ささやかに駅メモ!

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Cカーズ10-3

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第七話 月虹の契約 (1) (2) (3) (4) (5)
 第八話 裏切り人形 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第九話 光陰の中で (1) (2) (3) (4) (5)
 第十話 決着 (1) (2)


 第十話 決着 (3)

 ベッケルの背後にある洞窟。その先に、赤い光に包まれた広く高い部屋がある。
 赤い部屋……その中空に浮かぶ異形の者。
「指輪のチカラデ 精神支配攻撃カラ 逃れたカ……?」
 霊獣ディアボロスは、ベッケルとサシュ達の対峙を心の目で観察していた。
「いや違うナ…… 指輪ハ 〝カーバンクルの聖剣〟ニ 反応しているだけのヨウダ……」
 嬉しそうに目を細めるディアボロス。
「大した精神力ダ 冒険者ドモ。 どうスル エルヴァーン族? せっカク ここのレベル制限ヲ 60まで上げてやったというノニ」
 ディアボロスの足元では、ベッケルの部下の一人が震えている。
「レベル55で身に付ケタ 精神支配攻撃ガ 役に立たなケレバ…… そなたの次の行動ハ……」

   *

 サシュがベッケルを見据えたまま、アンティーナに声をかけた。
「アンティーナ、君はベッケルの暗示にかかっているだけだ。落ち着いて」
「は……はい……!」
 右手を胸に当て、目を閉じて深呼吸を一回するアンティーナ。本当はそこまでする必要はなかったかもしれない。立ち上がったサシュの声を聞いた時から、力が湧いてくるのを感じていたからだ。
 サシュの横で、カリリエがゆっくりと自力で立ち上がった。
「ありがとう、ザヤグ……あなたが、私を生かしてくれた……」
 前方に立つベッケルを睨みつけるカリリエ。
「アンタの慰《なぐさ》めなんて、必要ない! 心の深い傷に入り込むやり方……アンタ自身が弱い証拠だわ!!」
「ふん……」
 ベッケルが一歩下がった。彼の精神支配が通じていないことは明らかだ。
 カリリエの背後で、ミサヨも立ち上がっていた。
「どうするの……? レベル制限同士……四対一では勝ち目がないと思うけど」
 そう言いながら、黒魔法の詠唱を始めるミサヨ。ベッケルがいきなりマントを翻《ひるがえ》し、洞窟の奥に向かって走った。魔法が届く距離から外れる前に、ミサヨの短い詠唱が完成する。
 黒魔法・捕縛《バインド》の光が、ベッケルの身体を包んだ……が。
「……レジられた」
 つぶやくミサヨの視線の先で、バインドに抵抗《レジスト》したベッケルが走って行く。サシュ達四人が迷わず追うと、すぐに洞窟を抜けて広い空間に出た。
 そこで……思わずサシュの足が止まり、残りの三人も立ち止まった。赤く照らされた部屋の中空で、霊獣ディアボロスが大きく翼を広げるのが目に入ったからだ。
 その禍々《まがまが》しい姿は、見る者の恐怖心を呼び覚ます……。

 ベッケルがディアボロスと話していた。
「……それデ?」
 ディアボロスの短い返事に、ベッケルはイライラしているようだった。
「いいから、ここのレベル制限を解除しろ! 〝聖剣〟で、奴らを一瞬で消滅させてやるのだ!」
「……制限解除の生け贄ハ またそなたノ 部下でよいノカ? 今日で二人目ダゾ」
 震えていたベッケルの部下が、悲鳴を上げた。
「ベッケル様! わ……私めは、何度もアナタ様に貢献して参りました。さ……さ……最後の部下である私まで、まさか……」
 ベッケルの冷めた目が、部下の男をちらりと見た。
「お前は最後まで役に立ったな……褒めてやる」
「ひ……ひっ……!」
 ベッケルの部下が赤い光に包まれ……宙に浮いたと思った瞬間、赤く強い輝きと共に……消失した。

 ズン……と、精神を揺さぶられたような感覚の後、レベル制限が解除されたことを直感するサシュ達四人。
「霊獣ディアボロスは……手を出さないと思いますわ」
 ベッケルとディアボロスのやり取りを見ていたアンティーナの言葉に、サシュも頷《うなず》いた。
「そうだね……とりあえずは出さないと、俺も思う」
 奴にとって……人間同士の闘いなど、暇つぶしの余興に過ぎないのだろう。ベッケルに対し、積極的に力を貸しているようには見えない。
 もっとも安心はできない……霊獣ディアボロスの力は、人間が抗《あらが》えるレベルをはるかに超えている……。
 少なくとも、こちらに味方する様子は皆無だ……気が向けば、一瞬で消されかねない……。
 うかつに動けない理由がそこにあった。
「……私が無敵化《インビンシブル》で突っ込むわ!」
 カリリエは既に剣を抜いていた。ナイトのアビリティであるインビンシブルは、三十秒間の物理攻撃無効を保障する。ミサヨは、全員に防御効果のある範囲物理障壁《プロテア》IIと範囲魔法障壁《シェルラ》IIを詠唱している。
 サシュは……考えていた。
 レベル制限を解除させたということは、〝カーバンクルの聖剣〟のレベルは70以上……それを使うベッケルもまた、レベル70以上ということだ。ベッケルの高レベルは予想外だが、そこまではいい。
 問題は、聖剣の威力……。
 ベッケルは〝一瞬で消滅させてやる〟と言った。
 世間に出回っている片手剣と桁違いの性能であることは、サシュにもわかる。ディアボロスが霊獣なら、カーバンクルも霊獣だ。その力を秘めた聖剣となれば……インビンシブルも、プロテアもシェルラも……気休めにしかならないだろう。
「終わりだ、サシュ……」
 いきなり、ベッケルが聖剣を一振りした。カリリエが突っ込む暇もなかった。
 サシュは思い出した。ベッケルがマリィの胸に片手剣を突き刺そうとした時の華麗な動きを。鍛えられた騎士の動き……ベッケルは片手剣の使い手として一流だった。
 ド……ン!
 ベッケルが上げた右腕は、彼の右手の壁に向いており。その腕の先に握られた聖剣から迸《ほとばし》った青い光は、エネルギーの奔流となって十メートルほど離れた壁に深い穴を穿《うが》った。
 一瞬で。
 直径六十センチ程度の穴はきれいな円形で、その深さは……。
「くく……五十メートルくらいの横穴を掘ってしまったかな……」
 衝撃はあったが、壁がくずれたわけではない。部屋の中に瓦礫が噴き出したわけでもない。五十メートルもの穴が掘られたのであるとすれば……それだけの容量の物質が消滅したと考える方が自然だろう。
 とてつもない破壊力……。
 ベッケルの最初の行動は威嚇だった。相手が恐怖に震え、許しを乞う姿を見たいのだ。その上で、惨殺するのがベッケルのやり方だった。

 サシュがぽつりと言った。
「……動ける?」
「あれくらいで、足がすくむとでも思った?」
 カリリエがにやりと笑っている。
「こういう時……冒険者って、へんにキモが座っちゃうよね」
 ミサヨが微笑んだ。
「こうして見ると……ベッケルが、思ったより賢くないことがわかりましたわ」
 アンティーナが冷静に言った。
「そうだね……わざわざ聖剣の力を披露してくれるとは思わなかった」
 おかげで、なんとかなりそうだ……サシュが、はっきりとそう言った。

「何をぶつぶつ言っている? 命乞いなら、もっと大きな声で言え!」
 ベッケルが余裕の声を上げた時。一歩前に踏み出したサシュが、呪文の詠唱を始めた……。
「ふん……早死にを選んだか」
 あきれた口調と共に、ベッケルの手首が返り……。
「詠唱中に、死ね」
 俊敏な動きで腕が上がった。

 ~(4)へ続く


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