獣の力とは、〝カーバンクルの聖剣〟に間違いない。その威力は未だ謎のままだ。

 ふと我に帰ると、サシュの目の前に大きな石の門があった。カリリエが門をこぶしで叩いている。
「もう……! 開かないよ、この扉!! 中からカギでもかけてるんじゃないの!?」
 いつの間にか、通路の行き止まりまでたどり着いていたのだ。
「……待って!」
 慌ててカリリエを止めると、腰の小物入れをまさぐるサシュ。
「あった……三人とも、これを」
 サシュが取り出したのは、三枚のサーメット製の札だ。それを一枚ずつ配る。受け取ったアンティーナが首をかしげた。
「何ですの、これは?」
「クルエルサイズの報酬だよ……ウィンダス連邦で、ホノイゴモイさんからもらったんだ」
 カリリエが顔をしかめた。あの傲慢な金持ちじーさんか……と、はっきり声に出して言うところは、さすがカリリエだ。
 ホノイゴモイ氏の言葉を思い出すサシュ。
「おまえは物好きだなサシュカシュ……それが必要な場所に行って……生きて帰れると思っているのか?」
(まさか、こんなに早く使うことになるとはね……)
 にやりと笑うサシュ。全ての流れが運命のように感じられるから不思議だ。
 かばんの中から、自分の分の札も取り出した。
「これは、〝ソ・ジヤ識別札〟。ほら……ついて来て」
 そう言いながら、サシュが門に踏み込んだ。閉まっている扉に、サシュの身体が吸い込まれる……。
「なるほどね」
 そう言ってカリリエが入り、ミサヨとアンティーナが続いた。こうして、あっさりと門の中に入って行った四人……。
 彼らを待ち受けていたのは……ぬかりないベッケルの攻撃だった。

 ~(2)へ続く


コメント

早いぞ~(´・ω・`)

サシュさん勝ち誇ってる様な感じがする
気のせいかな・・・・・

◆さとぽん
そうかい~( ̄▽ ̄)

勝ち誇ってるわけではないと……思うけど……( ̄▽ ̄;


こんにちわ~。今日は重箱のスミをつんつんです。
40制限の中央塔、サポ黒LV20ならデジョンできると思います。
デジョンのほうが詠唱短いし、ザヤグが一人だけで飛ぶなら
直接サンドにデジョンしてもいいのではないでしょうか~?

ホノイゴモイ氏
あのエピソードがここで活きたんですね^^

◆Aryuさん
こんにちは。
ご指摘ありがとうございます!
全くその通りですね、完全に私のミスです( ̄▽ ̄;
あとで、こっそり修正しておきますw
他にも見つけたら、がんがん指摘してやってください!
こういうのって、一度見過ごすと自分ではずっと気づかないので、ほんとに助かります~。

◆Leppardさん
ありがとうございます^^
なんかもう時間がたちすぎて、たいていの方は「そんな話あったっけ?」って感じな気もしますけど……( ̄▽ ̄;
Leppardさんのコメントを見て「そんな話、あったんだ!」と思う人がいるかもw

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