ささやかに駅メモ!

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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ10-2

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第七話 月虹の契約 (1) (2) (3) (4) (5)
 第八話 裏切り人形 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第九話 光陰の中で (1) (2) (3) (4) (5)
 第十話 決着 (1)


 第十話 決着 (2)

「……ぐ……はっ!」
 開いた口から唾液が飛んだ。全身をブルブルと震わせ、がくりと片ヒザをつくサシュ。
 ……いきなりだった。
 ソ・ジヤ識別札を使って石の門をすり抜けた途端の出来事だ。斬られたわけでも、撃たれたわけでもない。何か目に見えない塊《かたまり》に全身が包まれた。
 痛みはない。
 ただ、とてつもなく不快な感覚に手足の先まで侵《おか》されたのだ……。

 そして。
 ある思い出が。
 四年も前の出来事が。
 信じられない鮮明さで、記憶の海から掘り起こされた……。

「あ……あ………、カサ……ネ……ネ……!」
 震えながら倒れ、地面に両手をつくサシュ。目の焦点が定まらない。
 混乱するサシュに、慈愛に満ちた優しい声が届いた……。
(サシュ……可哀想な男よ……)
 誰の声か思い出せない……。
 だがその言葉を聞いた途端……サシュの両目から涙が溢れたのだった。
(お前が仲間を作らず、ずっと一人でいたのも無理はない……)
 男の声だ。
(心の底から他人を信頼することができなくなった理由が、俺にはよくわかる……)
 サシュは、涙を流し続けている。
 ずっと一人で苦しんでいた……。
 誰にも話すことができなかった……。
(どうしてお前が、他人の子供に必死になるのか……その本当のワケも……)

「ああ……カサネネ……どうして…………」
 独り言のように、つぶやくサシュ。
(お前は……うらやましかったんだろう……)
「……どうして、俺を……裏切ったんだ………」
 地面に置かれたサシュの手が、握りこぶしに変わっていた。
(自分の子を持つ親が……うらやましかったんだろう?)
「…………」
(お前が子供に優しいのは……子供のためじゃない……)
 その声は何もかもわかっているかのように、断言した。
(……自分の子を不幸にしている親を、許せないからだ)

 無言になったサシュに、たたみかけるように言葉を重ねるのはベッケルだった。
(憎いだろうな……自分を裏切った女が……)
 その声は、どこまでも深く優しい……。
(お前の気持ちはよくわかる……事故死でなければ、自分で殺していたのだろう?)

   *

「ごめんなさい、ごめんなさ……!」
 サシュの横で、カリリエが泣き叫んでいた。
 地面に横たわり両腕で自分の身体を抱きしめ、ヒザを曲げて赤ん坊のように丸まっている……。
「おとうさま……おかあさま……カリリエはいいコです。どうして……」
 つぶやくような泣き声のため、聞き取りにくい。がくがくと身体を震わせるカリリエ。
「……やだっ……やめて……わたしを、ダンロになげこまないで……!」

 その後方ではミサヨが両ヒザを立てて座り、ヒザを抱える腕の中に顔を埋めていた。
「やめて……誰か……兄さんを助けて……!」
 ミサヨも泣き声だった。
「あ……あ……腕を離して……兄さんを……なぶり殺しにしないで……!!」

 ミサヨの横にはアンティーナがいた。
「………!!」
 立ったまま自分を抱きしめ、うつむいて歯を喰いしばっている。泣いてはいない。
 アンティーナの閉じられた瞳には、今は亡き兄たちと姉の姿が見えている。
 誰も近付かないラテーヌ高原の谷底に立つベッケルの部下とアンティーナ。プルゴノルゴ島のヌシであるシェンを捕獲した数日後だ。その目の前で、兄たちと姉が谷底にある洞窟に姿を消した……ベッケルの部下に命じられるままに……。
 その部下が、アンティーナから取り上げた白いリンクパールに何かを伝えたようだった。
 その直後……洞窟内からすさまじい爆音が響き、爆風が噴き出した。
 ……五人分のヨロイ蟲が爆発したのだ……。

 顔を上げ……片目をゆっくりと開けるアンティーナ。ここは、ソ・ジヤ遺跡中央塔の地下……ディアボロスが棲むと言われる場所……。
 目の前には、むき出しになった地面に座りこむミサヨ……横たわるカリリエ……うずくまるサシュがいた。その先は天然の洞窟になっており、奥から赤い光がもれている……。
 赤い光を背後から受けて立っているのは……アゴをやや突き出すようにしてこちらを見ているエルヴァーン族の男。二本の指で挟むように口ひげを撫でている……。
「無駄……ですわ……私には……あなたの精神支配攻撃など……」
 絞り出すようなアンティーナの言葉を聞いて、ベッケルは口ひげを触るのをやめた。
「さすが、特殊部隊としての訓練を積んできただけのことはあるな、アンティーナ……だが……」
 いくらお前でも、意識を保つのが精一杯だろう……それがベッケルの余裕の言葉だった。
「お前は特別だ。だが、一緒に来た者たちはどうかな……。霊獣ディアボロスから最初にもらったこの能力《ちから》……騎士道精神を備えた志の高いサンドリア王国の騎士たちでさえ……もれなく俺に忠誠を近い、信者となったのだ……」
 ふらふらと遊んでいる冒険者では、抗《あらが》うことなど叶うはずもない……そう語るベッケルの自信はゆるぎないものだった。

 信じたくない……サシュやカリリエやミサヨが、ベッケルに忠誠を誓うはずがない……。
 ……そんな姿など……見たくない。
 アンティーナの目に涙が浮かんだ。蘇るのは、サシュの笑顔……カリリエの笑顔……ミサヨの笑顔……。
 みんなで、私を助けに来てくれた……無事を喜んでくれた……。
 涙がスジとなって頬を伝った。
「どうして動かないの……私の身体…………あんなに……訓練したのに……」
 悔しさと絶望が、アンティーナを包む。
 ベッケルの精神支配能力は霊獣ディアボロスの力の一部……それは想像以上に強力だった……。

「ベッケル……お前は何も、わかっちゃいない」
 聞きなれた声に、ハッとして顔を上げるアンティーナ。目の前で立ち上がる小さな影は……。
「サ……シュ……?」
 立ち上がったサシュの視線は、真っ直ぐにベッケルを貫いている。
 その左手では、〝呪いの指輪〟がかすかな青い光を灯《とも》していた……。

 ~(3)へ続く


コメント

ううううううう
気になる、気になる~
とてもとても続きが気になる~

体調悪いのに小説だけは読みたいらふぃです!
続きがきになるぅぅぅぅ~~~(≧∀≦)

かなり続きが気になる終わり方だぁー( ̄□ ̄;)!!

( TДT)

◆Leppardさん
コメントありがとうございます。
続きも見に来てやってください~。

◆らふぃさん
コメントありがとうございます。
でも体調第一で!
小説は後からでも読めますから!
お大事にです。

◆ヒデタルさん
コメントありがとうございます。
続きは……ちゃんと書きますので、もう少しお待ちください~。

◆さとぽん
Σ( ̄▽ ̄;

うひゃ~、燃えてますね~、執筆の鬼と化してますねwww
まとめ読みしてしまいました。
あまりにも数が多かったので今回はコメントも1つにまとめようと思います。
だって、1つ1つコメントしてたら最新のコメント欄がひ~ほ~♪で埋まってしまうから恥ずかしいじゃないですか(/ω\)

・ザヤクの件
何と言うか、オレの戦闘シーンを残酷チックと言ったわりには、サシュさんも十分素質ありありじゃないですかw
というか精神的残酷さも兼ね備えてるから師範クラスのSですね、こりゃあ^^;
壁ネタと言えばFF4では自らを石化させて迫り来る壁を塞き止めたってエピソードがありすね~。
ま、FF11では石化魔法ブレイクがPC側に無い以上無理っすなwww
しかし、敵はストナを唱えるんだよな…てか、あのバグは修正されたんだっけかな?www
実は死者が復活する話ってのは好きじゃないんですが……今回は指輪の能力を説明する上でもアリだなって思いました。
あと、この話の前話でベッケルが後ろでニヤリしてたので何かあるなと読者に構えさせてたのも良かったですね。

・分解の件
雷クリでビリビリと感電してるアンティーナさんを想像して萌えましたw

・悔しい件
何かオレのほーが先に小説書き出したのに先に書き上げられそうで悔しいです。この思いを執筆に向けたいのですが……まとまった時間が取れないんだよなぁ(ーー;)
来週1日ヒマがあるので頑張ってみようかなw

毎度読むの遅れてごめんなさい。それと執筆お疲れ様です。

◆ひーさん
最新のコメント欄がひーさんの名前で埋まっても良かったのにw
丁寧なコメントをありがとうございます。

残酷さの件は。
ひーさんと私が決定的に違うと思うのは、ひーさんの場合は視点が攻撃側なんですよね。攻撃している感触が手に残る感じ。
私の場合は、触感までは描いていなくて、観察しているだけというのと。
どちらかと言えば、攻撃する側というより、攻撃される側の苦痛を描写している感じかなぁ。
…………精神的と言えばその通りで、SかMか微妙なところかもw

ビリビリと感電している……そこまでは考えていませんでした!
改めて、あの紫色の球体エフェクトの中に入っている彼女を想像しましたよw

ひーさんはもうクライマックスを迎えたところだから、数日書く時間さえあれば、終わっちゃうのでは?
私の方は、自分の作品の結末を早く見てみたくて、暇さえあれば書いていますが……もう少しかかりそうです( ̄▽ ̄;

来週ヒマがあるんですか……無理をしない程度に、ぜひ、続きをお願いします♪

◆ひーさんに追記
ひーさんが死者復活ネタが好きじゃないというのは、わかる気がします。
何でもありになっちゃいますからね~。
死なないためには、かっこ悪いことも必要というのが、ひーさんの中で1つの美学になっている気がするので。

私の方は、死者復活ネタより、ただの死にネタの方をできるだけ避けたいと思っています。
その割には殺しまくっていますが……( ̄▽ ̄;
少なくとも、メインの登場人物は!
ハッピーエンドを前提にしているので、もし今後も小説を書くことがあれば、途中の不幸はありでも、最後は幸せに終わらせたいですね。

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◆秘密さん
すみません、私の勘違いです。失礼しました!
すでに相互リンク済みでしたね。
わざわざ探していただき、ありがとうございました。

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