ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

【旧版】竜連れ1-1

 
「竜を連れた魔法使い」 目次



第一話 沈まない太陽 (1)


見通しの悪い鬱蒼(うっそう)とした暗い森には、不思議な木々が生えていた。
幹の片側にだけ枝が密集しているのだ。

頭上は幾重にも重なった枝と葉に覆われ、空が見えない。
どこかから入り込む光が、木々の間を夕陽の茜(あかね)色に染めている。
時折響く鳥や獣のけたたましい鳴き声が、耳に不快感を残した。

夜が迫る恐怖を感じたのは最初の半日くらいだったな……とカイリは思った。
独身男のまま三十一歳の誕生日を迎え、ボーナスを使って新調した太陽電池駆動のチタン製電波腕時計。
この森の中で目を覚ましてから、その短針が六周目を過ぎ。
文字盤の小窓からのぞく日付を示す数字が三回変わっても、夜が訪れることはなかった。
時計が壊れているわけではない……定期的に訪れる空腹と睡魔が時の流れを告げている。

すでに、豊富にぶら下がっているジューシーな木の実を口にすることに抵抗感はなくなっていた。
登れそうな樹もなく、地面に敷き詰めた小枝と大きな葉を重ねた寝床で、堂々と寝ることにも慣れてきた。
獰猛な獣に襲われるかも知れないという恐怖感は薄れつつあり。
赤い光に満たされていたはずの世界も、目の方が慣れてしまって赤く感じなくなっている。

三日間、ただ無精ヒゲが伸びるのを楽しんでいたわけではない。

目が覚めたらいきなりこんな奇妙な森の中に放り出されていた。
誰が何のためにこんなことをしてくれたのか……あるいは人知を超えた神のいたずらなのか。
……元の暮らしに戻れるのか……。
何かしらの手掛かりを得るため、起きている間は歩き続けた……と言っても休憩しながらだが。
大手メーカーの研究所勤めだ。
デスクワークばかりというわけではないが、体力には自信がない。

ともかく。

森の中を歩きにくい革靴で歩き続けた成果が、ついに現れる時が来た。

木々の向こうに小さな池が見え、そこだけ陽の光に満たされていたのだ。

空が見れる……それだけのことが、この三日間で最大の事件と言えた。
赤い光に満たされ、夜が来ない世界の秘密に迫る手掛かりが得られるはずだ。

自然に急ぎ足になった。

直径十メートル程度の小さな池の水面がキラキラと光っているのが見える。
目が慣れてしまった今となっては白い光に見えるが、実際は赤い光のはずだ。


……ついに池の前に出た。

池の形に合わせて、空が丸く切り取られている。
それを見上げたカイリは……呆然とした。

心のどこかでまだ期待していた。
この世界が人工物で、人工の赤いライトが光っていることを。
歩く距離が長くなるにつれて、そんな広大な建造物などありえないと思い始めてはいたが……。
わずかな期待が、無慈悲に打ち砕かれた瞬間だった。

空は高く、紅く染まっているはずの雲がすごい勢いで流れている。
地上はこんなに穏やかなのに、上空は台風でも来ているかのようにすさまじい風が吹いているらしい。
本当は赤と紫のグラデーションなのだろう……しかし目が慣れてしまったカイリには、夕焼け空が白と青の爽快な空に見える。

光の角度から、陽がずいぶん傾いた状態……おそらく日没間際であろうことがわかったが、周囲の樹が高すぎて太陽は見えなかった。


「ふ……ふふ」

なぜか笑いが漏れる……気が触れたわけではない。
自分の力ではどうしようもない……誰かに助けを求めればどうにかなるわけでもない……。
その無力感が、奇妙な開放感と共に、虚しい笑いをこぼしたのだ。

これが夢じゃないことは実感としてわかる。

「この世界じゃ、俺の才能も役に立たない……よなぁ」

カイリには一つだけ、常人のレベルをはるかに超える生まれつきの才能があった。
小学生の頃にはテレビに出演して世間に披露したこともある。
が、楽しいのは最初のうちだけだった。
自分に近寄ってくるのは、テレビ関係者か脳神経学のじーさんばかり。
くだらない実験につき合わされるのに飽きた頃……自分に友達と呼べる存在がいないことに気づいた。
クラスメートからは「キモイ」と言われた。
そして……中学に上がる前に自らその才能を封印し、「小学生の頃は神童と呼ばれた普通の人」を演出するようになった。
そうして、普通の人として普通に人と付き合い、普通に生きてきた……。


ふとカイリは思った。

この世界にも、人はいるのだろうか……?


「はぃりふるほぉーんふるるれーにぁ?」

いきなり背後から、意味不明の声をかけられた。
獣の鳴き声ではない……歌うように美しい女性の声だ。

「はるまりぃーにあ!」

振り返ったカイリの顔に、何かがぶつかった。



(2)へ続く

コメント

おおおおおお!
2作目スタートしたんですね!!!

前作とはうって変わって、現代風でSFっぽい文面ですね。
主人公の顔が、まだ記述されていませんが
髭ヒュム♂のイメージしましたw


新しいのだっ(●´∀`)/*:・☆゚
次も楽しみ~(*´・ω・人・ω・`*)
さしゅさん…体調大丈夫?
心配だぞ~ヽ(´ー`)ノ

いつのまにか新作が……………( ̄□ ̄;)!!

ええと。
なんとなく気が向いたので、1回分書いてみました。
FFXIブログなのにFFXIと関係ないし。
読み続けてくれる人はほとんどいないと思うので、更新も不定期というか、更新するかどうかもわからないというか( ̄▽ ̄;
同じ小説ではあるけれども、新しいことに挑戦と言えば聞こえはいいかも。
最初から立派な作品になる気は全然してないのですが、これからもこのブログは気楽にやっていけたらなと思います。

今回は一回目なのでとりあえず読んでくれる人がいると思いますが……これからどんどん寂しくなるんだろなぁw
コメントくださった方、ありがとうございます。

◆Leppardさん
髭ヒュム♂ですかw
顔の方は勝手に想像してもらえばいいかと思って詳しい描写はしていませんが。
三日間の無精ヒゲではさすがに髭ヒュムのような立派な髭は無理かなw

◆たるな
たるなは優しいなw
体調は大丈夫だよ!
朝からこんなの書いてるくらいだし( ̄▽ ̄;

◆ヒデタルさん
この先どうなるのか……気が向いたら、見守ってやってくださいw

新作(ノ´□`*)

続き楽しみにしてますです~

おお、新作ですなw。
と、お決まりのリアクションですが^^;。
SFっポイですね?ファンタジーものかな??違う星とすればSFっぽいし、違う世界となるとファンタジーっぽいかな?
楽しみにしてます。

またもや主役のモデルはさしゅさんだな・・・という印象ですw
また結婚するのかな~♪

祝!新作連載開始 【やったー!】
カイリ・・・日本人じゃないのかな?それとも海里さん?w
才能、なんだろうな~。あんなの?こんなの?色々想像しつつ、書かないでおきます(^-^)
サシュさん、続き楽しみにしてますよ~。無理をしないで、書いてくださいね♪

ぉ、新作だっ♪( ̄▽ ̄!


◆ふるれさん
( ̄▽ ̄〃
ありがとうございます~。

◆あーろんさん
SFかファンタジーか……そんなことは気にしない方向で!
ありがとうございます。

◆ひーさん
結婚というキーワードにこだわりますねw
モデルは私ではないけれど、自分で書きやすいように似せている部分はありますね。

◆Aryuさん
書かないでおいてくれてありがとうございます。
いろいろ考えてもらえるのは、嬉しいです。
続きは……自分が面白いと思えるうちは書くと思いますー。

◆小花さん
新作だと言ってもらえるのも今回まで。
ぼちぼち書いていきます~。

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