ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

Cカーズ11-1

 
FFXI小説「カーバンクル・カーズ」
 目次
 登場人物紹介
 第一話 白絹の少女 (1) (2) (3) (4)
 第二話 罠 (1) (2)
 第三話 黒き雷光団 (1) (2) (3) (4)
 第四話 下層の歌姫 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9)
 第五話 刺客の価値 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第六話 依頼と報酬 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第七話 月虹の契約 (1) (2) (3) (4) (5)
 第八話 裏切り人形 (1) (2) (3) (4) (5) (6)
 第九話 光陰の中で (1) (2) (3) (4) (5)
 第十話 決着 (1) (2) (3) (4) (5)


110805 11話

 最終話 旅立ちの朝 (1)

 季節は、冬を迎えようとしている。
 冷え込みが厳しい早朝のサンドリア港は、まだ日の出前で薄暗い。人気《ひとけ》は少なかったが、港内の免税店はすでに開店していた。体格のいいオヤジが、タルタル族の冒険者を見つけて白い息を吐いた。
「お、サシュさんじゃないの! どう、これ、サンドリア土産に買ってかない?」
 すぐに近寄ってきたサシュが、笑顔で答えた。
「上物ワイン百本だね。よし、買おう」
「がっはっは、相変わらず嬉しいお客さんだ!」
 荷積みまで頼んでから、さびしいコイン袋の中身を覗く。所持金が底をつきそうなのを確認して、苦笑いを浮かべるサシュ。ここ二ヶ月の間に引き受けた依頼と言えば、ホノイゴモイ氏からのクルエルサイズ入手だけだ。それは情報と物品が報酬だったから、懐《ふところ》があたたまったわけではない。
 さらに、昨夜作った合成品の材料代が思ったより高くついていた。それも……このワインをジュノで売るまでの辛抱だ。底をつくぎりぎりで支払いを済ませたサシュを、遠くから呼ぶ声が聞こえた。

   *

 見上げると、高い段差の上にエルヴァーン族の少年が立っていた。接岸している飛空艇を見下ろすことができる、見送り客のためにあるような高台だ。
「サシュ! 挨拶なしで行くなんてヒドイぞ! 礼儀を知らない冒険者は、ただの荒くれ者だぞ!」
「アイル! 見送りに来てくれたのか……よくわかったな」
 驚くサシュの顔を見て、得意気なアイルベーシュ。
「へへ……驚くのは、まだ早いぜ」
 少年が、自分が立つ段差の端に誰かを呼び寄せた。緊張気味な姿を見せたのは、栗色の髪を揺らすヒューム族の少女……。
 少女は自分の足でしっかりと立っている……サシュは胸にジンと来るものを感じて、目を細めた。ボスディン氷河から戻って疲れきっていたサシュは、一度もリタ家に顔を出さないままだった。
「サシュさん……私、一年後にアイルと冒険に出ます。がんばって、たくさん稼いで……」
 声が震えている。
「一生かけて、報酬をお支払いします! ありがとうございました!!」
 必死に話す少女の瞳から、感謝の涙がこぼれていた。うつむいてぽりぽりと頭をかくサシュ。それからサシュは左の頬を少女に向けて、指でトントンと軽く叩いた。
「大きな冒険の報酬は、お姫様のキスで頼むよ、マリィ。今度会った時に、ここにね」
 真っ赤になった顔に両手を当てるマルガレーテ。その横で、アイルが慌てた。
「ばっ、ばか、サシュ、何言ってんだ!!」
「その後は……自分のために生きるんだ、マリィ。楽しい冒険生活を祈ってるよ」
 両手で顔をおさえたまま、何度も頷くマリィ。不機嫌になったアイルに、サシュが笑って手を振った。
「アイル、ちょうど良かった。この後、飛空艇公社で宅配を頼むつもりだったんだ」
 そう言って、かばんから出した細長い包みを段差の上に投げた。それを上手にキャッチするアイル。
「何だよサシュ、ぼくは宅配屋じゃないぞ!」
「受取人を見てみなよ」
 言われるままに、宛先を確認するアイルベーシュ。宛名は……アイルベーシュになっている。
「二日遅れだけど、誕生日おめでとう、アイル。昨夜合成したばかりの新品だ」
 アイルの表情がぱっと輝いた。断りもせず、包みを破き始める。
 出てきたのは……。
「す……げーっ! ハルシオンロッドだ! ……うぉ、サシュの銘も入ってる!」
 上等な釣り竿を見て、跳び上がって喜ぶアイル。横ではマリィがくすくすと笑っている。
 さらにその後、エグゾロッシュとリタが姿を見せて、段差の上からサシュと挨拶を交わした。化粧に時間をかけすぎなんだよ……とアイルがぶつぶつ言ったが、リタは以前とは別人のように生き生きとした顔をしている。必要がなくなった白絹の衣は、残り少ないエンチャントでも高く売れたと言う。式は挙げないが二人が結婚するという、めでたい報告を受けた。
 少し間を置いてから、エグゾロッシュが申し訳なさそうに言った。
「サシュ殿……あなたの活躍は、本来このサンドリアでランク10として登録されてもいいくらいの……報酬だって……」
「あはは、そんなわけないじゃないですか」
 サシュの明るい声に、エグゾロッシュが面食らった。
「いや、しかし……もし、サシュ殿がベッケルを倒していなければ、この国は……」
 いいんですよ、と微笑むサシュ。
「冒険者が、依頼を一つこなしただけです。国家指令《ミッション》を受けていたわけではありません。それに……私一人じゃ何もできなかった」
 サシュの満足気な笑顔を見て、エグゾロッシュはそれ以上言うのをやめた。サシュの目には、多くの仲間の顔が浮かんでいるに違いない……。
「……国王と王子たちの耳にも、サシュ殿の活躍は届いています。何かあれば、王立騎士団があなたのために動くでしょう」
「ありがとうございます」
 素直にそう言うと、サシュは手を振って四人に別れを告げ、入港したばかりの飛空艇に乗り込んだ。

   *

 机も椅子もなく広いだけの客室に、サシュだけが立っていた。出港までまだまだ時間があるため、いつものように壁の航路地図を眺めている。
 ……そこに、一人の女性客が現れた。
「お……おす、久しぶり」
 いきなり声をかけられ、驚いて振り向くサシュ。立っていたのは、サシュと同じタルタル族のカロココだった。なぜか目を合わせようとせず、頬が赤い。
「おはよう、久しぶり。偶然だね、カロココもジュノに?」
「う……うん、まぁ……」
 どうも、いつものクールなカロココらしくない……緊張しているようにも見える。サシュはその理由を思いつかないまま、会話を続けた。
「あぁ、えっと……ごめん。結局、ミニブレイクはちゃんと解散宣言しないままで。でも目的は果たせたし、自然消滅でいいかなというか……」
 正直に言えば、リーダーの責務から逃げただけだ。一つの冒険が終わっても、皆と繋がっている気分でいたかったのだ。実際のところは、サンドリアに戻ってからメンバーの誰とも会話をしていない……。
「……ちゃんと、解散宣言をチョーカーに残しておくよ。誰かが付けた時のために」
 チョーカーについているリンクパールには、一つだけメッセージを残せる機能が備わっている。パールに意識を集中した者に、LS《リンクシェル》名と一緒に、短い文字列を見せることができるのだ。
「そっか。……リーダ……サシュは、黒き雷光団に入る気はないの?」
「ないよ」
 きっぱりと言った。
「……みんなのことは信頼してるし、好きだよ。ただ、またしばらく一人でのんびり冒険したいんだ。地味に依頼をこなしてね」
「……うん、そうだと思った」
 どうもカロココの反応が鈍い。
 ……と思っていると、いきなり彼女が顔を上げた。
「あのね、私、実は雷光団を……」
 その声を遮るように、いきなり客室に大声が響いた。
「こらーっ、カロココっ!! いきなり雷光団抜けるて、どないなことやねん!?」
 びくっと反応したカロココが振り向くと、客室入口で息を切らせたミスラ族の女性が立っていた。
「ラ……ラカ!」
「パール外すわ、テル受け付けんわで、ここまで走って来た!! ……て、サシュはん??」
 カロココの隣りにサシュがいることに驚いて、ラカが指をさす。
 しばらくの間《ま》。
 サシュは、自分が何か話していいものかどうか迷っていた。

「は、はーん……」
 ラカの顔付きが変わった。何もかもわかったような顔をしている。
「……あんたら、いつの間ぁに、デキとったんや!」
「え……」
 呆《ほう》けるサシュ。
「ば……違っ!!」
 顔を真っ赤にして、突き出した両手を振るカロココ。
「え……ちゃうのん?」
 無邪気に首をかしげるラカ。
「……なら、何なん?」
 頭の上にある猫そっくりの耳が、興味深げにピコピコと動いている。
「う……あ……」
 顔を赤くしたまま答えないカロココを見て、ラカがため息をついた。壁に身体をあずけて、腕組みをする。
「ゆーとくけど……もうすぐ、ミサヨ達も来るで?」

 ~(2)へ続く


コメント

ミサヨ・カリリエ・アンティーナに続いて今度はカロココかぁ(/grin)サシュも罪深い男だなぁΨ(`∀´#)

◆ヒデタルさん
おかしいな……もっとあっさり終わるはずだったのに( ̄▽ ̄;

むむっ!最終話と思って気合い入れて読んだのに、2があったかw。
楽しみにしてますですw。

ぷぷw
さしゅさんもてますね~(/grin)
最終回ってまだ続くの・・・・?(´・ω・`)

◆あーろんさん
最近、あーろんさんが、ご自分でも「あ~ろん」と書かないのはどのような心境の変化か気になる私です。
「ひ~ほ~♪」さんをひーさんと略すように、「~」を書くのが面倒で、あーろんさんと呼んでごめんなさい。
でもこれからもあーろんさんと呼ぶと思います。
で、これは最終話であって、最終回ではないのです。
まぎらわしくてごめんなさい。
ぜひ続きも読んでやってください、面白いかどうかは保障できませんけど( ̄▽ ̄;

◆さとぽん
さとぽんにはコメントのレスに、最終話は1~2回で終わると思うと書いたような気がするんだけど。
だから1回で終わらなくても仕方ないし、これは最終回じゃなくて最終話ですってば~。
でもあと1回で終わる自信もないです、ごめんなさい。

やっぱりカロココが一番かわいいヽ(´―`)ノ
ソ・ジヤ前の焚き火から引きずってますな~

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マリィの登場シーンはジーーンときました。(ちょっと鳥肌たったよw)
やっぱりハッピーエンドっていいですね^^

ミニブレイクのメンバーとのやりとりも続きにあるようなので
楽しみです。

PS.
前々回のコメントにいらないことを書いてしまい、すいませんでした。
以後注意します。

ほぉほぉ・・・。
早く続き読ませてくださいね (´∀`)

ミサヨ・カリリエ・アンティーナ・ディアボロスw・そしてマリィも?
さらにカラココ。6人のサシュ争奪戦の結末は・・・
つづきは新作ですね?楽しみです~^^

◆えこさん
カロココを気に入ってもらえて嬉しいです♪
ちょっとまだ、ここには書けない秘密とかありますけど( ̄▽ ̄)
次回には……?

◆秘密さん
もてているのは、さしゅではなくサシュww
……て、書いてて虚しい( ̄▽ ̄;
了解~。
やっぱりそうかーw
もし上手くいかなかったら、相談に乗るから言っておくれ♪

◆Leppardさん
嬉しい感想を、ありがとうございます^^
ハッピーエンドしか書きたくありません!
……が、恋模様だけは全員がハッピーというわけにはいきませんからねぇ。
その決着をつけるためだけの最終話……手を抜かず書きたいと思いますw
P.S.の件は、もう気にしないでください。
もうすぐ終わりですしw

◆小花さん
久しぶりの小説へのコメント、ありがとうございます。
まだ読んでくれているとは思っていなかったので、嬉しいw
続きは、そのうち……( ̄▽ ̄;

◆Aryuさん
いえ、新作で続きとか考えていませんからΣ( ̄▽ ̄;
ディアボロスとマリィはともかくw
決着はこの最終話のうちにつけるつもりです。
新作と言えば、完全オリジナル・ファンタジーをちょっと思いついたんですけど、この前のアンケートで小説の読者さんがFFXIユーザさんしかいないことがわかっているので……分をわきまえておきますw

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