ささやかに駅メモ!

駅メモの旅先でたまに娘キャラ活動と出会うブログ
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駅メモ!の世界に足を踏み入れたところ、なんだか楽しいのでそのまま彷徨い始めました。ウロウロ。怖くないですよ?

【旧版】竜連れ4-2

 
「竜を連れた魔法使い」 目次

第一話 沈まない太陽 (1) (2) (3)
第二話 手に入れた力 (1) (2) (3)
第三話 竜たちの覚醒 (1) (2) (3)
第四話 エルフの族長 (1)




第四話 エルフの族長 (2)


上空を風が吹いている。
東から西へ……。
いつでも、東から西へ……。

そして西の空には、大きな太陽がその半身を見せて、やわらかい光を放っている。

空に輝く光点“ピージ”が、大きな太陽に向かって沈もうとしていた。
元の世界でカイリが夕方と呼んでいた時間帯に入ろうとしている……。


カイリとマティは、東に向かって西日の当たる山肌を登っていた。
背の低い草むらの中に見え隠れする、一本の獣道だけが頼りだ。

子犬くらいの大きさの生き物が、ウロコに包まれた身体を揺らしながらトテトテと走ってついてきている。
時々背中の大きな翼をはばたかせると、前脚が地面から浮く。

成長したスザクが入らなくなってしまったバスケットは、もう捨ててしまっていた。
小さな竜は、カイリを親だと思っているかのようだ。
ただ一緒に外を歩いているだけなのに、それがとれも嬉しそうに跳ねまわっている。
時々、ピイピイとご機嫌な声をあげていた。

「離位置(テレポート)がいかに便利な魔法か、よくわかるよ」

カイリが疲れた声でそう言うと、その右側に浮いているマティが笑った。

「行ったことがある場所にしか移動できないのが難点ですね」

カイリが笑って頷く。


やがて、最初は遠くに見えていた森の端に二人と一匹がたどりついた。

カイリの肩で眠っていたドライアードは、いつの間にか姿を消している。


森の外からは見えなかった位置に、小さな小屋があった。

小さな窓から中を覗くと、三畳くらいの狭いスペースにベッドとテーブルと椅子が入っていて、それだけでいっぱいだった。
ベッドのシーツが白いことから、放置された小屋ではないとわかる。
誰かが住んでいるというよりは、駅の改札にある駅員室のような雰囲気だとカイリは思った。

「見張り小屋ですね」

マティがそう言った。

小さな四角いテーブルには陶器製のカップが乗っていて、その中の緑色の液体から湯気が昇っている。
ついさっきまで、人がいたのだ。

給湯設備などなさそうなのに、どうして温かい飲み物があるのだろうと考えて、すぐに思い至った。
離位置(テレポート)だ……この世界の住人で魔法を使える者は、呪文を唱える手間を惜しまなければ、いつでも瞬間移動できるのだ。
何か飲み物が欲しくなったら、飲み物を手に入れられる場所まで、離位置で行って帰ってくればいい。

そしてカイリは考えた。

「これは……森に近づく俺たちを発見して、テレポートで知らせに行ったということなんだろうな……」

「ですね」

マティがすぐに同意してくれたが、それにしては何か変だとカイリは思った。

見張りなら、遠くにカイリたちを見つけた時点で本体に知らせに戻ったことだろう。
そして、例えば応援を連れてくるなどの対処をしているものではないのだろうか……カイリたちがこの小屋にたどり着く前に。

「変だな……これじゃあ、この森で何者かが活動していることを、侵入者に知らせるだけじゃないか?」

外から小屋を眺めながら、カイリがそうつぶやいた時。


周囲の空気が……一瞬で変わった。



小屋の周囲の木々の間に、二十人以上の人間が突然現れたのだ。

武装した者も、そうでない者もいた。
彼らに共通しているのは……細身で耳がとがっているということ。


カイリたちの正面に、ひときわ目立つ女性が立っていた。

「エステル!!」

マティが明るい声をあげたのに対し、独特のオーラを放つその女性は静かに答えた。

「久しぶりね、テク」

その目つきと周囲の者たちの雰囲気は、けして侵入者二人を歓迎しているようには見えない。
……マティの顔から笑顔が消えた。

ようやく会えたエルフの族長は、カイリを見据えている。

「一応、聞こうか……」

エステルがローブを着た腰に右手を当てながら言い放った。

「何しに来た、カイ・リューベンスフィア?」


エステルの目を正面から見据えて、ゆっくりと口を開くカイリ。



「……二匹目の竜をもらいに来た」



マティが驚いた視線をカイリに向けた。
そんな話は聞かされていなかった……。

「……そうか」

エステルがその力強く美しい目を細めた。

「ちょうど良かった……私も、お前の竜をもらおうと思っていたところだ」


エステルの周囲にいたエルフたちが一斉に臨戦態勢に入る……ということはなかった。
逆に、森の奥に向かって逃げるように走って行く。

気が付くと、エステルの周囲の空気が、蜃気楼のように揺れている。


「……高目移行(システムアップ)・汎数(レベル)5…… 」


エルフの族長が唱える呪文のフレーズは、滑らかで……美しかった。



~(3)へ続く~

コメント

いよいよ本格的な魔法対決ですねっ!!
カイリ、がんばれー

◆Aryuさん
コメントありがとうございます。
悩んだ末に、小説に関してちょっと他ごとを始めてしまったので、更新が遅くなったりするかもです。
書きかけで終わるのは避けたいと思っていますが、ちょっとどうなるかわからない感じです( ̄▽ ̄;

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